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2013/08/17

国立演芸場八月中席(2013/8/16昼)

暑さの中にも朝夕はそこはかとなく秋の気配が感じられる今日この頃。オレは、さん喬か。
8月16日、国立演芸場八月中席の昼の部(金曜のみ昼夜興行)へ。
こちらもお盆興行だが、トリの歌丸以外は普段の顔ぶれ。鈴本とは対照的で静かなお盆興行だ。
後で小南治が語っていたが、この中席は2007年以来一日も休まず大入り満員が続いているそうだ。
してみるとお盆は国立で歌丸を聴くのを恒例にしている人も少なくないということだ。芸人としてこれほど有り難いことはない。だから一度も穴をあけることなく出演しているのだろう。
落語協会の会長にも見習って欲しいものだ。何だか白酒に似てきたな。

前座・三遊亭遊かり「子ほめ」
<  番組  >
柳亭小痴楽「浮世床」
東京ボーイズ「ボーイズ」
桂小南治「棒鱈」
コントD51「コント」
雷門助六「虱茶屋」と「あやつり踊り」
~仲入り~
春風亭柳好「壺算」
松乃家扇鶴「音曲」
桂歌丸「お熊の懺悔」
(三遊亭圓朝作 語り直して真景累ヶ淵)

小痴楽「浮世床」
5代目柳亭痴楽の息子さんながら若いのに師匠が3人変わって苦労しているのだろう。
当代は3代目だが、初代、2代目ともに人気者だったから、是非頑張って欲しい。
東京ボーイズ
楽器を持った漫才というのはこの二人だけになってしまったのだろうか。それもウクレレと三味線の取りあわせはユニークだ。
謎かけ問答は健在で、古い中に洒落た感性をチラリと覗かせえる。
色物は芸協だ。
小南治「棒鱈」
実力派の一人、独特の節回しがネタに活かされ楽しめた。
場面の切り替えにもう少し「間」が取れれば、もっと面白かったと思う。
コントD51
国立じゃなくて、ここは東洋館かと思わせる臭さ、そこがいいんでしょうね。
昔懐かしのギャグ、こういうのを好む人もいる。
助六「虱茶屋」と「あやつり踊り」
先代譲りの得意ネタと踊りで大喝采。
日々新しくなっていくお笑いの世界だが、こうした伝統を受け継ぐのも大事だ。
「虱」を「ホワイト・チイチイ」というのは死後かな。
柳好「壺算」
短縮版だったが壺算だけにツボは外していない。
明るい芸風で仲入り後のざわついた客席を沸かせる。
扇鶴
男の音曲師も減りましたね。貴重な存在だ。
唄も語りも不思議なイントネーションで、高音では美声を響かせる。
時間と空間がユッタリと流れる高座。
この人、千家松人形の弟子だったんだ。人形さん、綺麗でしたね。

歌丸「お熊の懺悔」
「真景累ヶ淵」の最終章とあり、あの圓生や正蔵さえ高座にかけていなかったようで、三遊亭圓朝以来の高座になるのだそうだ。
歌丸がマクラで、圓朝の作品は大師匠の今輔から教わったと言っていた。それなら本物。圓朝の弟子・一朝から正蔵と今輔二人は圓朝の噺を叩きこまれている。今輔は後に新作主体になってしまったが、若いころに身に着いたものは忘れない。そういう人に指導を受けた歌丸は幸せだ。
さて、粗筋を書こうと思うが何しろ圓朝作というのは人物が複雑に錯綜しており。人間関係の説明だけでこの記事が終わってしまう。だからこれは省略。
もう一つ、「真景累ヶ淵」を紹介しているサイトを見ると、原作は更に複雑なようだ。
歌丸の演出はその中で、新吉にかかわる部分をとりだし編集したと思われる。「語り直して」というはそういう意味だろう。

