「秘密」は二度美味しい
公安警察のトップである警察庁警備局、警備企画課には二人の理事官が配置されているのだそうだ。うち一人は「ウラ」を担い、公安警察最大の秘密組織のキャップを務める。通称「チヨダ」とか「ゼロ」と呼ばれるその組織には「I・S」という別働隊もある。この部隊が狙うのは政治家やマスコミの動向だという。年間十数億円ともいわれる潤沢な予算を使って活動している組織だそうだ。
内部では「幅広情報」と称され、中央政界をはじめ地方議会にいたるまで、与野党を問わず政治家のスキャンダルを集めている。
こうして集められたスキャンダルは重要秘密として内部で管理されていて、いざという時の材料にされる。
例えば民主党政権下で中井国家公安委員長の愛人問題が週刊誌にスクープされたが、この情報は「I・S」によってもたらされたものだという。
最近の例でいえば、山本太郎参議院議員の一連のスキャンダル報道で、これも典型的な公安リーク。
公務員には以下のような守秘義務が課せられている。
【国家公務員法 第100条第1項 「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と定めている。違反者は最高1年の懲役又は最高50万円の罰金に処せられる。
地方公務員法 第34条第1項 「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」と定められている。違反者は最高1年の懲役又は最高3万円の罰金に処せられる。】
しかし、こうした「公安リーク」は過去にも度々行われていたにもかかわらず、処罰されたことがない。つまり権力の方針や思惑にそった秘密漏えいなら見逃されるのだ。
「秘密」というのは「秘密にする」のと「秘密をバラす」という楽しみ、つまり一粒で二度美味しい。
現行の公務員の守秘義務でさえ厳格に運用しようとしない政府が、なぜいま「特定秘密法案」の成立を急ぐのか。
「秘密保護法案」が、公務員以外のメディアや一般国民に対して広く網をかけられるからだ。
国民監視法といわれる由縁はそこにある。
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