あなたも「テロリスト」
ナチスが各国を侵略し住民を弾圧したり殺戮したりした時に、それぞれの国で抵抗運動が起きた。
私たちはそれをレジスタンスと言っているが、ナチス側は「テロ」として、そういう人々を「テロリスト」と呼んでいた。
忠臣蔵の赤穂浪士だって、「其の所以のものは、元是長矩、殿中を憚らず其の罪に処せられしを、またぞろ吉良氏を以て仇と為し、公儀の免許もなきに騒動を企てる事、法に於いて許さざる所也。」として切腹を命じられた。彼らも幕府側からいえば「テロ集団」だ。
「テロ」や「テロリスト」というのは実に便利な言葉で、客観的な事実に基づくものではない。誰が決めるのかといえば権力側や政府が決める。彼らが「テロ」だと断じればそれが「テロ」になる。
そのことを如実に示したのが、昨日の石破氏のブログだ。
自民党の石破茂幹事長は11月29日付の自身のブログで、特定秘密保護法案に反対する市民のデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と指摘した。
これこそ彼らの本音だ。
「秘密保護法」も、いま検討が進められている「盗聴法改正」も、国の安全保障、とりわけテロ対策に重点が置かれている。
その「テロ」とな何かといえば、徒党を組んで政府の方針に声高に反対を叫ぶ行為が「テロ」であり、そういう人々は「テロリスト」となる。
誰が決めるのかといえば、政府が決める。
そういう本音が石破幹事長から思わず出てしまったということだ。
「テロリスト」に指定されてしまった人たちは日常的に盗聴や電子メールの監視が行われ、少しでも特定秘密に触れるようなら捜査の対象になり、場合によっては逮捕され処罰を受けることになるだろう。
それが決して遠い未来の話ではないことを、今回の件が示している。
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» 石破発言は見逃せない シュプレヒコールがないデモは葬列だ 国民主権の葬列だ [梟通信~ホンの戯言]
冷静に平穏に話して済むなら、国会議員に任せていて済むなら、だれがこの寒空にデモに参加するか。
黙って歩いていたら葬式じゃないか。
やむにやまれぬ思い、怒り・訴え・願いを天にもとどけと絶叫するのがテロだと!
知らしむべからず、黙って従え、異論を挟むなど論外、頭が高い。
彼らの国民観がはっきり露呈された。
彼らの取り戻したい日本の姿もはっきりした。
それはデモが禁止され静かな、命を失った世界だ。
イシバ君、レッドカードだよ。
あなたの発言の根っこには国民蔑視、それとうらはらの自分... [続きを読む]
史上最悪のテロ国家であるアメリカに唆されて秘密保護法の制定を急ぐ安部政権こそ見ようによってはテロの手先なのかもしれません。
無人飛行機で他国領土を侵し民間人をも殺戮する情報の手先になるのでしょうから。
投稿: 佐平次 | 2013/12/02 09:24
佐平次様
「テロ」を判断するのは政府ですから、これほど便利な概念はありません。
機密漏えいにしても、権力や政府の思惑で行う場合は処罰に対象にならない。
「秘密保護法案」というのは正確に言うと「政府による情報コントロール法案」です。
投稿: HOME-(ほめ・く) | 2013/12/02 13:11