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2013/02/14

スウェーデンのナチズムを描く「タンゴ・ステップ」

【「わたしはナチズムがヒトラーとともに死に絶えると思ったことはないわ。邪悪な考えを持つ人間たち、人間蔑視、人種差別は今日も厳然として存在します。でも、その思想はいまでは別の名前、別の手段をもっているのよ。今日では戦場で軍隊が戦うような戦争は存在しない。憎悪の対象となる人間たちに対する襲撃はほかの形で表される。下のほうから、と言うこともできますね。いまこの国、ヨーロッパ全体は内側から爆発しようとしている。弱者を侮り、移民を襲い、人種を差別することで。それはあらゆるところに見られる。そうじゃありませんか? そしてその動きに対して、わたしたちは断固として対抗する決定的手段をもっていないのです。」】
”ヘニング・マンケル著(柳沢由美子訳)「タンゴ・ステップ」(創元推理文庫)”より

「目くらましの道」などのクルト・ヴァランダー・シリーズでお馴染みのスウェーデンの人気作家・ヘニング・マンケル作「タンゴ・ステップ」。
今回は主役がスウェーデン南西部の田舎町ポローズの警察官ステファン・リンドマンだ。
恋人はいるが独身の冴えない中年男で、医師から舌癌を宣告されている。
引退し北部ヘリェダーレン地方の森の中に住む元同僚の警察官が惨殺され遺体で発見される。奇妙なことに被害者は殺害されたあとタンゴのステップを踏まされた跡がある。
病気休暇をとっていたステファンは事件の捜査にかかわることになり・・・。

今回の作品のテーマはスウェーデンにおけるナチズムの存在だ。
第二次大戦でスウェーデンは中立を保つが、ナチス・ドイツに好意的立場だった。国内にはナチ党員もいて、なかにはドイツ軍に入隊して戦った国民もいた。
鉄鋼をドイツに輸出していたから、ナチスはスウェーデン無しには武器が製造できなかった。
現在もスウェーデンにはナチの残党が存在しており、若者の中にはネオナチに惹かれる者も出てきている。
「タンゴ・ステップ」はそうしたスェーデン社会の暗部をえぐりだしており、ミステリーという体裁をとっているものの、内容はむしろ社会派小説に近い。
首都ストックホルムから遠く離れた田舎町の描写は、わたしたちがイメージするスウェーデンとはまた違た面を見せてくれる。

冒頭にかかげた文章だが、我が国においても決して他人事(ひとごと)ではないことを下の写真が示している。

Photo_3

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コメント

さいきん北欧のミステリが大活躍ですね。

佐平次様
いま北欧ミステリーは一つのブームです。
地方都市の生活や人間模様が細かに描かれていて魅力的なところが良いのでしょう。

韓国人男性と結婚したことにつき、最低とかという記事を目にしました。
そして高木リナで検索すると、予備キーワードで「高木リナ 韓国人」とも出てました。
一事が万事こういう手合いが多いことに閉口です。
そんな愚かな有権者が多いからこそ履き違えてる橋本徹や石原慎太郎などが政治家として名を馳せてしまう。
悲しいですね・・・

dejavue様
お久しぶりです。
近ごろ弱者を侮り、人種を差別する風潮が拡がっているという印象を受けています。
このプラカードを掲げている人、こういうスローガンを許しているデモの主催者、日本にとって国辱という他はありません。

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