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2013/08/23

近ごろ気になる、「させて頂く」の乱用

近ごろやたらに耳にするのが「させて頂きます」という表現の乱発だ。
政治家や芸能人あたりが盛んに使いだして一般に広めたのだろう。少なくとも私の若いころには使った記憶がないし、他人のそうした表現を耳にするのも稀だった。
政治家で最も多用したのは鳩山由紀夫だったと記憶しているが、今では猫も杓子も、総理の会見でさえ使われる。実に不快。
芸能人が交際がバレタリすると、「お付き合いさせて頂いております」なんて答えている。
この分じゃ、いずれ、
合体させて頂き
妊娠させて頂き
出産させて頂き
結婚させて頂き
離婚させて頂きました
ってなことになるんだろう。勝手にしろだ。
どうも「させて頂く」を敬語か謙譲語と勘違いしているフシがある。

この言葉がイヤなのは、「させて頂く」というのはこちら側の許諾あるいは承諾を得た上で、ある行為を行うという意味だからだ。
2007年に文化審議会が文科相に答申した「敬語の指針」に、「させていただく」の表現について書かれているが、こうある。
【「…(さ)せていただく」といった敬語の形式は,基本的には,自分側が行うことを,
ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,
イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。
したがって,ア),イ)の条件をどの程度満たすかによって,「発表させていただく」など,「…(さ)せていただく」を用いた表現には,適切な場合と,余り適切だとは言えない場合とがある。】

例えば私が友人に本を貸して、後日「あの本、どうでした?」と訊いたとき、相手が「早速読ませて頂きました」と答えるのは正しい。
何故なら、自分が相手に本を薦め、相手もそれを好意的に受け止めているからだ。
それに反して、当方が許可も承認もした憶えがないのに、一方的に「させて頂きます」などと言われるのは心外だし、敬語どころか却って慇懃無礼に感じてしまう。

自分の意志で行うのなら「します」「いたします」で十分だ。
「させて頂きます」などと他人に押しつけないで欲しい。
「汚染水は海に流させていただきました」なんて真っ平御免。

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コメント

俺は私はセレブだぞ!お前たちとは違うんだ、とそっくりかえりたくとも根っこのない哀しさ、せめて珍無類な言葉を使うことで優越感を満たしているのではないでしょうか。
能楽堂なんか(歌舞伎座にはいかないからわからないけど)にもいますよ。
拝見させて頂き楽しませていただいてます。

佐平次様
何でもかんでも「いただく」時代。
そういえば「勇気をもらう」「元気をもらう」ってぇのもヘンな表現ですね。
ありゃぁ「貰う」もんじゃなくて「出す」もんでしょ。

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