闇に消えた「政党助成金」
国民の税金を政党に配る「政党助成金(政党交付金)」制度は1995年のスタートし19年間が経った。
この間に各政党に配れた総額は5996億円にのぼる。
19年間に金を受け取った政党は32党だが、そのうち24党が解散あるいは消滅している。政党数でいえば3分の2が助成金の交付を受けておきながら消えていった勘定になる。世間ではこういうのを「食い逃げ」と呼ぶ。
年末になると新党が出来るのは毎年恒例の行事となっているが、これはズバリ交付金欲しさだ。世間ではこうした輩を「不見転(みずてん)」と呼ぶ。つまり理念や政策などそっちのけで、金のある方へ転ぶ。
なんのことはない、税金を使って政治を腐敗させているようなもんだ。
受取額の最高はもちろん自民党で2716億円、実に総額の45%を上回る。何かというと生活保護所帯をナマケモノ呼ばわりする自民党議員から、交付金の廃止という主張が出ないのは不思議だ。
民主主義の要諦は政党が国家から独立していることであり、政党が国家からの資金援助を受けるというのは自殺行為に等しい。全体主義的な国家と言われても仕方あるまい。
百歩譲ってこの制度を認めるとしても、現行の「政党助成金」制度はあまりに欠陥が多く、政党に一方的に有利なものになっている。
1.受け取りを拒否した政党があると、その分を他の政党が山分けできる。
2.国会議員の数で左右されるので、地方政党は支給対象にならない。
3.交付金目当ての政党の離合集散がしばしば起きる。
4.交付金の使途が制限されていない。大事な税金が投入されているのにも拘らずだ。
5.政党が税金依存体質になってゆき、自ら努力することを怠る。
6.交付金が余った場合は国庫に返納する建前になっているが、実際には殆んど返納はされていない。
7.解党直前でも支給される。
要は、権利があるのに義務がないというオイシイ制度なのだ。
国民に対しては厳しい事を要求しながら、自らは甘い制度の上に乗ってノウノウとしているとしか思えない。
以上のように「政党助成金」制度は国民の税金のムダ使いでしかなく、百害あって一利なし。
直ちに廃止するしかない。
何故なら、この制度が出来る1995年以前に、金が無くて潰れた政党は皆無なんだから。
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