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2013/10/20

#413花形演芸会(2013/10/19)

10月18日、国立演芸場での「第413回 花形演芸会」へ。
”鈴々舎馬るこ”が今年度NHK新人演芸大賞~落語部門~の大賞を受賞したらしい。演目は先日聴いたばかりの「平林」とか。悪くないけど、NHKコンクールの選考基準が変ってきたのかね。あるいは落語そのものが変ってしまったのか。
この花形演芸大賞もいずれ”萬橘”や”天どん”が取るようなるのかしらん。喜ぶべきか、はたまた憂うべきか・・・。
ゲストに談春を迎えての会、談春がこういう席に出るのは珍しいんじゃなかろうか。それにしては意外なほど簡単にチケットが取れたのだが。

<  番組  >
前座・柳家緑太「やかん」
立川こはる「真田小僧」
ふくろこうじ「クラウン」          
U字工事「漫才」           
古今亭菊志ん「紙入れ」         
―仲入り―
立川談春「かぼちゃ屋」
エネルギー「コント」           
菊地まどか「壺坂霊験記」(曲師=佐藤貴美江)

前座の緑太、セリフの「間」が取れているし、二ツ目が近そうだ。
こはる「真田小僧」、アタシがただ一人実力を認めている女流落語家。マクラで談志から「女か?」と言われてというエピソードを紹介していたが、女流というより少年のような風貌が有利に働いているのかも知れない。このネタ、2-3年前に聴いた時に比べ練られていたが、「悪達者」にならぬよう気を付けた方が良い。
ふくろこうじ「クラウン」、パントマイムとジャグリングを併せた芸で洒落た雰囲気がある。演出が工夫されていて寄席の色物としても十分イケテル。
U字工事「漫才」、TV出演が多いのか人気があるようで盛大な拍手で迎えられた。アタシは芸能番組やバラエティを見ないもので知らないんです。この会では何度かお目にかかっているが、毎回栃木県の自虐ネタを中心に面白く聴いている。TVを中心に活躍している芸人が、こうしたお金を払って聴きに来る客の前で演じるというのは良い事だ。芸が錆びないと思う。
”サンドウィッチマン”も出てくれないかなぁ(ナンダ見てるじゃねえかと、自分で突っ込む)。
菊志ん「紙入れ」、この日は談春と色物を目当ての人が多かったようで、周囲に寝ている人が散見された。
いつ聴いても同じマクラじゃ飽きがくる。工夫が必要。
昔から女遊びの諺に「一盗・二婢・三妓・四妾・五妻」というのがあるが、人妻との恋というのが最高とある(当方は未経験)。歌舞伎や落語などにこの道ならぬ恋がテーマとしてしばしば取り上げられるのもその為だろう。このネタも「風呂敷」と並ぶ代表的な間男モノだ。
菊志んの演出は年増が若い男を誘うサマを目の動きで表現していたが、やり過ぎで品がない。こうした艶笑落語はむしろ抑え気味の表現の方が好ましい。

談春「かぼちゃ屋」、語るべき故郷もなく寄席にも出ないのでと言って本題へ、ああ最初から楽屋にいたんだ。
談志のは聴いたことがないが、演出は先代小さんを基本にしていて
叔父「なんで飯を食うか知ってるか?」
与太「箸と茶碗じゃねえか」
叔父「当たりめえだ」
与太「でもライスカレーは匙で食う」
という会話や、与太郎が長屋の男にカボチャを売って貰って帰ろうとして、
男「ありがとうございますとか何とか言え」
与太「どういたしまして」
というギャグも小さん譲り。
談春の独自性は、与太郎の間抜けぶりを一層増幅させていることと、長屋の男がいかにも江戸っ子らしい気風の良さを見せるところだ。「上を見ろ」と叔父に言われた与太郎が、男がカボチャを売っている間中、顔と両手を上げて「ウォー」と叫んでいた。長屋の男も同情心というより、与太郎が面白いから代りに売ってあげるという解釈だ。
こうした人物の造形は上手い。しっかりした語り口と明解な人物像が談春の魅力。短い時間ながらその魅力を客席に焼きつけていた。
オイオイお客さん、ここで帰るなよ。

エネルギー「コント」、狂言コントでこの日はマックの店員編。
菊地まどか浪曲「壺坂霊験記」、立ち姿が良いし美声。昔の人気を失いつつある浪曲界にこうした魅力ある若手が次々生まれているのは結構なことだ。落語と違って浪花節なら女流でもトップに立てる、そういう芸能だ。
ただ演目の選定はどうなんだろう。盲人が信心のお蔭で目が明くというのは落語のネタにもいくつかあるが、「壺坂」の場合は宗教臭や儒教臭がかなり強い。寄席の色物として演じるにはどうなのか。
それと「壺坂霊験記」といえば浪花亭綾太郎。アタシは一度観たことがあるが、ご本人が盲人で曲師の奥さんから手を引かれて舞台に上がり、冒頭の名調子「妻は夫を労わりつ、夫は妻を慕いつつ」が始まる。客から見ると、演目の主人公夫婦と本人たちが二重写しになるから感情移入出来たのだ。他の演者ではあれだけ一世風靡したかどうか疑問だ。 
実力はあるんだろうから、寄席に相応しい演目を研究してみたらどうだろうか。
かつて広沢菊春という素晴らしい寄席の浪曲師がいたんだから、良い手本はある。

ゲストと前座を除けば落語は2席だけというのは、いかにも寂しい。もっと若手が積極的に出演して欲しい。                              

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コメント

昨日、NHKで馬るこの「平林」を聴きました。森昌子や前川清が飛び出す一席。上方の露の紫「厩火事」と決選投票になりました。

私がこの番組で忘れられないのは王楽が獲った年に、菊六(現文菊)の演った「やかん」です。この若手はうまいなと感じました。

福様
スミマセン、TVの演芸番組を見ないもので、このコンクールの模様も見ておりません。
一方で実力のあると思われる人が予選で落ちているようで、どうも選考の公平性に疑問を感じています。
馬るこの「平林」、悪くはないが大賞になるのかなぁというのが、率直な感想です。
文菊は上手いですね。出来ればもう少し語りに柔らかさが出てくれば文句なしです。

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