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2013/01/13

春風亭一朝一門会(2013/1/12)

1月12日、横浜にぎわい座での「春風亭一朝一門会」へ。
一門会は1年3カ月ぶりだそうだが、この間で一門の力は大きく変化し、今や日の出の勢いの新興勢力になりつつある。
言うまでもなく昨年、一之輔が真打、そして一蔵(前名:朝呂久)が二ツ目に昇進した。しかも一之輔は早くから真打との声があっての大抜擢、一蔵は本来もっと早く昇進すべきところが真打昇進興行を取り仕切れる前座が他にいないということで、昨年11月まで見送られたという経緯がある。二人とも満を持しての昇進というわけだ。

落語界には多くの一門があるが、全てが上手く行ってるわけではあるまい。
弟子は師匠の芸に憧れて入門するのだが、入ってみたら師匠の人間性が想像とは全く違っていて・・・、という例も少なくないだろう。
その点、一朝と弟子たちの関係は円満であろうと推察される。
一之輔の真打披露興行50日間51公演に師匠は一日も休んでいない。こういう例は少ないそうだ。
一之輔がまだ二ツ目当時の独演会で一朝がゲスト出演したことがある。その日前座がいなかったのだが、楽屋で師匠が太鼓を叩いていた。その時の言葉がいい。「ゲストに呼んで貰ってるんだから、太鼓などお安い御用」と。この一事をもって、一朝の人柄が分かる。

師弟関係を示す諺に「鳶が鷹を生む」と「勇将の下に弱卒なし」があるが、この一門は後者だ。
小三冶が真打披露口上で、「師匠の春風亭一朝という人は、これはもう地道にたたき上げた素晴らし人ですから、それにしてもこんないいお弟子さんが出来るのかと、一朝さんの腕前をあらためて見惚れた、見直した」と語っていた。
再び同じ口上をいう日もそう遠くない、そんな印象さえ受ける。

<  番組  >
春風亭一左「看板のピン」
春風亭一蔵「幇間腹」
春風亭一之輔「雛鍔」
春風亭柳朝「蛙茶番」
~仲入り~
春風亭朝也「厄祓い」
春風亭一朝「井戸の茶碗」

客の入りはやや寂しい。ハマではまだ「一朝」の名が通っていないのだろうか。一之輔独演会の方がもっと一杯になるに違いない。
他の方のブログで10日の「睦会」では酔っ払いだの大きな私語だの携帯の呼び出し音だのがあり水を差されてとあり心配だったが、この日の客席はそういうことが全く無かった。客筋が良かったということ。
以下、寸評。

一左「看板のピン」
一門には他に前座の一力がいるのだがこの日は他の仕事で欠席とのことで、開口一番が二ツ目の一左。
客席の反応を掴みかねていたような乗り切れない高座。
一蔵「幇間腹」
二つ目に昇進してからは初めてだが、着実に上手くなっている。見ているだけで思わず頬が緩むような風貌も得をしている。
ただ客と幇間の会話がまるで友達の間柄みたいで、完成度はまだまだ。
一之輔「雛鍔」
一之輔の芸風を一口にいうと「傍若無人」。この人と比べると喬太郎や志らくがずっと控え目に見えてしまう。ただ計算された「傍若無人」だ。
例えばこのネタで、お店(たな)の隠居が植木屋の倅に感心してお小遣いを上げかけて止める場面で、倅に舌打ちをさせる。こういう演出はなかなか考えつかない。
こうした子供の描き方は、「初天神」での金坊の理不尽とも思える駄々のこね方にも表れている。「藪入り」や「子は鎹」中の男の子の描き方も他の演者と大きく異なる。
やりたいように演じる大胆さと客の反応を敏感につかむ細心さ、これがファンには堪らないんだろうね。
柳朝「蛙茶番」
この人らしい丁寧な演出で、小僧はじめ人物の演じ分けもきちんと出来ていた。
芝居小屋での客席のワクワク感がもう少し出ていると山場がより盛り上がっただろう。そこが惜しまれる。
朝也「厄祓い」
新年向けのネタだが、近ごろはあまり高座に掛からない。
この人は語りがしっかりしている。話芸で比較するなら二ツ目でもかなり上位に位置するだろう。
ただ例えば真打になった文菊と比べると、何かが足りないのだ。
その何かが掴めれば、昇進の道が開かれると思う。
一朝「井戸の茶碗」
善人ばかり出てくるネタだが、一朝が演じると更に爽やかになる。
今年一年、こうして爽やかに過ごせると良いのだが。

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コメント

師匠選びにこそ弟子のセンスが問われますね。
私でしたら一朝さんか雲助さんの門を叩きます。扇辰さんでもいいかな。

ふわふわ様
同感です。さん喬も選択肢ですね。
権太楼はやめときます。

こちらに行くんだった!^^。

佐平次様
空いてたし客のマナーは良かったし、居心地の良い会でした。

この会も気になってはいたのですが、土曜の夜席だったので、ざまの昼席を選びました。
それにしても、なぜ、立川流ではすぐチケットが売り切れるのに、この一門で空席が目立つのでしょうねぇ。
質と量では、現在の落語界でもっとも勢いのある一門ではないかと思います。
雲助一門は、少数精鋭で、人数的にはこちらが上ですから。
会場の雰囲気も良かったようですね。
平日夜か土曜の昼席にやってくれるなら、次回はぜひ行きたいと思わせる、ほめ・くさんの記事を、“よだれ”を流しながら読んでいました^^

小言幸兵衛様
披露興行の49日目の口上で圓歌が「一日も休まなかった師匠を褒めてあげてください」と言うのを聴いて、一之輔はジーンとしたそうです。
この師匠にしてこの弟子あり、本当に良き一門です。

そうですか、一之輔はそう言ってましたか。
あの真打昇進披露興行四十九日目の国立演芸場の客席にいることのできた私は、幸運でした。

小言幸兵衛様
そうでしたか、それは良い日に当たりました。
口上っていうのは通り一遍のように思っていましたが、どうしてどうして奥の深いのを再認識しました。

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