ルパン三世vs.解党ルパン
「売り家と唐様で書く三代目(うりいえとからようでかくさんだいめ)」とは、江戸時代の川柳だ。
意味は、初代は苦労して財産を残し、二代目はそのおかげで暮らしたものの、三代目になると遂に没落して、家を売りに出すようになる。その売り家の札は中国風のしゃれた書体で書いてあるという、商売をおろそかにして道楽にふけった三代目の生活を表していることを皮肉っている。
野田首相が自民党について「特定の後援会がずっと続き、特定の家柄が政治を続ける。これ家業じゃありませんか。2世、3世、ルパンじゃない」と言ってたが、この人にしちゃ珍しく気が利いている。
確かに初めに政治家をなろうとした人は志を持っていたのだろうが、2世3世ともなれば祖父や父親の地盤をそのまま受け継ぎ、後は周囲の人間がおぜん立てしてくれて、気が付けば議員というのも少なくなかろう。
とりわけ先の川柳じゃないが、三代目ともなれば劣化が著しい。
以下はその劣化のお手本。
吉田茂→麻生太郎
鳩山一郎→鳩山由紀夫
岸信介→安倍晋三
彼の国でも
金日成→金正恩
というリッパな劣化の見本があるではないか。
今回の総選挙では自民党の立候補者のおよそ3割が世襲と報じられている。
世襲が全て悪いわけではないが、いくらなんでも多すぎる。
一つには小選挙区制の弊害だ。
小さく分割された選挙区では、先祖代々その地方で名前が知られた人物が有利になるのは否めない。
私が住んでいる選挙区では、区内が二つに分割されている。つまり区議会選挙より国会議員選挙の方が選挙区が狭いのだ。こんなバカな話はない。
いま定数削減で比例区が対象にされているようだが、むしろ小選挙区を廃止したらどうか。
地方のことは地方に任せる。
国会議員は国全体を考えるような人物を選ぶべきだと思う。
とりわけ今回のように多数の政党が乱立すると、小選挙区では3割台の得票で当選し、残りはすべて死票になるというケースも生まれてくる。
民意の切り捨てもいいとこで、やはり小選挙区制は悪法だ。
さてルパン三世とくれば、「解党」ルパンにも登場して貰おう。
衆院解散以来、いくつの政党が生まれ消滅していったか思い出せない。「太陽の党」なんざぁ出たと思ったら直ぐに沈んでしまった。ありゃお天道さんに失礼だ。
政党なんてぇものは泡(あぶく)みたいに、やたら出たり消えたりしてはいけないものなんだ。
多くの有権者は所属政党で判断して投票すると思う。
せっかく当選しても半年先1年先にはその政党がどうなってるか分からない、その議員がどこに所属していくのか予想がつかないとしたら、信用して投票なんかできないだろう。
継続性ということも政党にとり大事だと思う。
私見だが、政党としての要件は最低4つある。
一つは、規約があること。
二つ目は、政党を支える党員がいること。党員のいない政党なんて有り得ない。
三つ目は、政党活動を支える財政的基盤があること。
以上の要件は、生徒会だろうが老人クラブだろうが全ての組織に当てはまるもので、まして国政政党ともなれば必須条件と言って良い。
四つ目は、経済、外交など国政全般に対する統一した政策を持っていること。
なぜ政党の離合集散が繰り返されるかといえば、やはり小選挙区制が原因だ。たった一つの政党しか当選できないとなれば、まとまらないと力にならないからだ。
加えて、国会議員が5人集まれば政党交付金(政党助成金)が貰えるということから、それをアテにして安易に政党を造ってしまうことになる。
近ごろ維新の会などの政党が何かというと国民の自立自立をと叫ぶが、自身が国からの援助をアテにしているんだからお笑い草だ。先ずは政党が国から自立するのが先決である。
諸悪の根源である小選挙区制と政党交付金は廃止するしかない。
そしてルパン三世も解党ルパンも御免だね。
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