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2013/03/06

通ごのみ「扇辰・白酒二人会」(2013/3/5)

笑福亭たまの向うを張ってショート落語、「掃除」。
―掃除かな、親が「はたき」かけてる
「親のハタキィ(仇)」
―爺さんが掃除機かけてる
「掃除機(正直)ジイサン」
―掃除機じゃなくてクリーナーだろ
「そない言うてクリーナー」
ダメだ、こりゃ。
3月5日、日本橋社会教育会館ホールで行われた”人形町通ごのみ「扇辰・白酒二人会」”へ。
人形町といえばかつて「人形町末広」があり、いわば落語の聖地でしたね。
飲み屋街を通って行くので、終演後の呑兵衛には堪らないんでしょうな。アタシは愛する妻が待ってるんで直帰でしたけど。

<  番組  >
入船亭小辰「手紙無筆」
入船亭扇辰「さじ加減」
桃月庵白酒「天災」
~仲入り~
桃月庵白酒「犬の災難(猫の災難)」
入船亭扇辰「百川」

小辰「手紙無筆」
二つ目ともなるとマクラを振らなくちゃいけなくなる。いわゆる「ツカミ」になるわけで、小辰はここで客を取りこむのに試行錯誤の段階か。
ネタで「間」の取り方がまだまだ、もっと稽古が必要。

扇辰の1席目「さじ加減」
マクラで開場後に楽屋入りしたので、エレベータで8階までのお客と一緒だったが誰にも気づかれなかったようでガッカリしたと語っていた。
いや、気付いていた人も多かったのでは。
こういう時に声をかける派とかけない派がいるが、アタシは後者。
会場周辺や道路、時には電車の中で落語家に出会うが、一度も声をかけたり挨拶したりしたことがない。このホールでも以前、エレベーターで8階まで雲助と二人だけになったが知らん顔していた。
こっちは向こうを知ってるが、向こうはこっちを知らないんだから。
落語好きな方の中には落語家との懇親会や打ち上げに参加して顔見知りになったり、芸談や裏話を聴いたりするのが楽しみな人もいるが、当方は一度も噺家と酒席をともにしたことがない。顔見知りもいない。ただ行って話を聴いて帰ってくるだけ。
こういう人間もいるってことです。
「さじ加減」は扇辰以外で聴いたことがないが、元は円窓が講釈から持ってきたのだそうだ。
相変わらず上手い。特に加納屋の小悪党ぶり、大家のシタタカさといった人物造形が秀逸。
このネタで扇辰を超えるのは難しいだろう。

白酒の1席目「天災」
前の扇辰から開演前に弁当を喰うようでは本格的な落語ができないとからかわれて登場。主催者が弁当を用意してくれるそうだが、確かに持ち帰りというわけにもいかず捨てるわけにもいかずなのだろう。ここにきている客でも夕食を済ませたという人は少数でゃなかろうか。終わってから食事とか、取り敢えず軽食をという人が多いと思う。
してみると楽屋の弁当を出すことが自体が不適切では。
白酒の「天災」は八五郎の乱暴ぶりが際立つ。こういう人物ほど以外に単純で感化されやすい。大きな原っぱで俄かの大雨、たったこれだけの物語で天災を悟ってしまうのだから。
こういう真っ直ぐな人物を描かせると白酒は上手い。適当にギャグも放りこんで客席を沸かせていた。

白酒の2席目「犬の災難」、通常は「猫の災難」だが古今亭らしく「犬の災難」で。
違いはオリジナルが隣の奥さんから鯛の頭と尻尾を貰うというところを、こちらは鶏肉を預かるという設定にしている。奥さんが外出から戻って鶏肉を持ち帰ってしまうというのだが、兄いには犬が咥えていったとウソをつく。
オリジナルでは熊が手酌で呑んでいるうちに徳利を倒してしまい、それを吸うというシーンがあるのだが、白酒の演出は最後の一滴まで飲み干してしまう。
このネタは畳にこぼした酒を吸う場面が見せ場になるので、白酒の手法には疑問が残る。
熊が独りで呑む時に、女性と差し向かいという空想するのは白酒独自の演出か。ここで笑いを取っていた。
マクラで、とかく芸人というのは日常、不養生な生活をしていることを誇るような事を言ってるが、実際はそれ程ではないと語っていた。本当に不養生な生活をする噺家もいるが、それは落語家ぶりたいだけだから辞めていってしまうそうだ。
落語家になりたいのと、落語家ぶりたいのでは全然違うわけだ。

扇辰「百川」
3日前に聴いたばかりなので、感想は同じ。

扇辰と白酒、性格も芸風も全く合わないようでいて、どこかウマが合うのだろう。
良い雰囲気の二人会だ。

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コメント

私も「かけない派」ですが、震災直後の落語会で口演中に地震が来たとき、とっさのギャグでお客の動揺を鎮めてしまった喬太郎さんに感動して、偶然帰りの電車でお見かけしたのでご挨拶したことがあります。

やはりいらっしゃたのですね!
そうは思ったのですが、なかなか「この人か!」と見つっけるのが大変です^^
私も噺家に会っても声をかけない派です。
扇辰、ますます腕を上げていますね。
二席目は、国立とかぶったようですね。結構ありますね、そういうこと。
この日はとにかく扇辰の一席目が秀逸だったと思います。
私は初めて聴くせいもあって、良質の「芝居」を見る思いで楽しめました。

YOO様
私も独演会などの出口でお客に挨拶されるケースがありますが、そういう時は会釈を返します。これは礼儀ですから。
礼を失することが無いようにはしています。

小言幸兵衛様
扇辰が全てでしたね。白酒は引き立て役に回っていたような印象でした。
扇辰がこれから落語界を背負っていくとするなら、「文七」や「居残り」といった大ネタをどう演じてゆくのか、その辺りが課題だと思います。

愛する妻を連れていったのに(珍しく)、先に帰して寄り道をするダメ亭主でした^^。
主催者の加藤さんは終演後の打ち上げには出ない人らしいです。
それで弁当を、という配慮なのかも^^。

佐平次様
成るほど、するってぇと楽屋の弁当というのは、打ち上げ費用を節約するための深謀遠慮ですか。
女房が時々このブログをのぞくことがあるので、たまにゃあゴマをすらなくてはいけないんです。これも深謀遠慮。

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