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2013/08/10

「降圧剤データ操作」にみる「産学官」の癒着構造

製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤「ディオバン」(一般名バルサルタン)の医師主導臨床研究で、同社の社員(当時)がデータ操作に関与した疑いが指摘されている問題で、同社が医師主導臨床研究を行った京都府立医科大など5大学に対し、2002-12年の間に11億円を超える寄付をしていたことが明らかになった。
大学ごとの寄付金額は、
京都府立医科大:約3億8170万円
名古屋大:約2億5200万円
千葉大:約2億4600万円
慈恵医科大:約1億8770万円
滋賀医科大:約6550万円
の順。
いずれも同社の医師主導臨床研究にかかわった大学で、臨床研究の主任研究者が主宰する研究室などに対して寄付したとしている。

ヤッパリ、というのが率直な感想だ。
製薬会社からカネを貰ったから、大学側がデータを改ざんし、効果があるような形で論文を書いたという、実に単純な話なのだ。
やれ元社員がどうの、元教授がどうのと責任を押し付けているが、それは違う。
こんなに多額の寄付を頂きながら、試験を依頼された薬品がまったく効果がありませんなんて結果が出せるわけがない。
もし効果が不明瞭なら、効果がはっきりするような条件に変更してテストする。
それでもダメならデータそのものをいじるしかない。
それで大学側も製薬会社も双方ハッピーになり、また来年からも継続して寄付が頂けるという寸法。
どこでもやってることだから、研究者も罪の意識に苛まれずにすむ。
製薬会社の社員が論文そのものを書くことだってそう珍しいことではない。

大学側にも事情はある。
研究には多額の費用がかかる。しかし十分な研究予算が確保できるわけじゃない。
教授側は学生に卒業論文や博士論文をまとめさせねばならないが、大学側からの研究予算だけではとても足りない。
実験機器や測定器というのはバカ高いのだ。しかも日進月歩、どんどん新しい機器が開発される。先進的な研究をしようと思えば、測定機器も最新なものが欲しい。
頼れるのは製薬会社だ。次々と新薬を開発しなくてはならないし、カネは唸るほどある。
ここで相互の利害は完全に一致するというわけ。

企業から大学への寄付は二通りあり、一つは使途を特定しない奨学寄付金方式で、もう一つは契約書で取り決めた使途にしか使用できない委受託研究契約方式に分けられる。
ノバルティスファーマ社は前者の方式をとっていたようだが、どちらを選択しても本質的な違いはない。

こんな実情、厚生労働省は百も承知、二百も合点。
見て見ぬふり、つまりは暗黙の了解を与えている。
厚労省は常に製薬会社の味方だ。経産省が電力会社の味方と同じように。
かくして治療効果のない新薬が次々に発売され、私たち患者は医療費を払いながら治験者にされているわけだ。

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コメント

アメリカもひどいようですが、、ここも対米追従ですか。

佐平次様
大学も金集めの上手い人が出世する。金力=権力ですから。
困ったもんです。

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