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2013/09/07

「ありがとうございました」はヤッパリ変だ

近ごろやたら耳にする言葉「ありがとうございました」、ネットでも再三話題に上っているし賛否両論があるようだが、あれはヤッパリ変だ。
どうやら「ありがとうございます」の過去形として使っているようだ。
TV番組の司会者やリポーターあたりが使い始めたのではと睨んでいるのだが。
これは「ありがとうございます」が正しいし、「ありがとうございました」は誤用といっても良い。
この言葉は「ありがとう+ございます」の形だ。

語源辞典を見ると「ありがとう」の語源は、形容詞「有り難し(ありがたし)」の連用形「有り難く(ありがたく)」がウ音便化し、ありがとうとなったとある。 「有り難し(ありがたし)」は、「有る(ある)こと」が「難い(かたい)」という意味で、本来は「滅多にない」や「珍しくて貴重だ」という意味を表した。
中世になり、仏の慈悲など貴重で得難いものを自分は得ているというところから、宗教的な感謝の気持ちをいうようになり、さらに近世以降感謝の意味として一般にも広がったものだ。

「ございます」は「ござります」の音変化で、近世江戸以来の語とされる。
意味は大きく二つに分かれる。
1.「ある」の意の丁寧語。「あります」より丁寧な言い方。
2.(補助動詞)補助動詞「ある」の意の丁寧語。
1.の用例としては「おあつらえ向きのお品がございます」。
2.の用例としては「ただ今ご紹介いただいた00でございます」「おめでとうございます」「おはようございます」。
1.の意味なら「・・・がございました」という言い方はある。
しかし「(ありがとう)ございます」は2.の意味だ。

つまり、「ありがとうございます」というのは、感謝の意を丁寧に表したものと考えることができる。
「感謝」とは、ありがたいと思うこと、ありがたさを感じて謝意を表することだ。その原因となることが1時間前だろうと10年前だろうと、いま現在も感謝しているのであれば現在形を用いるべきだろう。
「感謝します」あるいは「感謝しています」とは言うが、「感謝しました」とは言わない。
先の「ございます」2.の用例でも、「おめでとうございました」「おはようございました」とは言わない。
さすれば「ありがとうございました」という言い方は誤りと考えられ、少なくともメディアに携わる人間は使うべきではなかろう。

もっとも、過去には感謝していたが今は感謝の気持ちがない場合、「あの時は感謝しましたよ」という表現の代りであれば、「ありがとうございました」と言い方もあるのかも知れないが。

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コメント

昔社用でいってた高い寿司屋は「まいどありがとう存じます」といってたけれどこれならいいのかな。寿司はウマかったです。

佐平次様
「毎度ありがとう存じます」とは言うけど「毎度ありがとう存じました」とは言いません。
やっぱり感謝の過去形は変なんです。

先代文治が、若手噺家が「ありがとうございました」と言うと、「ありがとうございます、だ!」と叱っていたのが有名ですが、さすが“ラッキーおじさん”は正しいことを言っていたのですね。

小言幸兵衛
文治は正しいです。
「たかたのばば」は「たかだのばば」、「あきはばら」は「あきばはら」であり、JR(さかのぼれば国鉄、省線)の誤用が一般化してしまいました。

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