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2013/12/01

池袋演芸場11月下席・楽日(2013/11/30)

池袋演芸場は他の寄席と違い、下席は昼の部のみで夜は「落協特選会」となっている。その昼の部も通常より開演時間が1時間ほど繰り下がり、入場料も安い。その下席の楽日へ。
池袋演芸場は客の入りが悪いことをよく噺家がネタにするが、アタシがたまに来るときはいつも客が入っている。もっとも満席でも100名程度だから他の寄席に比べれば人数は少ないのだが。その分、高座と客席が近いので、ここを好む人もいるのだろう。
志ん輔が池袋は男の客が多いと言っていたが、これが寄席本来の姿だ。志ん生の話では、かつての寄席は出演者が5-6名で、客はみな煙草盆を前に置いて紫煙をふかしていたそうだ。夕刻から始まりハネは夜の10時ごろ。そんな場所に女性が来るはずがない。吉原と同様に男の世界だったわけだ。
こういう客を相手にして芸を磨いたから名人が生まれたのだろう。なら、これから先は名人は出ないのかも知れない。

前座・古今亭半輔「初天神」
<  番組  >
古今亭志ん公「手紙無筆」
三升家小勝「長短」
入船亭扇治「加賀の千代」
ホンキートンク「漫才」
三遊亭歌奴「掛取り」
三遊亭金時「猫の災難」
-仲入り-
古今亭志ん陽「のめる」
柳家小はん「二人旅」
伊藤夢葉「奇術」
古今亭志ん輔「明烏」

前座の半輔「初天神」、喋りがしっかりしていて、二ツ目も間近のようだ。
志ん公「手紙無筆」、いかにも落語家らしい落語家。手紙で宛名が「八公」と書かれているというので八が不満を言うと、隠居は名前に「公」が付くのは皆偉い人、落語家だって志ん公が・・・、それは言いたかったか。
小勝「長短」、さすがに煙草の吸い方に年季が入っている。こういうネタはこうした細部が大事。短七さんに愛嬌があって可愛らしい。調べたら当代は8代目。6代目の「右女助の小勝」は新作と古典両刀使いで人気があったが、小勝を襲名してから覇気が薄れてしまった。7代目は早逝してアタシは見てない。三升家の名跡を守るためにも長生きして頑張って欲しい。
扇治「加賀の千代」、扇辰より1年先輩だが随分と若く見える(あっちが老けてるか)。近ごろ珍しいほどの楷書の芸で、かえって新鮮にうつる。
ホンキートンク「漫才」、初めて知ったのだが、ベテラン漫才コンビの「大瀬ゆめじ・うたじ」はコンビを解消していたんだ。40年やっていてもダメな時はダメなんだ。そこいくと落語家はいいねぇ、一人で気が合うから。このコンビ、見る度に面白くなっている。
歌奴「掛取り」、この位置でこのネタを掛けるという了見がいいじゃありませんか。「寅さん」の物真似という独自のクスグリも入れて楽しませてくれた。やがて「圓歌」を継ぐか。
金時「猫の災難」、全て隣の猫のせいにして酒を独りで呑んでしまう男を愛すべき人物のように描いている。この人は実に酒を美味そうに呑む。床にこぼれた酒でさえ美味そうに吸ってみせた。
志ん陽「のめる」、久々だったが、この人はこういう軽い滑稽噺は上手い。「困り顔」が良く似合う。
小はん「二人旅」、初見。経歴をみると最初は3代目三木助に弟子入りし、その死後、5代目小さん門下に移ったとある。扇橋と同じような芸歴だ。そのせいか江戸の粋とトボケタ味わいがある。演出はほぼ小さん譲りだったが所々にダジャレを挟み楽しませてくれた。余芸に小唄や新内とあり、声が良いのはそのせいか。
夢葉「奇術」、師匠と同じ典型的な喋る手品師。寄席の色物としてはこれで十分。
志ん輔「明烏」、師匠・志ん朝譲りのネタで気持ち良さそうに演じていた(実際は難しいんだろうけど)。日向屋半兵衛、貸し座敷の女将、太助いずれも「眼は口ほどにものを言い」で、眼の演技を巧みに活かしていたのが印象的。

前座からトリまで誰一人として緩まぬ高座が続き、こういう寄席にはめったに出会えない。
久々の池袋、堪能しました。

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コメント

豪華メンバーですね。
楷書の芸が新鮮、同感です。
力がないとダメでしょうが。
小はん、粋です、あれを粋と感じる人がどのくらいいるのかな。

投稿: 佐平次 | 2013/12/01 10:52

佐平次様
小はん、粋ですね。やはり踊りや音曲の下地があるせいか、あるいは三木助のDNAか。
折角の芸だから、もう少し出番を増やしてもいいのではないでしょうか。

投稿: HOME-(ほめ・く) | 2013/12/01 11:20

私も池袋の下席昼の部、結構好きです。
小はん、粋ですよね。
おっしゃるように扇橋と同じような経歴で、扇橋の高座を見れなくなった今、もっと寄席に出て欲しい人です。
池袋は、あの高座との密着感、なんとも言えないですよね。

投稿: 小言幸兵衛 | 2013/12/01 19:00

小言幸兵衛様
小はん、粋で実に結構な高座でした。もっと寄席に出て欲しい噺家だと思います。
演者も客も程よく、とてもいい気分の下席楽日でした。

投稿: HOME-(ほめ・く) | 2013/12/01 21:28

扇治について「近ごろ珍しいほどの楷書の芸で、かえって新鮮にうつる」と書かれていますが、おっしゃるとおりですね。今夏、やはり池袋で「堀之内」を聴きましたが、このはちゃめちゃな噺でも、細部の描写が丁寧だったと記憶しています。

投稿: 福 | 2013/12/02 08:41

福様
このネタ、初めに三三や一之輔の行書草書を観ていたので、オリジナルだとこうなるのかと妙に感心してしまいました。
扇橋一門も人材豊富です。

投稿: HOME-(ほめ・く) | 2013/12/02 13:06

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