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2013/03/02

3月1日の「詩」

1日遅れになってしまいましたが、昨日は3月1日。
春一番も吹いて暖かくなったと思えば、今日は一転して寒さが戻りました。
「2月は逃げる」といわれていますが、その通りでひと月があっという間に過ぎ去りました。
落語の「夢金」じゃないが「雪は豊年の貢ぎ」なんて言ってるけど、5mも6mも積もったんじゃ洒落になりません。北国の人々の春を待ち焦がれる気持ちが分かります。

上田敏の訳詩集「海潮音」の冒頭の一編が3月1日を歌ったものです。
長いので初めの部分だけ紹介しますが、せめて気分だけでも心はずむ春の到来を味わってください。

燕の歌(ガブリエル・ダンヌンチオ)

彌生ついたち、はつ燕、
海のあなたの静けき國の
便(たより)もてきぬ、うれしき文を。
春のはつ花、にほひを尋(と)むる
あゝ、よろこびのつばくらめ。
黑と白との染分縞(そめわけじま)は
春の心の舞姿。

彌生來にけり、如月は
風もろともに、けふ去りぬ。
栗鼠(りす)の毛衣(けごろも)脱ぎすてて、
綾子(りんず)羽ぶたえ今様に、
春の川瀬をかちわたり、
しなだるゝ枝の森わけて、
舞いつ、歌ひつ、足速(あしばや)の
戀慕の人ぞむれ遊ぶ。
岡に摘む花、菫ぐさ、
草は香りぬ、君ゆゑに、
素足の「春」の君ゆゑに。

(以下、略)

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