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2013/12/15

#12らくご古金亭(2013/12/14)

12月14日、湯島天神参集殿1階ホールで行われた「第十二回 らくご・古金亭」へ。
数ある落語会の中でも、雲助一門と当代馬生一門の噺家が「5代目志ん生と10代目馬生が演じた噺だけを演じる」という明確なコンセプトを持つ珍しい会だ。常連が多いが初めて来た人でも十分に楽しめる内容となっている。毎回ゲストを招いているが、この顔ぶれと演目が良く考えられていて、よほどプロデュースがしっかりとしているのだろう。もう少し客が入ってもいいと思うのだが。

<  番組  >
前座・金原亭駒松「豆屋」
金原亭馬吉「饅頭こわい」
蜃気楼龍玉「親子酒」  
柳家蝠丸「江島屋」*   
五街道雲助「掛取り」 
~仲入り~
柳家小満ん「雪とん」* 
金原亭馬生「富久」
(*印:ゲスト)

前座・駒松「豆屋」、身体も声も大きくて良い。
馬吉「饅頭こわい」、饅頭の中に”肉まん”も、確かにあれも饅頭か。快適なテンポで手際よくまとまっていた。真打が近いだろう。

龍玉「親子酒」、禁酒している時に呑む酒は実に美味い。この親父さんも誘惑に勝てなかったと見える。息子に説教中に眠ってしまうとは泥酔のし過ぎのようで、息子もグズグズに酔ってましたな。

ゲストの蝠丸「江島屋」
この会に芸協の噺家が出るのは珍しい。紹介によれば芸協の怪談の名手とか。このネタも蝠丸と歌丸ぐらいしか演じ手がないそうだ。今回で聴くのは3度目位だと思うが、様子が3代目三木助を思わせる。
「江島屋」又は「江島屋騒動」だが、元は三遊亭圓朝作「鏡ヶ池操松影」で長編だそうだが、その中の江島屋という古着屋が悪事が原因で店が潰れるまでの部分。
芝日陰町の古着屋街の大きな店構えの「江島屋」だが、店だけは立派で中身は火事で焼け残った着物を糊で貼り合せるというイカモノ商売。
ある時、番頭の金兵衛が商売で下総へ行く藤ヶ谷新田で、雪の中、道に迷う。ようやく1軒のあばら家をみつけて泊めて貰うが、そこに住んでいたのはガリガリに痩せた白髪の老婆。
夜中に目を覚ますと、その婆さんは囲炉裏に友禅の切れ端をくべて、何か字を書いて箸で突き刺している。
あまりの恐ろしさに訳を聞くと、かつてこの女の娘が名主の息子と婚礼となり、江戸で「江島屋」という店で婚礼衣装を買いそろえた。花嫁は馬に揺られて名主宅まで行くのが当時の習慣であった。歩き始めると雨が降りだし、着く頃には濡れ放題に濡れてしまった。
その晩、嫁が招待客にご馳走をふるまっていたが、急に立ちあがった時に客の一人から着物の裾を踏まれていた。婚礼衣装はのり付けされたイカモノで下半身が取れてしまった。客は笑い、娘は泣き崩れ、婚礼は破談になってしまった。
翌日、娘は神崎の土手に恨みの着物の片袖をちぎって、柳に掛けて身を投げてしまった。
その恨みを晴らすため、「江島屋」の主人から奉公人を殺し店も潰れるように、灰の中に「目」の字を書いて、箸で突いているのだという。
驚いた番頭は夜の明けるのも待ちきれず、江戸に戻ってきたら店に「忌中」の札が下がっていた。聞くと奥様が急死したと言う。通夜の晩に小僧が2階から落ちて死んだと言う。
それからしばらくして、主が蔵の商品を調べたいのでと番頭を呼び、一緒に蔵に入った。蔵の隅には若い女がいて、婚礼衣装を着けているが腰から下が無い。
番頭は主に、藤ヶ谷新田での婆さんの事を詳しく話して、「江島屋を盲目にしてやる」と火箸で灰を突く仕種をすると、その先が主の目を突き盲目になってしまう。
植え込みを見ると、藤ヶ谷新田で見た痩せ細った婆さんが、濡れたまんまで立っていた。
結局、そのまま「江島屋」は潰れてしまう。
志ん生から先代馬生へを受け継がれてきた噺だが、蝠丸は明快な語り口で聴かせてくれた。この人の明るいキャラのせいか、この噺を陰惨に感じさせなかった。
収穫の1席。

