立川流落語会・楽日(2013/4/28)
4月26-28日の3日間、国立演芸場で行われた「立川流落語会」、その楽日の28日に出向く。
今回は「立川流真打昇進披露」という趣向。3人のうち談修は談志最後の門下生真打。こしら、志ら乃は志らく門下なので初の孫弟子真打となる。
ふだん寄席に出ない立川流をまとめて聴ける会なので、毎年来ている。本当は3日間通しで聴きたいのだが、人気が高くチケットが取れない。
前座・立川がじら「かぼちゃ屋」
< 番組 >
泉水亭錦魚「大安売り」
立川談慶「洒落小町」
立川談幸「高砂や」
立川談春「三人旅・おしくら」
―仲入り―
立川流真打昇進披露口上「談修、こしら、志ら乃」
立川雲水「看板のピン」
立川左談次「町内の若い衆」
柳家小菊「粋曲」
立川志ら乃「五貫裁き」
前座の「がじら」、志らくの11番目の弟子だとか。志らくの弟子の数だけ突出しているのは、もしかして多数派工作か。喋りはしっかりしている。
錦魚「大安売り」、小咄みたいなネタでは実力は測れなかった。
談慶「洒落小町」、ワコールから落語家へ、ということは「ブラ」が「フラ」ということか。
いつもの談志入院時の筆談エピソードで沸かせた後そのまま突っ走る。何よりテンポが良かったし、お松さんの洒落も下らないが面白く、良い出来だった。
談幸「高砂や」、本寸法の高座でまことに結構、こういうネタで実力が分かる。
談春「おしくら」
落語の「三人旅」には色々なエピソードがあるが、その内の一つ。普段あまり高座に掛からないものだ。
上方では「浮かれの尼買い」というタイトルだそうで、そのものズバリ。
伊勢参りの三人の男が、中山道で馬子に勧められた宿に着く。宿の主がお婆ちゃんで、客そっちのけで世間話に興じる。ここが最初の見せ場。
一風呂浴びて酒が入ると、そこは男同士の旅先のお楽しみ、宿場女郎をリクエスト。これが「おしくら」。
この辺りの宿では飯盛り女が夜になれば女郎、処がこの日は女が二人だけ。それじゃ男が一人あぶれてしまうので、もう一人何とか頼むと、元は江戸で芸者をしていた年増がいると。
そいつは好都合と飛びついてみたら・・・。結果は御想像にお任せする。
ストーリーとしては他愛ないもので、専ら演者の話芸だけで聴かせるネタだ。
こういう会では、やはり談春は格の違いを見せつける。
先ず、人物の演じ分けが上手い。女たちが個性的でありながら揃って可愛らしく見える。短いながら談春の実力を披歴した一席。
真打昇進披露口上「談修、こしら、志ら乃」、談春の司会に左談次、二人の師匠・志らくという顔ぶれ。志らくによれば談修は本格派、志ら乃は師匠の芸風を受け継ぎ、こしらは林家だとか。
雲水「看板のピン」、このネタの上方バージョンは初めてだったが、東京とはだいぶ違う。東京では賽子は「チョボイチ」だが、上方は「ほんびき」。隠居が使う賽は必ず五の目が出るイカサマ。東京の隠居は若者に博打をするなと説教を垂れるが、上方の隠居はイカサマを道具に使いひと儲けするという設定。これはこれで面白い。
左談次「町内の若い衆」、短縮版だったが軽く沸かせた。
小菊「粋曲」、女性の色気ってぇのは年齢とは無関係だと、しみじみ知る。
志ら乃「五貫裁き」
結論からいうと、不出来の一言。稽古不足なのか、前日の披露パーティの疲れなのか、その他の理由なのかは分からないけど。
先ず、リズムが悪い。途中に入る「エー」が多すぎるのと、セリフと説明の間の継ぎ目が良くない。だから聴いてる方が乗っていけないのだ。
一番悪いのは、人物の演じ分けが出来ていなかったこと。セリフを聴いても、いま誰が喋っているのかが分からない。
このての噺は人物の演じ分けが基本だ。
全体としては良かったが、終わりが締まらなかったのは残念。
最近のコメント