フォト
2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

« 「チャリティ和一寄席」(2013/9/22) | トップページ | 【ツアーな人々】みそ、梅干し、豆腐、コンニャクも、みな液体だって? »

2013/09/23

「半沢直樹」最終回は妥当な人事で決着

9月22日に最終回をむかえたTVドラマ「半沢直樹」だが、「東京本部」編になってからどうも荒唐無稽な印象が強かったが、最後になってリアリティが出てきた。
それは結末の人事だ。

その前に、ドラマで盛んに出てくる「出向」という言葉だが、大きく分けて二つある。
一つは在籍出向、つまり籍は元の会社に置いたまま、別の企業や団体の所属し仕事をするケースだ。一定期間が過ぎるか、当初の目的を果たせば元の会社に戻れることが多い。
もう一つは転籍出向、こちらは従業員を別の会社に異動させ、かつ籍まで移すことである。特別の事情がない限り(例えば、先方で業績を上げて役員としてカンバックする)、元の会社に戻ることはない。
ドラマでは度々出向を片道切符と表現しているが、それは後者の場合だ。
処が、タミヤ電機に出向させられていた近藤直弼が東京中央銀行に戻ってきたところを見ると、ドラマで言っている出向は在籍出向のようだ。
ドラマを見ていると、出向=島流し、というようなイメージを持たれるかも知れないが、実際には人事交流やキャリアアップの一環として行われることも少なくなく、必ずしも否定的に捉えることはない。

さて、最終回では金融庁検査を乗り切った半沢直樹が同期の力を借りながら、遂に役員会の席上で大和田暁常務の不正をあばき、謝罪に追い込む。
これにて一件落着。
この結果を受けて、銀行の中野渡謙頭取は三つの人事を発令した。
1.不正を指示した大和田常務を取締役(いわゆるヒラ取)に降格する
2.不正にかかわった岸川慎吾取締役を出向させる
3.不正をあばいた半沢直樹次長を出向させる
ドラマでは詳細な説明がなかったが、岸川は役員だったので転籍出向となるのだろう。一方、半沢は近藤の時と同様に在籍出向と想定される。

さてこの一連の人事が妥当かどうか、ネットでも話題になっているようだが、私見では概ね妥当だと思う。
先ず中野渡頭取だが、今までのドラマの展開を見る限りでは役員たちを完全に掌握していないようだ。つまり頭取の鶴の一声で全てが決められるという状況にないようだ。大和田のように虎視眈々と頭取の追い落としを策しているのが分かっていながら、一気に排除することもままならない。また合併した組織の融和も不十分だ。
そうなると中野渡頭取としては先ず自分の足元を固めるのが先決だ。
そこで実力はあるが自分に敵対していた大和田を取り込み、その弱みを握り自由に操れるとしたら、これは有利だと考えたに違いない。
こうした頭取としての力を見せつけておけば、これから役員会は自分の意のままに従わせることができる、そう計算したのだろう。

その代りに懲罰の対象は岸川にして、片道切符の出向とした。特に金融庁の黒崎主任検査官との個人的つながりが明らかになれば、銀行として信用問題に発展しかねないので、早く尻尾切りする必要があった。

では半沢直樹の人事はどうかというと、半沢の活躍は中野渡頭取としては有利な材料にはなった。
しかし特定の社員がインフォーマルなグループを作り、社内の調査活動を行うのを見逃しておけば、組織の規律が保てなくなる。
また半沢の大和田に対する告発は、単に社員としての使命感や正義感だけではなく、個人的な復讐の意味も兼ていたことが分かった。特に謝罪までさせたのは明らかに行き過ぎだ。
いくら結果オーライでも、このまま放置しておくことはできない。
そこで少し頭を冷やさせるためも含めて、関連企業への出向を命じたものと思われる。
頭取の腹としては、いずれ半沢の力が必要になればいつでも手元に戻せば良いと考えているんだろう。

会社は人事が全てであり、経営権とは人事権であることを示したわけで、頭取の判断は全体として妥当だったという事ができよう。
終わってみれば、中野渡頭取体制の確立を描いたドラマだった。

« 「チャリティ和一寄席」(2013/9/22) | トップページ | 【ツアーな人々】みそ、梅干し、豆腐、コンニャクも、みな液体だって? »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

私はこのドラマを見てないのですが、人事交流としての出向、左遷としての(ほとんど片道)出向、使命を帯びての出向、4回ほど経験しましたが本社にいるよりずっと楽しかったです。出向しない時も地方にいるほうが、できるだけ現場に近い方が楽しかったなあ。

佐平次様
私は片道切符の出向でしたが、良い事も嫌な事も色々経験できたのは人生にプラスだったと思います。
社内では出向を通して飛躍した人もおり、様々です。

はじめまして。

半沢直樹を最後まで見ていた私にとっては、最後の出向はどうなのか?っという疑問になりました。銀行というところの人事など分からず、こちらの言葉を読んで納得しました。
 確かに、企業は組織という事が一番になりますね。自分自身も勤める側にとって納得のいかない事が多々ありますが。
 組織体制というのは重要なのかなっと思いましたw ここまでの判断が出来るようになりたいきがしましたw

takechi様
ようこそ。
半沢直樹はフィクションですから色々な見方ができます。
私の見立ては、このドラマの本筋は社内の権力闘争です。その見方からすると、頭取が大和田を残すと決めた段階で、半沢を残すという選択肢は無くなりました。
ただ半沢や同期の人たちから見れば納得できないでしょう。
もし続編があるなら、その辺りの事情からスタートするんではないでしょうか。

私は在籍出向一回、転籍一回を経験しています。
転籍は外資との合弁だったのですが、合弁解消で会社に戻りました。
いろいろ、経験しました。

ドラマの最終回は見ていませんが、視聴率42%とは驚きですね。
現実のサラリーマンが、やりたくてもできない「倍返し」が痛快だからでしょうか。
私はこのドラマ、途中から引きました。

小言幸兵衛様
金融危機の時に不良債権が山と積まれましたが、経営責任を問われたのは極く僅かでした。会社を私物化し不正な蓄財をした経営者はそれこそ星の数ほどいるでしょうが、告発されるのは稀です。
「倍返し」なんて夢の又夢。その荒唐無稽なところがヒットの要因なのでしょう。
でも最後に少し現実を見せた、まあそんな所でしょうね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「半沢直樹」最終回は妥当な人事で決着:

« 「チャリティ和一寄席」(2013/9/22) | トップページ | 【ツアーな人々】みそ、梅干し、豆腐、コンニャクも、みな液体だって? »