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2013/01/06

#124にぎわい座名作落語の夕べ(2013/1/5)

1月5日、横浜にぎわい座の「第124回にぎわい座 名作落語の夕べ」へ。
年末に申し込んだら席が残り数枚だった。二階席の一番後ろの端っこを取った。間もなく完売になったので危うくセーフだったわけだ。
サブタイトルが”真打4人による古典落語の名作をたっぷり!”とあるが果たしてどうなりますか。

<  番組  >
前座・瀧川鯉〇(こいまる)「饅頭こわい」
桃月庵白酒「だくだく」
桂米福「かつぎや」
~仲入り~
柳家三三「高砂や」
桂歌丸「竹の水仙」

この時期は初席の掛け持ちがある。米福は4軒回ってきたと言ってたが噺家も重労働だ。忙しい忙しいと言ってるうちがハナか。
白酒がマクラでここ数年女性客が増え、近ごろでは女性が6割くらいだと語っていたが確かにそうだ。
昔の寄席は夕方から始まり午後10時頃に終演だったらしい。当時の女性がそんな時間に家に帰れるわけがない。
客は煙草盆を前に置いて煙管を吹かしながら聴いていたそうだ。
完全な男の世界。
だが、もう二度と戻れない。
落語は大衆芸能だから客層が変れば芸も変わる。
噺家も女性に人気=集客力が高いという傾向になるわけで、喬太郎、三三や一之輔などはその典型といえる。
白酒「だくだく」、最初は客の反応を掴みかねていたような様子で今ひとつ波に乗れなかったが、次第にエンジンがかかり、例によってパワフルな高座で客席を沸かす。
白酒の辞書には不得手、不出来という言葉がないようだ。

米福は初見、珍しいネタで「かつぎや」。
極端にゲンを担ぐ呉服屋の主人、正月に奉公人の権助が主人が嫌う縁起でもない言葉を連呼する。
主人が正月の若水汲み及び歌詠みを権助にやらせるが、 当の権助は井戸への若水汲みに行くところで歌を忘れてしまい、縁起でもない事を連呼し主人に叱られる。
次に正月の贈り物を贈ってもらった人の名を記帳させると、主人が嫌う縁起でもないこと(例えば湯屋の勘助で「ゆかん」等)を言い、また叱られる。
宝船売り(初夢を見るために枕の下へ敷く)が来るが、これまた縁起の悪い事ばかり言うので追い返される。
後から来た宝船売りに、番頭が縁起を担ぐとお小遣いをもらえると入れ知恵をし、呉服屋の主人を持ち上げて、宝船売りは御祝儀を貰う。
最後にこの家には七福神がいると言い、主人大黒、娘が弁天、そして稼業が呉服(五福)で下げる。
かつては正月の寄席にはよく掛かっていたが、近ごろでは殆んど聴かれない。
正月の習慣が変ってしまい中身が分かり辛くなってきたのと、長い割に笑いが取りにくいからだと思われる。しかし正月にはこういうネタを聴きたい。
米福は語りも人物の演じ分けもしっかりとしていて良い出来だった。

三三「高砂や」、マクラで和服の男を「バカボンみたい」という箇所は白酒とダブってしまった。三三は昼間に小田原で独演会があり終わってからの楽屋入りで、白酒のマクラを聴いてなかったのかも。
独自のギャグを詰め込んで、オリジナルを倍近く膨らませた高座。
ミスがあったのだが、それを気付かせないほど受けていた。

歌丸「竹の水仙」、導入部で甚五郎の生い立ちから修行、京都で竹の水仙を彫り左官を授かり、三井から大黒の注文があったという経過が語られた。その結果、甚五郎が江戸に向かうが途中で路銀を使い果たし無一文で神奈川宿に宿を求める。この説明が親切で分かり易い。
甚五郎の人物の大きさ、気弱な宿の亭主、それに反して気が強い女房、無粋な越中の守の家来といった人物像がくっきりと描かれていたのは、さすがと言うしかない。
ただ残念だったのは、相も変わらぬ「笑点」出演者ネタでのクスグリ。もう歌丸ほどになったら、あれは止めた方が良い。芸に品が無くなる。
談志(「笑点」の初代司会者)や先代圓楽が高座で「笑点」ネタを入れたのを見たことがない。

正月に相応しい目出度い演目が並び、なかなか結構でした。

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コメント

歌丸はオールドテイルとしての落語に専念しているようです。抑制した語り口による時間意識の表出と人物描写が巧みですが、他にこの水準にあるとすれば、小満んでしょうか。当日出演していた三三も将来はこの方向に進むべく精進しているようです。

福様
歌丸の芸風はどちらかというと「陰」です。そういう意味で人情噺はニンなのでしょう。
三三は人情噺、滑稽噺両方いけるので、よりスケールの大きい噺家になると思います。

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