#404花形演芸会(2013/1/19)
1月19日は昼の朝日ホールから移動して、夕方から国立演芸場「第404回 花形演芸会」へ。地下鉄で2駅だから楽ちん。
この会はゲストを除きネタ出し。
< 番組 >
前座・春風亭一力「たらちね」
三遊亭橘也「唖の釣り」
立川談修「かつぎや」
ホンキートンク「漫才」
菊地まどか「阿波の踊り子」 曲師=佐藤貴美江
―仲入り―
ゲスト・林家たい平「七段目」
翁家和助「曲芸」
桂吉弥「くしゃみ講釈」
橘也「唖の釣り」。
圓楽一門の二ツ目で初見。
何だか面白い。若い頃はこういうのが大事なのだ。
どうせ上手いわけはない(中には例外はいるが)ので、存在自体が面白いと感じさせるのは強みとなる。芸人は一に愛嬌だ。
談修「かつぎや」
この人は今日で4回目だが、芸風が「陰」なのと硬い。
語りはしっかりしてるが、いかんせん面白味がない。
それと名前の紹介で「専修大学出なので談修」というのは、いい加減にやめた方が良い。
ホンキートンク「漫才」
数年前に比べ着実に上手くなっている。
ネタも練れているし、自分たちの型が出来つつある。
東京の若手漫才界の一角を占める存在になるだろう。
菊地まどか「阿波の踊り子」
古典大衆芸能というは概して男の世界だが、例外は浪曲(浪花節)でここだけは女性でも第一人者になれる。事実、現在の浪曲協会会長は澤孝子だ。
ただ寄席に浪曲師が出る場合、演題は良く考えた方が良い。
かつて二代目広沢菊春という浪曲師がいて、しばしば寄席に出ていたが人気があった。
古いファンの方ならご承知の通り、菊春の演題が落語になったり、その逆に落語のネタを菊春は浪曲に仕立てていた。
だから寄席に出ても全く違和感が無かったし、落語ファンでも十分に楽しめた。
もちろん浪曲自体の芸も優れていた(澤孝子の師匠)。
菊地まどかは美声だし見た目も華やかで結構、浪曲大会ならこれで良いのだろう。
しかし娘が嫁に行くのどうのというストーリーでは、寄席の客には合わない。
技量を磨くと同時に寄席に合う演題を探求し、寄席で通用する浪曲師を目指して欲しい。
たい平「七段目」
最初に観たのは本人の真打披露の高座、以後このネタは何度か聴いている。
サラッと流す時もあったが、この日は気合が入っていたように思う。
若旦那が帰宅する途中、交番の巡査と交わす「安宅関」の掛け合いから、団十郎(早く回復して欲しい)と福助の声帯模写。父親から説教を受ける時に次々飛び出す歌舞伎の名セリフ。そして二階に上がってから小僧との、「仮名手本忠臣蔵」七段目の平右衛門と妹・お軽との立ち回りまで。
快適なテンポで一気に進む。
落語通といわれる方からは厳しい評価のたい平だが、このネタに関しては現役ではこの人がベストだと思っている。
和助「曲芸」
いつ見ても鮮やかだし、芸の見せ方にサービス精神がある。
この点は先輩芸人も大いに見習う必要がある。
吉弥「くしゃみ講釈」
ちょうど3年前にこのネタを聴いているが、結論としては進歩が感じられない。
マクラで「真室川音頭」を唄ったが、ああいうのは本題のリズムを崩すのではなかろうか。
昨年このネタを笑福亭三喬で観ていて、上方落語に不案内なので三喬と吉弥の位置関係が分からないが、力の差は歴然としていた。
吉弥は来月も国立でトリを取るが、巻き返しを期待したい。
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コメント
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朝日名人会と花形演芸会で昼夜とは、なんと贅沢な!
朝日名人会は、行かなくなって久しいです。
たい平の記事、ちょっと鼻がむずむずしました^^
「七段目」と同様、引き出しの多さが決め手になる「紙屑屋」なんかも、いいですよね。
あのテレビのことさえマクラで言わなければ、実力は認めているのです。
ほめ・くさんの記事を読んで、喬太郎と同時真打昇進の逸材、今年は少し気にかけようかと思いました。
投稿: 小言幸兵衛 | 2013/01/21 20:34
小言幸兵衛様
たい平ですが、この日も相も変わらずマクラは「笑点」ネタ。
あれさえなけりゃいいんですけどね。
たい平が終わったら帰る客もいて、こちらも困り者。
投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2013/01/21 22:20
菊地まどかは感覚が古いんでしょうね。
あんな演題ではどうしようもありません。
以前「赤垣源蔵」をきいたときも、どうしてこの話がこんなになっちゃうのかと悔しい思いがしました。声、節、タンカもいいのにあれではおじいさんたちにしか受けません。浪曲好きの期待をどんどん裏切っている菊地まどかです。
投稿: ふわふわ | 2013/01/22 14:21
ふわふわ様
菊地まどかのあの古臭さは付いてゆけません。
爺さんの私でさえ辟易としました。
近くの席の爺さんもツマラナイとぼやいていましたっけ。
投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2013/01/22 15:46
だれが菊地まどかを買っているんでしょうね。国立演芸場の演芸大賞を金・銀とっています。買っているのは審査員だけ?
あんなに声がでるのにもったいない。
投稿: ふわふわ | 2013/01/23 13:46
ふわふわ様
菊池まどかですが、芸術祭新人賞やレコ大新人賞など数々を受賞しています。
賞は作品の内容に係わりなく、あくまで本人の芸そのものに対する評価でしょう。
浪曲師としてはそれで良いのです。
ただ寄席という場での芸としては大いに疑問を感じますが。
投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2013/01/23 15:26
確かにそうですね。なんだかもったいないなー。
投稿: ふわふわ | 2013/01/25 12:41
ふわふわ様
これは彼女一人の問題ではなく浪曲界全体が抱えている課題だと思います。
それだけに根が深い。
投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2013/01/25 21:52