ストーリーは。
強請に来た甚蔵を谷底に落とし新吉とお賎、再び這い上がってきて襲い掛かろうとした甚蔵をお賎が射殺してしまう。もうここには居られぬと、新吉とお賎は逐電する。
それから7年のある日、茶屋で馬方の作蔵が新吉とお賎に声を掛けてきた。
作蔵から母親の納骨に行く途中の三蔵を馬に乗せるという話をきいた二人は、作蔵と謀って三蔵を殺害し金を奪う。分け前を要求する作蔵も切り捨ててしまう。
逃げ出した新吉とお賎は、雨宿りのため観音堂に入る。観音堂には一人の老尼が居た。
話を聞いているうちに、この老尼こそ、幼いお賎を捨て男と逃げた母親・お熊だと判る。
この老尼が語るには、かつて深見新左衛門の妾で、お賎の父親は新左衛門だという。さらに、お賎には父親が違う兄が居てこれが甚蔵だという。
腹違いの兄妹と判った新吉とお賎、7年間に殺した甚蔵はお賎の種違いの兄。
因縁の深さに恐れをなした新吉、ふと見ると鎌が落ちている。三蔵の焼印が入っていて、新吉がお久を殺し、お累が自害した鎌。
新吉は、”ここにあるのも因縁。”と、鎌を取りお賎を殺し、自らも腹を切る。

歌丸はしっかりとした口調で語り、登場人物の描写も鮮やかにこの難しいネタを演じ切った。
ここ数年の歌丸を見ていると、ますます元気になり芸に磨きをかけてきた。
来年からはどのような演目に挑戦するのか、楽しみだ。

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コメント

出演者・演目も鈴本とは対照的ですね。
鈴本は素晴らしいのですが、なぜか漫才がないのです。
曲芸(紋之助・仙三郎)に紙切り。やはり漫才とかコントなどは欲しいですね。

投稿: 佐平次 | 2013/08/17 11:29

佐平次様
色物は芸協の方が充実していますね。
鈴本のような派手さはありませんが、なかなか良かったです。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2013/08/17 11:41

当代の助六師匠は先代にくらべてソフトな感じですね。先代は映像でしか存じあげませんが、威厳のある感じを受けました。
さて、芸術協会で思い出したんですが、例の立川流・円楽党と番組を組む話はどうなったんでしょうか?

投稿: 福 | 2013/08/20 07:01

福様
決定的な違いは、先代助六はもっと色気と愛嬌がありました。当代はやや線が細い感じがします。
芸協と他流派の関係ですが、時々芸協の芝居にゲスト出演している程度ではないでしょうか。狙いは客寄せでしょうから、芸協自身の努力が基本だと思います。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2013/08/20 10:57

お盆の国立は私も、歌丸師匠の誕生日の14日に毎年欠かさず祝い品を持って通っています。正月に体調を崩されましたが、それ以後は以前よりも元気そうで何よりです。歌丸、助六、小南治、遊雀…と今年の国立は私的には芸協ベストメンバーで楽しめました。また毎年歌丸師匠が助六師匠の高座に、あられもない姿(?)で乱入するのも楽しみです(今年もケーキを食べながら私服姿で登場しました>14日)。完結して、来年の圓朝ものは何を演るのか?。今から楽しみです。

>例の立川流・円楽党と番組を組む話
これは「合流」は難しいでしょうが、定席には先代神田山陽一門の日本講談協会みたいに「提携」で(芸協の寄席に)出れないものでしょうかねえ?。とりあえずは言い出しっぺの新宿の芸協芝居の時に昼夜いずれかのサラ口の一枠を「圓楽一門枠or立川流一門枠(代演も基本的に同一門から)」という感じで番組に組んで欲しいです(代演はこの限りにあらず。但し、代バネは認めない。また圓楽、立川一門真打二つ目で[両国寄席があるからと]定席には出たくない人間は出さなければ良い。参加自由。芸協の寄席で前座修行したい圓楽一門の前座は認められれば楽屋入りする。浅草、池袋、広小路亭は様子を見て…ってな感じでどうでしょう?)。
長々、失礼致しました。

投稿: 林 与志侍 | 2013/08/20 20:56

林与志侍様
16日は遊雀が休演だったのが残念でしたが、充実した中身で楽しめました。歌丸は歳と共に元気になっているようです。
芸協と二流派の提携ですが、詰まる所はお互いどこまで必要性を感じているかに尽きると思います。何を求めるかと言い換えても良いでしょうが。そこを明確にするのが前提ではないでしょうか。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2013/08/21 05:19

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