政治家の「失言」は失言にあらず
政治家の「失言」はしばしば話題にのぼるが、政治家はそれ程バカではない。一見、失言に見えて、実際には十分に計算の上の発言であることが多い。
12月11日、自民党の石破茂幹事長は11日、日本記者クラブで会見し、特定秘密保護法で指定された秘密を報道機関が報じることについて「何らかの方法で抑制されることになると思う」と述べた。特定秘密に関する報道は規制する必要があるとの考えを示したものだ。
さらに、秘密を報道した場合について「最終的には司法の判断だ」と発言している。処罰の対象になり得るとの見方を示した。
秘密法では「国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない」と明記されており、正当な取材で秘密を入手した場合は処罰の対象にならず、秘密を報じた場合の罰則規定もない。
石破茂は約2時間後、自民党本部で記者団に「(秘密を)漏洩した公務員は罰せられるが、報道した当事者は処罰の対象にならないということだった」と訂正した。秘密に関する報道についても「抑制を求めたものではない」と釈明した。
報道では石破幹事長の法律に対する無理解が原因とされているようだが、それは違う。自民党の幹事長が秘密保護法を知らないわけがない。
これは報道機関に対する警告であり、脅しだ。こういうことも起こり得るので、報道には注意しろよというサインと見るべきだ。
先日のデモをテロ視した発言も計算されたものと見てよい。これも後に撤回したが、反政府デモはテロとして扱う場合もあるぞという警告だ。
石破の一連の発言は計算した上での「失言」だろう。
「特定秘密保護法」の最大の目的は法を犯した者を処罰することではなく、メディアに自主規制を求めることにある。理想的には国民を「見ざる聞かざる言わざる」にすること。
だからこの法律によって実際に罰せられるという者は極めて稀になるだろう。伝家の宝刀を抜くぞ抜くぞと見せかけて黙らせる、これが最も賢いやり方だ。
秘密法の本音の部分を幹事長に発言させている点にも注目したい。
第一次安倍内閣は閣僚の失言や不祥事で短命に終わってしまった。だから政府首脳や閣僚には安全運転を指示し、いわば汚れ役を石破にやらせているのだろう。
石破がつぶれても安倍首相としては痛くも痒くもない。党内最大のライバルがつぶれるのはむしろ好都合。
話は変るが、猪瀬都知事の不正資金問題。
次の都知事候補には維新を飛び出した東国原が名乗りをあげるらしい。
これじゃまるで「そのまんま」じゃん。
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お化け妖怪の国ですね。
投稿: 佐平次 | 2013/12/13 10:00
佐平次様
安倍、石破、石原、猪瀬、東国原らの動きからは、まるで狐狸妖怪、魑魅魍魎の世界を見ているような気分になります。
投稿: HOME-(ほめ・く) | 2013/12/13 12:25