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2013/12/21

J亭落語会「一之輔独演会」(2013/12/20)

12月20日、JTアートホールアフィニスで開かれた”J亭落語会「風」シリーズ「春風亭一之輔独演会」”へ。
飛ぶ鳥を落とす勢いとはこのことで、今や一之輔の独演会は軒並み前売り完売、それも数か月先までも。それだけコアのファンが多い証拠だ。会場を見ると女性客、とりわけ30凸凹~40凸凹と思しきご年齢の方が目に付く。もちろん、この会場らしいスーツにカバン姿のビジネスマンの人たちも多い。
この勢いがどこまで続くのか、どこかで壁にぶち当たるのかも興味のある所。
マクラで言ってたが、アタシのネーミング(流行ってないけどね)である「三白一兼」世代で、三三、白酒、兼好らが次々と弟子を取り始めたようだ。百栄まで、何を教わりたくてあの人の弟子になったんだろう、弟子じゃなくて実は監視員じゃないかと、これは一之輔が語っていた。私は取りません、だっていま弟子を取ったら、あいつは天狗だと言われるに決まってる。それでなくても、そう思われているんだからと。まあ35歳でこれだけ世間から持ち上げられたら天狗になるなという方がムリでしょう。また芸人なんだから、いい意味で天狗になるのは悪いこっちゃ無い。

<  番組  >
前座・柳家さん坊「金明竹」
春風亭一之輔「代脈」
古今亭志ん八「ニコチン/魚男」
春風亭一之輔「茶の湯」
~仲入り~
春風亭一之輔「鼠穴」

二つ目の志ん八「ニコチン/魚男」、会場がJTということで「ニコチン」を。禁煙した男にニコチンが訪ねてきて断ると次に電子タバコが来る。ニコチンの誘惑に悩んでいる所へ今度はアルコールが訪れ・・・。禁酒落語ならず禁煙落語。
ここで終りと思ったらもう1席「魚男」、釣りだけが趣味の男と旅行好きな女房とのヤリトリで、これは本人の趣味からの創作のようだ。「趣味」をキーワードとすれば一之輔の2席目ともつながるわけで、ネタの選び方が気が利いている。
近ごろの若手には珍しく低いテンションの高座だが、語りはしっかりしているので聴きやすい。

一之輔の1席目「代脈」、しばしば寄席にもかかるが、アタシにはどうもこのネタの面白さが分からない。面白かったのは志ん朝の高座だけ。医者の弟子である銀南を与太郎風に演じるケースが多いのだが、そんな人間をわざわざ代脈に遣わせる医者の心境が分からない。志ん朝のように程々の愚か者(これからの修行で使い物にになるかも知れない程度の)という描き方でないと説得力がない。
一之輔の演出では銀南が羊羹の薀蓄をたれる場面に力点を置いていたが、成功したとは言い難い。

一之輔「茶の湯」、一之輔を一字で表すなら「進」だろう。常に進化するので「進」。この人の「茶の湯」を初めて聴いたのは数年前にもなるか、その後何度か聴いているが、その度に内容を変えている。今回の変化は特に大きく別物みたいに感じた。終いには茶の湯の席がまるで新興宗教の道場のように描かれ、定吉の人格が壊れてゆく。客席は大いに沸いていたが、これが「進化」なのか「改変」なのかは判断の別れるところだ。
ここまでの2席を聴いた限りでは、一之輔はどこへ向かおうとしているのか、何を求めているのかがよく分からない。

一之輔の3席目「鼠穴」、一転して人情噺。
圓生の演出と比べ大きく変えている所は、弟が火事で焼け出され再び兄の家に金を借りに行くと、商人が女房を持つなんて元々贅沢だ。その女房が病の床に臥せていると言うと、兄はそれは寿命なんだから諦めろと言い放つ。夢の中の兄が一層冷酷な人間として描かれていて、物語の悲劇性を増す演出となっている。
しっかりとした語り口はいかにも一之輔らしさが出ており、このシリーズの年の終わりに相応しい好演だった。

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