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2014/01/05

鈴本演芸場初席・夜(2014/1/4)

今年の寄席は1月4日の鈴本演芸場初席・夜の部(第3部)で幕開け。
やはり正月というと寄席の初席に足が向くことになる。もっとも3が日を過ぎると客席の晴れ着の姿もなくなり普段の変らないが、高座の方は初春に因んだ番組が並ぶ。高座の下手には鏡餅が飾られている。
今年はチケット前売り発売日に鈴本に並んだので、最前列が取れた。めったに一緒に来ることがない相方への大サービスだ。世間広しといえど、こんな結構な亭主はそうそう居るもんじゃない。感謝しろよ。

<  番組  >
三増紋之助『曲独楽』 
林家しん平『漫談』
ホームラン『漫才』 
柳家小せん『一目上り』
桃月庵白酒『ざる屋』
伊藤夢葉『奇術』 
柳家喬太郎『夫婦に乾杯』
宝井琴調『寛永三馬術 出世の春駒』
柳家小菊『粋曲』 
柳家権太楼『代書屋』
~仲入り~
太神楽社中『壽獅子』  
柳家花緑『つる』
入船亭扇辰『紋三郎稲荷』
柳亭市馬『厄祓い』
林家正楽『紙切り』 
柳家三三『締込み』

初席はたいがい鈴本に来ているのだが、その最大の理由は他に比べて口演時間が長いからだ。他の寄席だと平均で5分、下手すれば3分なんてこともあるが、鈴本の場合は平均7分程度だ。
もちろん、じっくり噺を聴きたい人には不満だろうが、初席は顔見世と雰囲気を味わうもの。
それと、時間が短いため余計なマクラが無く、いわばネタのエッセンスのみ語られるので、アタシ好みなのだ。こんな短い時間でどうやってまとめるんだろうという興味も湧く。
以下、いくつかピックアップ。

しん平、手製の狛犬の被り物をして客席に有難いお祓い。まさか正月早々じゃガイコツ踊りも出来ないしね。
ホームラン、勘太郎が差し歯が抜けてしまったそうで少し息が洩る。女性は髪が命、芸人は歯が命。
小せん『一目上り』、メデタイ根多。
白酒『ざる屋』、鈴本の客は裕福そうに見える。最低でも1000円以上の洋服を着てるとホメて、メデタイ根多。
夢葉、この人の弟子だと「不要」になるか。
喬太郎『夫婦に乾杯』、連れ合いが「太ったわね」。いいえ昔からだよ。どうやら昇太の創作落語のようだ。
酒のツマミ付きの新酒の命名会議が始まり、孤独な夫のためにというコンセプトで、「孤独酒」「ロンリー酒」だの、妻に向かって「そのまま寝てろ」「もう起きてくるな」だのというネーミングが提案される。結婚三年目の若手社員だけが、「奥さんの休養日」「いつもありがとう」といったネーミングを提案するが、他の社員からはお前の家は可笑しいぞ、日本の夫婦らしくないと非難される。帰宅すると初めはいつもの仲睦まじい会話が続くのだが・・・。
他の演者のは聴いたことがないのが、喬太郎の演出は若奥さんの仕種が可愛いらしい。
これもオチでは一応メデタシか。
琴調『寛永三馬術 出世の春駒』、三代将軍・徳川家光が増上寺へ参詣の折り、愛宕山の麓にやって来ると、この急な石段を馬で一気に駆け上り梅を一枝採るよう命じる。馬術に自信がある者が、次々に名乗りを上げ挑戦するが、あえなく失敗してしまう。そんな中、名乗りを上げたのは、生駒家の家臣・真垣平九郎。はたして、その結末は・・・。これもメデタイ根多。
小菊『粋曲』、正月らしいメデタイ曲を。連れ合いが「この人、けっこう年いってるわね」。フン、自分の事は棚に上げてさ。
権太楼『代書屋』、連れ合いが「家のCDと一緒だ」。当りめえだろうが。
太神楽社中『壽獅子』で正月気分を盛り上げ。そういえばアタシが子どもの頃には、正月に獅子舞が各家庭に回っていたっけ。
花緑『つる』もメデタイ根多。小三冶の代演といういことで盛んに恐縮していた。短いながら出来は12月の「県民ホール寄席」より良かった。濃縮効果だ。
扇辰『紋三郎稲荷』もメデタイ根多。いつも通りの飄々とした高座姿。
市馬『厄祓い』、これもメデタイ。
8代目文楽の十八番。黒門町っていう人は面白い。古典を代表する大ネタを得意としながら、こういう軽いネタも数多く手掛けている。「かんしゃく」「やかん泥」「しびん」と並べても共通性が感じられない。
三三『締込み』、初席の夜トリの代替わり、さぞかしプレッシャーを受けているのだろう。緊張が客席にも伝わってくる。これもまた文楽の十八番だ。弟子の7代目橘家円蔵が演じる女房のお福が何とも可愛らしく、好きだった。
三三の高座は一部技巧に走る所があり気になったが、全体としては良い出来だったと思う。このネタはもっと素直に演じても十分に笑いが取れる。このまま「三三時代」が続くのかどうかは本人の精進にかかっている。

初席第3部は、若いトリを柳家の諸先輩が周囲で支えるという構図だった。

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コメント

奥様とご一緒で初席とは、春から縁起(演技?)がよろしいですね^^
なかなか良い顔ぶれですね。
私は逗子で落語初めでしたが、寄席もいいですよね。
三三がこの重責を果たした後で、どう変わるか注目しています。

小言幸兵衛様
しん平を除けば全員が漫談で逃げず一席ずつ演ったのには感心しました。
上々の初席でした。
逗子も宜しかったようですね。

私は明日の国立名人会、カミさん孝行のつもりですが敵はそのあとの飯の方に関心があるようです。

佐平次さんと掛けて、刺身料理と解きます。そのココロは、どちらも「つま」が大切です。

落語協会の巨人打線といった感のある番組ですね。
初席は「華やか」「和やか」というゆかしい言葉を思い出させてくれます。

ご挨拶が遅れましたが、本年もよろしくお願いします。

福様
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
”初席は「華やか」「和やか」”というご指摘通りの高座でした。柳家の隆盛を感じます。

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