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2013/12/31

輝け!『My演芸大賞』2013の発表

年末恒例の『My演芸大賞』2013を発表する。
この1年間で寄席や落語会で聴いた噺の中で特に優れたものの中から、大賞1点、優秀賞数点を選んだ。
結果は以下の通り。
記載は、演者、演目、日付、会の名称の順。

【大賞】
柳家権太楼『百年目』5/2「鈴本演芸場5月上席」

【優秀賞】
笑福亭三喬『月に群雲』3/18「芸の饗宴シリーズ」
笑福亭鶴瓶『お直し』4/13「大手町落語会」
露の新治『大丸屋騒動』6/22「三田落語会」
五街道雲助『妾馬(通し)』9/14「らくご古金亭」
入船亭扇辰『野ざらし(通し)』7/7「神楽坂落語まつり」
林家染二『しじみ売り』9/30「JAL名人会」
柳家喬太郎『品川心中(通し)』10/14「扇辰・喬太郎の会」
柳家小満ん『雪とん』12/14「らくご古金亭」

【講評】
今年は全体として豊作の年で作品を絞るのに苦労した。

噺を聴いて感動するといった経験は年にそう何度もあるわけではないが、大賞とした権太楼『百年目』は正にそれに該当する。よけいなクスグリや改変を行うことなく圓生の演出をそのまま受け継いだような高座だった。この演目の最も大事な所は「品格」だ。権太楼の演じる大店の主人にはその品格があり、番頭の乱行に出会ってから店に戻り一夜明けて翌日番頭に説諭するまでの心理変化が巧みに表現されていた。主人がどんな思いで一晩過ごしたかが目に浮かぶのだ。
権太楼の高座ではベストであり、近年聴いた『百年目』の中でもこの高座がベストだった。

優秀賞には上方と東京からそれぞれ4点ずつが選ばれた。
泥棒ネタを得意とする三喬『月に群雲』では、泥棒と故買屋の主との軽妙な掛け合いが面白かった。師匠・松喬の急逝があり、今年は惣領弟子としての苦労も多かったものと察する。
鶴瓶『お直し』は、この人がこれほど上手いとは思わなかった。不甲斐ない亭主のためにケコロにまで身を落とした女の哀れさと、どん底での夫婦の情愛が見事に描かれていた。
新治『大丸屋騒動』は、見かけとは異なる骨太の高座を見せてくれた。2年続けての鈴本の中トリなどで新治を通して上方落語の魅力に取りつかれた東京のファンも多いのでは。
染二『しじみ売り』では、厳寒の中をかじかんだ手に息を吹きかけながら天秤棒を担ぎシジミを売る少年の姿に、悲惨な身の上話に、涙が出た。語りの確かさと所作の美しさに優れた高座だった。

東京の4名の共通項は「江戸の粋」だ。
今年は、前半だけで後半を演じられる機会の少ないネタを通しでの口演する試みが目立つ。
扇辰『野ざらし(通し)』は、このネタで現役では小三冶と並ぶ出来。
雲助『妾馬(通し)』は、このネタの後半はこれほど面白いのかと再認識させてくれた。他にも良い作品があり迷った結果、この演目を採った。
ここのところ低迷していたように思われた喬太郎だが、今年はいくつか良い高座に出会えた。『品川心中(通し)』はネタおろしとは思えない完成度の高さを見せ、後半も観客に分かり易いように変えていた点を評価した。
小満ん『雪とん』は正に「江戸の粋」を体現したような高座だった。お祭り佐七がお嬢さんの寝巻の裾を指先でチョイと引くだけで「アレー!」と言いながら倒れ込むなんて描写は、この人ならでは。アタシが同じことをしたら引っ叩かれますぜ。

本年のブログもこれにてお開き。
皆さま、良いお年を!

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

ここに来るとかなり私の好きな噺家に絞られてきました。なんかウレシイ。

佐平次様
最後は落ち着くべき所に落ち着いてしまいましたか。
1年間を通して拙ブログにコメントを頂き深謝します。
どうぞ良いお年を!

古典落語はジャズのスタンダードナンバーと同じで、「何を」は確定しているため、「いかに」に重点が置かれているんだと思います。
東京の受賞者が江戸の粋を表現したというお話ですが、その「いかに」は演者によって色々なんだと推察します。
さて、今年も勘違いだらけの意見やら感想やらを述べまして失礼しました。
よいお年をお迎え下さい。

福様
こちらこそお世話になりました。落語の受け止め方は十人十色、それが又いい所です。
私が特定の落語家との接触を嫌うのも、ファン同志の交流を避けるのも、自分勝手を押し通したいという思いがあります。
来年も我儘な記事を書き続けると思いますので、宜しければご贔屓のほどを。
どうか良いお年を!

あけましておめでとうございます。
大晦日は連れ合いの実家である越後への移動や、少し呑みすぎたこともありコメントを書けませんでした。
ほめ・くさんならではの選択ですね。
私は原則として土曜の夜や日曜の落語会に行かないこともあり、対象の落語会に行けていないものが多いですが、新治、三喬、小満ん、権太楼、扇辰などの名前があるのが、うれしいです。

本年もよろしくお願いいたします。


小言幸兵衛様
おめでとうございます。こちらこそ本年も宜しくお願い致します。
私の女房も新潟出身ですが、先年義父が亡くなってからは行く機会が減りました。
今年も又いい高座に出会えるのを期待したいです。

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