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2012/12/12

なにを今さらの「技術の海外流失」

「希望退職」って何だか知ってますか?
教科書的にはこう書かれています。
「予め使用者が退職における有利な条件を示すことにより、事業所に雇われている労働者が自らの意思でこれに応じ労働契約の解除をすることを言う。」
つまり本人が希望して辞めるから希望退職という、というのは真っ赤な偽りです。
「希望退職」とは、
「会社が希望する人を辞めさせる」という制度なんです。
会社は予めリストを作っておいていわゆる「肩たたき」をします。たまにリストから外れていた人が辞めると言い出すと、却って辞めないようにと説得するんですから。
殺し文句は「あなたは会社にとって必要のない人間です」「もうあなたにして貰う仕事はありません」。
労働者にとって自己が否定される、誇りが傷つけられることほど情けないことはありません。
それでも辞めないと言うと、今度は「指名解雇」をちらつかせます。「退職金の上乗せが無くなりますよ」「あなたのキャリアに傷が付いてもいいんですか」と言って脅します。
辞めさせる上司の方も上層部から退職者のノルマを与えられているのです。ちゃんと退職マニュアルなんてぇのも渡されています。ノルマが達成できなければ今度は自分が首になりますから必死です。
なかには会社に見切りをつけ自ら辞める人もいますが、割合としては少数です。
かくしてリストに載せられた大半の人が辞めさせられる、これが「希望退職」の実態です。

こうして20年ほど前から、多くの労働者が会社を追われました。熟練工とて例外ではありません。
国内ではなかなか就職口がない。メーカーでは特にそうです。そうした人々の中には中国や韓国にわたり職を得た人たちが少なくありません。
もう10年以上前になりますが中国の青島を訪れ、周辺の企業を歩いたことがあります。
かつて日本の熟練労働者だった人たちが、あちこちの工場で指導者として働いていました。
日本の企業からは、お前はもう要らないと宣告されたのですが、こちらでは大歓迎です。
「中国人は熱心だから教え甲斐がある」と言っていました。
中国では技術を身に着けると新しい会社に移り、給料も上がるんだそうです。だから熱心の教えを乞うわけです。勤務時間が終わっても職場に残り日本人熟練者から技術を学ぶ人もいる。
生徒が熱心なら先生も熱心にならざるを得ない。
彼らはもう一度この地で誇りを取り戻すことが出来たわけです。
かくして日本の企業でつちかった技術が海外へ移転されていきました。

底流にあるものは、尊厳を否定された人間のリベンジ。

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コメント

中間管理職の悲哀、やめさせた挙句に自分もやめていくことも多いですね。

佐平次様
部下から「あんたが辞めるなら退職に応じてやる」と言われ、一緒に退職した管理職もいました。
希望退職期間には女房子供を実家に帰した管理職もいました。危害を恐れたのです。
「希望退職」の実態を知って貰いたいということでエントリーした次第です。

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