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2013/01/27

よってたかって新春らくご’13・昼(2013/1/26)

1月26日、よみうりホールで行われた「よってたかって新春らくご’13 21世紀スペシャル寄席ONEDAY」昼の部へ。

<  番組  >
前座・林家扇「元犬」
春風亭一之輔 「黄金の大黒」
柳亭市馬「味噌蔵」
~仲入り~
三増紋之助「曲独楽」
桃月庵白酒「抜け雀」

扇「元犬」
6月に二ツ目昇進のようだが、さしたることもなし。

一之輔 「黄金の大黒」
子供たちが普請場で砂遊びをしていた時、大家の倅が黄金の大黒さまを掘り出した。
めでたいことなので、長屋の連中を招待して大家がご馳走してくれるという、就いてはお祝いの席なので羽織を着てこいというお達し。
持ってるよというのがいるが、これが印半纏。
違いを知らなかったのか?で普通は終わるのだが、一之輔はこの男が妹の婚礼に着ていって、参列者から下駄を預けられたというエピソードを加える。下足番と間違えられたというわけだ。
そういやぁ未だアタシが二十代のころには人形町末広という寄席が残っていて、畳じきだったので下足番がいたが確かに半纏を着ていたっけ。
こういうクスグリを織り込むところに、この人のセンスを感じる。
トンチンカンな口上を言う二番目の男として個性的な金ちゃんを登場させたり、大家が倅が悪さをしたら遠慮せずに叱ってくれというと、もうやってますという男が現れる。
火をおこしていたら倅が来て小便で消したので、引きずっていって頭をポカポカと三つばかり。
大家「じゃゲンコでかい?」
男「いやぁ、膝蹴りで」
時間の関係で前半で切ったが、こんな調子で受けに受ける。
この後の人はやりにくいだろうなと思っていたら。

市馬「味噌蔵」
やはり一寸やりづらそう。
一之輔の活躍ぶりをマクラに振って、「これからは一之輔の後をついて行こうと思ってます」。そういわせる勢いがあるのだ。
振り返ると2000年代から始まった落語ブームで人気を得た噺家というのは一様に、ハイテンションでスピーディな展開と、独自のクスグリを入れ込んで積極的に笑いを取る高座スタイルだ。
談春なぞはむしろ例外ともいえる。
客もそうした芸を求める傾向にあり、じっくりと落ち着いた高座スタイルの芸人はこの日の会だと受けが悪い。
市馬にとってはいわばアウェイ。
その影響からか、今ひとつ乗り切れない高座だったように思う。

紋之助「曲独楽」
普段のこの会の出演者は落語家ばかりだが、新春ということで色物を挟む。
一昔前の太神楽や曲独楽の芸人というのは黙って芸を披露したものだが、近ごろはよく喋る。
難しい芸を涼しい顔をして演るというのが本寸法だと思うのだが。
これも時代か。

白酒「抜け雀」
マクラでこの日のほぼ同じ時間に、夢空間主催のもう一つの落語会「柳の家に春風が」が大田区民ホールで開かれていて、市馬と一之輔は既にそちらへ向かってしまったと語る。向こうの会はその二人に三三が加わり、その三三はこの会の夜の部に出演。まるで「五人廻し」だ。
「夢空間の夢って、どんな夢なんでしょうね」で会場が爆笑。
たぶん「夢金」。
意外なことにこの人の「抜け雀」は初見だった。
他の演者に比べ演出にいくつか相違点がある。
・墨をするのが宿の主ではなく絵描き本人
・「見えない目ならくりぬいて銀紙を貼っておけ」というセリフが、絵描き、宿の女房、絵描きの父親と3回繰り返される
・雀が抜けるので近所の人を呼んで見せるが、最初は抜け出さない。翌朝ふたたび呼んで繰り返すと今度は抜け出す。
・絵描きが宿の女房を称して「河豚みたい」だと言う。後日、再び絵描きが現れると掌を返したような歓迎ぶりに、こんどは「河豚の毒が消えたか」
身勝手な宿泊客と不貞腐れた女房との間でオロオロする亭主の姿がくっくりと描かれ、爆笑版の「抜け雀」。
これもまた結構。

けど上演時間が2時間15分じゃ、物足りないやね。

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コメント

市馬も一之輔と白酒に挟まれては、分が悪かったようですね。
「ハイテンションでスピーディな展開と、独自のクスグリ」が受ける時代とのご指摘は、ごもっともかと思いますが、基礎のできていない若手が、その“形”だけを真似てしまう風潮は困ったものです。
小満んや今松が、一部の落語愛好家から根強い支持を得ているのは、無駄を省いた本寸法の高座を期待する人達も少なくないということなのかと思います。

小言幸兵衛様
かつては古典派と新作派に分かれていましたが、今はヒラメキ派とジックリ派に分かれているような気がします。
今のブームが収まった時に、果たしてどちらへ収斂していくのか、それも楽しみではあります。

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