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2013/12/29

#22大手町落語会(2013/12/28)

12月28日、日経ホールで行われた第22回『大手町落語会』へ。
これが今年最後の落語会となる。

<  番組  >
前座・柳家さん坊『つる』
桂文治『掛取り』 
柳家さん喬『福禄寿』 
~仲入り~
瀧川鯉昇『武助馬』
柳家権太楼『芝浜』

この日に限ったことではないが、前座はメクリが出ないことが多いので、先ず名前を名乗った方が良い。まさか「顔を見りゃ分かるだろう」でもあるまい。
文治『掛取り』     
掛取りに来る人は狂歌好き、落語好き(文治のオリジナルか)、喧嘩好きの3名。
新聞や雑誌でも「川柳」欄はあるが、「狂歌」というのは見ない。一般的ではなくなったのだろうか。
因みに「狂歌」の定義は、世界大百科事典によると次の通り。
【狂歌は狂体の和歌であり,和歌の形式に卑俗滑稽な内容を盛ったものである。狂歌は素材用語においてはまったく自由であり,〈縁語〉〈懸詞〉〈本歌取り〉を駆使しつつ日常卑近の事物・生活を詠ずる。古典のもじりは狂歌の方法の眼目で,雅を俗に転じてそこに滑稽感をかもし出す。その先蹤(せんしよう)は早く上代の《万葉集》の戯笑(ぎしよう)歌や無心所着(むしんしよぢやく)歌,中古の俳諧歌に求められる。狂歌という名目はすでに中古の《喜撰式》や《和歌肝要》に見える。】
狂歌は川柳に比べ約束事が多いので難しいのかしらん。「本歌取り」なんて少なくとも万葉・古今・新古今の和歌を身に着けていないと出来ないしね。
ある程度教養がないと狂歌を作れないから落語では専ら大家の趣味となっているんだろう。
「落語好き」では柳昇や彦六らから権太楼までの物真似を披露して会場を沸かせていた。文治はサービス精神旺盛。

さん喬『福禄寿』、六代目円生の持ちネタで、この噺を頻繁に掛けるのはさん喬しかいないだろう。
深川万年町に福徳屋萬右衛門、子供が18人いた。これじゃズボンを履く暇が無かったんじゃん(これはアタシのクスグリ)。13人が実子で5人は養子。長男を禄太郎、次男を福次郎と言い、次男が実子。長男は派手好きで大きな事ばかりやるが永続きせず破産状態。弟はまじめで商売熱心で店の切り盛りも次男をしている。
暮れの雪の晩、親類縁者を集めてお祝いをするが、そこには長男の姿がない。宴席が終わった後に、貧相な格好をした長男が母親の離れに庭から訪ねてきた。また金の無心。今度こそは最後の無心だからと弟から300円都合してくれと言う。福島で土地を買えばドーンと儲かるというのだ。度々の無心で母親がこんこんと説教するが、そこへ長男が訪れて来るので母親は慌てて次男を部屋の隅に隠す。
長男を部屋に入れると、宴席に残った酒肴と、誰か暮れに困っている人が居たら自由に使って良いと300円のお金を置いて行く。
その金を母親から受け取った長男は好きな酒を呑み酔ったまま帰って行く。
雪の降りしきる外に出た途端に転んでしまうが、お構いなしにこの金で吉原へ遊びに行こうか、どこかでパッと使おうかと想像をめぐらす。
次男が外出から戻ってくると、下駄の間に何か挟まった。よく見ると母親に預けた300円の包み。母親の所に駆けつけ何か泥棒でも入ったかと案じたが、長男に渡した金だと分かり安堵する。
そこで次男が、人間には分限があって、1升袋は一升以上は入らない。お兄さんは小さい器なのに大きな事ばかりしているもので、身代限りを続けるのでしょうねと話す。
そこへ兄が 戻ってきた。今の話を全部外で聞いていたのだ。自分の分限を初めて知ったと言う。悟った長男は今までの事を詫びて10円だけ借りて福島県に旅立ち、荒れ地を開拓し資本を得た。やがて北海道に渡って亀田村を開墾し立派に成功したという。
三遊亭円朝作の『福禄寿』の1席。
放埓な実子である長男のために堅実な養子である次男から度々金を借りてあげねばならない母親の苦しい胸の内をさん喬は丁寧に描いていた。二人の息子の描き分けも十分、特に降りしきる雪の情景描写はさん喬の独壇場だ。さん喬の温かい人柄が、この噺にほのぼのとしたものを感じさせる。

鯉昇『武助馬』、秋口から風を引いていたようで、この人の手にかかると風邪さえも笑いの種になる。マクラではいかにもヤル気のなさそうな事を言いながら、ネタに入ると熱演するという所は喜多八に似ている。
笑いの少ない『武助馬』をここまで爆笑編にしてしまうのは、さすがと言うしかない。

権太楼『芝浜』、マクラで、今年はいいことずくめだった。板橋区民栄誉賞、紫綬褒章の受賞と、明治学院大学の客員教授に就任とのこと。これからは「ゴンちゃん」などと呼ばず「教授」と呼んでくれと。落語家もステータスが上がってきましたね。もやは芸人じゃなくて文化人か。
ネタは当初『睨み返し』を予定してそうだが、文治の『掛取り』とかぶってしまうので別の何かを。そこで会場から『芝浜』と『寝床』のリクエストの声が飛ぶ。オレは紙切りじゃないんだからと言いながら、結局『芝浜』を選択。
本人も言ってたように三木助の形とはだいぶ異なる。
①早朝に女房が亭主の魚屋を起こす場面がない。翌日の起こす場面もない。
②拾った50両のことで女房が大家へ相談に行くのが、亭主が風呂の帰りに仲間を引き連れて飲み食いし眠ってから後という設定。
③魚屋の亭主が真面目に働きだして3年後も表通りに店を構えることなく、相変わらず棒手振りのままでいること。
④大晦日に女房が全てを打ち明けた後、二人で酒を呑もうとする所。
などの違いだ。以上の改変に違和感はない。
ただ、女房が亭主に事実を打ち明ける場面がくどい。それに女房が泣きすぎる。演者にあまり余計な力が入り過ぎると、観ている方がシラケテくる。
全体の出来としては感心しなかった。
それにしても噺家はなぜ『芝浜』を演りたがるんだろう。三木助以後、このネタで成功したと言えるのは談志だけではなかろうか。志ん生・志ん朝親子なぞ失敗作というしかない。
暮に『芝浜』を演るのは落語家の自己満足かな。

相変わらずの辛口で、1年の締め。
残る二日は恒例の『My演芸大賞』の発表です。

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コメント

文治はたしかにサービス精神旺盛ですね。
柳昇の物真似は見たことがありますが、ゴンちゃん、いやもとい、教授の物真似とは・・・
想像もつきませんが、「代書屋」の客の口調でもマネたんでしょうか?

投稿: 福 | 2013/12/30 07:00

福様
権太楼の形態物真似から入ってました。喬太郎もよく演りますが、真似し易いんでしょうね。「芸協の落語家は客をハラハラさせる所が良い」などの芸協自虐ネタも披露。他には円丈の物真似も。
サービス精神は先代譲りですか。

投稿: HOME-(ほめ・く) | 2013/12/30 08:39

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