雲助「掛取り」、上手いし、何を演らせても様になる。いう事なし。

ゲストの小満ん「雪とん」
志ん生が得意としたネタで、元々は「お祭り佐七」という噺の一部。上中下と分ければ「中」に相当するのがこの「雪とん」、もちろん冬の噺。
船宿に泊っていた、地方から出てきた大事なお客様の若旦那がここの所具合が悪いらしい。女将が聞き出すと”恋患い”だという。相手は本町2丁目の糸屋の娘で器量良しだが身持ちが固い。
諦めろといったが若旦那は聞き入れず「杯の一つでも酌み交わしたい」と言い、ダメなら死んでしまうと言い出す。女将も人の命には代えられないのでと、娘の女中に話をし小判2枚を包んで頼み込む。
女中は、それでは明日の晩、四つ時にトントンを合図に裏木戸を開けるからと約束してくれた。それから先は若旦那の腕次第ですよと。
その晩大雪になり、若旦那は道を間違えて木戸を叩いたがどこも開けてくれなかった。
ちょうどその頃に、年が25,6の役者のような色男が通りかかり、足駄に雪が挟まり黒塀に近づいてトントンと雪を落とした。これを合図と勘違いした女中に案内され娘の部屋へ。
あまりにもイイ男だったので娘は一目惚れ、結局その晩二人は枕を交わすことに。
早朝、色男が木戸から送り出されたのを一晩中雪の中を歩いていた若旦那が目撃し、後を付けていくと自分が泊まる船宿の女将と話をしていた。女将に聞くと男はお祭佐七と言って、彼が歩いていると街中の女達が取り巻いてお祭のようだと言うので、お祭佐七とあだ名されていると言う。
「お祭りだって!それでダシにされた」。
この噺は粋で洒脱な演者でなければ出来ない。そういう意味では小満んはピッタリ。
娘の家で佐七が先に床に入っていると、寝間着姿の娘が「お休みあそばせ」と挨拶にくる。佐七が馴れた手つきで親指と人さし指で着物の裾を掴んで引くと、「アレー!」と言って娘が布団に倒れ込む。
こんな描写は、小満んでなけりゃ出来ないね。
それにしてもこの糸屋の娘、年が18とか。昔の娘さんというのは随分と大胆だったんだね。もっとも、相手によるのか。

馬生「富久」、年末のトリ根多に相応しい演目で締め。幇間の久蔵の造形が良く出来ていて、久さんの喜怒哀楽に一緒に感情移入してしまった。

いずれを採っても好演熱演、落語会としては今年のベストと言ってよい結構な会でした。

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コメント

ここにきてベストの会、うれしいですね。
明日の睦会、どうなるかな。

投稿: 佐平次 | 2013/12/16 10:49

佐平次様
終わりよければ全て良し
段々良くなる法華の太鼓
じゃないが、1年の終わり近くにこうした会に出会えたのは幸せでした。
年内の落語会もあと3回、まだまだ楽しみが続きます。

投稿: HOME-(ほめ・く) | 2013/12/16 22:30

喬太郎も肉まんで演っていました。
割り方の所作がたくみで、肉まんの膨らみと、熱さを客席に伝えました。
よい落語会だったようで、何よりです。


投稿: 福 | 2013/12/18 06:54

福様
そうですか、喬太郎のは聴いているはずですが、この部分は憶えていないんです。さん喬はどうでしょうね、こちらは聴いたことが無いんです。
この会は企画がしっかりしているので毎回充実しています。今回は特に良く出来ていました。

投稿: HOME-(ほめ・く) | 2013/12/18 09:21

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