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2013/04/07

福島原発周辺で「動植物異常」

反響の大きかった記事だったので読まれた方が多いと思われるが、未だ読まれてない方のために紹介したいのは「東洋経済オンライン」の
『福島原発周辺で「動植物異常」相次ぐ』
という記事だ。
この内容は、3月30日に東京大学内で開催された「原発災害と生物・人・地域社会」(主催:飯舘村放射能エコロジー研究会)で、東大や琉球大学などの研究者が、ほ乳類や鳥類、昆虫、植物から見つかった異常について報告したものの要旨となっている。
原発事故による生物への影響についての研究報告は国内でもきわめて少ない。
今回の発表では、福島第一原原子力発電所からの放射性物質で汚染された地域で、動物や植物に異常が多く見られることが研究者による調査で明らかにされている。

1.稲の遺伝子への影響
つくば市内の研究所で育てた稲の苗を、福島第一原発から約40キロメートルに位置する飯舘村内の試験農場に持ち込んだうえで、放射線の外部被曝にさらされる屋外に置いた。
その結果、飯舘村の試験農場に到着してから初期(6時間後)に採取したサンプルではDNA損傷修復関連の遺伝子に、後期(72時間後)ではストレス・防護反応関連の遺伝子に変化が認められたことが報告された。
この研究を行った筑波大大学院生命環境科学研究科のランディープ・ラクワール教授は「稲に対する低線量被曝の影響調査は世界でも例がない。今後、種子の段階から影響を見ていくとともに、人間にも共通するメカニズムがあるかどうかを見極めていきたい」と語っている。

2.蝶への影響
チョウについて研究内容を発表したのが、琉球大学理学部の大瀧丈二准教授。
大瀧准教授らの調査は、日本国内にごく普通に見られる小型のチョウであるヤマトシジミを福島第一原発の周辺地域を含む東日本各地および放射能の影響がほとんどない沖縄県で採集し、外部被曝や内部被曝の実験を通じて生存率や形態異常の有無を調べたものだ。
ほかの地域と比べて福島県内のヤマトシジミでは、羽のサイズが小さい個体が明らかに多いことがわかったのだ。
また、地面の放射線量と羽のサイズを比較したところ逆相関が見られ、線量が上がっていくにつれて羽のサイズが小さくなる傾向が認められている。
捕獲した個体の子どもについて、福島第一原発に近い地域ほど羽化までの日数が長くなる傾向が見られ、成長遅延が起きていること。
さらに、「親に異常があった場合、子どもでも異常率が高くなる結果も出た」と大瀧准教授は語っている。
写真は、福島市内で採取したエサを食べたチョウで、羽が伸びきっていない羽化不全個体。
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沖縄のエサを食べた個体と比べ、福島県内の個体は死に方でも明らかな異常が多く見られたという。
また、さなぎの殻から抜けきれずに死んだり、成虫になっても羽が伸びきれない事例などショッキングな写真が紹介された。
下の写真は、飯舘村内で採取したエサを食べた個体で、さなぎの殻から完全には抜け出すことができず死んだもの。
2

3.野鳥への影響
東京大学大学院農学生命科学研究科の石田健准教授によれば、浪江町赤宇木地区(福島第一原発から約25キロメートル)野生のウグイス4羽を捕獲したところ、うち1羽から今までに私自身、ウグイスでは見たこともないおできが見つかったという。
また、捕獲したウグイスの羽毛を持ち帰って放射線量を測定したところ、セシウム134と137を合わせて最高で約53万ベクレル/kgもの汚染が判明した。

4.ニホンザルへの影響
日本獣医生命科学大学・羽山伸一教授は、ニホンザルが北海道と沖縄県を除く全国に生息している点に着目し、世界で初めて原発の被害を受けた野生の霊長類として、ニホンザルは被曝による健康影響の研究対象とした。
福島市内で捕獲された396頭のサルと、青森県で12年に捕獲された29頭を比較したところ、土壌汚染レベルが高いところほど、体内のセシウム蓄積レベルも高い傾向があることがわかった。
また、木の皮や芽を食べることが多く、土壌の舞い上がりが多い冬期に、体内の濃度が上昇していることも判明したという。なお、青森県のサルからはセシウムは検出されなかった。
注目すべきデータとして紹介されたのは、避難指示区域にならなかった福島市内のサルについて、ニホンザルの正常範囲より白血球数、赤血球数とも減少しており、白血球は大幅に減少していたこと。
羽山教授は、2011年3月の原発事故以降に生まれた子どものサル(0~1歳)で、汚染レベルと相関するように白血球の数が減っていることを指摘した。造血機能への影響が出ているのではないかと。

これら動植物への研究がそのまま人間への影響に結びつくかどうかは不明だが、こうした地道な研究が行われていることに敬意を表したい。
今回の研究報告について、フランスの大手新聞「ル・モンド」などはかなり大きく扱ったそうだが、肝心の日本のマスメディアではどうだったのだろう。
「アベノミクス」で浮かれていて、それどこじゃないんだろうか。

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コメント

こちらで初めて知りました。
メデイアの知らせる義務はどうなったのでしょう!

投稿: 佐平次 | 2013/04/09 11:08

佐平次様
ご指摘の通りで、日本のマスメディアは無視しているようです。
会社四季報を出している出版社のサイで採りあげているだけですから、実に困ったものです。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2013/04/09 11:28

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