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2014/02/19

「一之輔独演会」(2014/2/18)

「みなと毎月落語会『春風亭一之輔 独演会』」
日時:2004年2月18日(火)19時
場所:麻布区民センター
<  番組  >
前座・立川らく人
春風亭一之輔『浮世床(本)』
春風亭一之輔『普段の袴』
~仲入り~
春風亭一之輔『花見の仇討』

港区で毎月行われる落語会、いえアタシは港区には住んでませんよ。誰でも参加はできる。
会場のある六本木、夜になると歩いている周囲は外国人が目立ち歩道に英語が飛び交う。立ってる人が通行人に声をかけて、
What are you doing?
I'm doing something.
なんてね。良く分からなかったが多分そんなヤリトリだったような。

一之輔がマクラで落語ブームは終わったと言ってたが、確かに一時に比べ客足は落ちてるようだ。完売になるのは志の輔と小三冶ぐらいか。談春の独演会でも当日券有りと出ていた。その小三冶が出る会でも、発売日が数日過ぎてから主催者に電話したら、未だかなり残っているとの返事だった。
一之輔独演会は前売り完売が続いているようだが、この会も数日前にダメモトで電話したら席が取れた。
一之輔は「元に戻ってフツーになったんです。なんでもフツーがいい」と言ってたがその通り。ブームはいずれ去るしバブルは崩壊する。本物だけが残る。

この日の会場は年配者が多かった。周囲の席で女子フィギュアが話題になると「フィギュアって、オナゴの方?」、女子をオナゴと読むんだから相当なお年だ。
数年前までの一之輔の会というと若い人が多数だったが、それだけファン層が広がったという事だろう。
この会の前座は主催者側が決めるらしい。そういえば主催は立川企画、それで立川らく人か。
基本が出来ていないのにギャグだけが新しい、頭デッカチの高座。
一之輔は古典をそのまま演じることがない。必ずと言っていいほどヒネリを利かす。どう演ったら客に受けるか常に考えて高座に臨んでいるんだろう。研究熱心なんだね。
そこが特長でもあり人気の秘訣でもあるのだろうが、一歩間違えるとアザトサにもなる。

一之輔の1席目『浮世床』では、いきなり将棋から入り、そこから「本」へ。この男は字が読めないという設定だったが、字は読める。ただカナの拾い読み程度なので、つっかえるし遅いのだ。「1尺2寸の大太刀を」という所を「1尺8寸」にしていたが理由がよく分からない。
将棋のシーンで、片方の男が王様をフンドシに隠して「両側から金で守る」というクスグリと、姉川の合戦を読むシーンで「姉がカワラケ、妹はボーボー」「そりゃオカシイよ、姉がカワラケなら妹もカワラケが自然だろう」というクスグリ、双方ともに下ネタだが繰り返されるとチョット嫌だね。3席目の『花見の仇討』でも花見の趣向で全裸で首つりすれば親父もセガレも両方ブラブラというクスグリを入れていた(こんなに詳しく書かなくてもいいんだけど)。下ネタ3回は度が過ぎるし、第一、芸が下品になる。これだけは頂けない。

続いて2席目『普段の袴』、8代目正蔵が得意としていたが曾孫弟子の一之輔も持ちネタとしてしばしば高座に掛けている。前半の武士と道具屋の主とのユッタリとした会話から、後半は一転する対比が鮮やかに描かれている。八五郎が大家に袴を借りに行くシーンで、大家が袴を使う理由を尋ねる際に通常は「祝儀・不祝儀かい」と訊くのだが、一之輔は「祝儀と不祝儀がぶつかちまったのかい」としている。これを受けて八が、往来で祝儀と不祝儀がぶつかって喧嘩になりその仲裁に袴が要ると言い訳をするのだが、この方が話の流れとしては自然だ。
掛け軸の鶴の絵を褒めるシーンで、道具屋が文晁(の作)ではないかと言うと、八が「文鳥じゃない、どう見ても鶴だ」と言った後で、「文鳥は手に乗るが鶴は手に乗せられない」と付け加えているのは良い。この方が聴き手がイメージし易い。

一之輔の3席目『花見の仇討』、2月というのは中途半端な時期でネタ選びには苦労するのだろう。少し早めだが花見のネタ。この日の悪役の名前は鈴々舎馬風。
この人には珍しいくらい真っ直ぐに演じていた(先に書いた首つりを除いては)。それでも話芸がしっかりしてるから十分面白く聴ける。
ただ今日気が付いたのだが、この人は酔っ払いの描写があまり上手くない。これからの課題かな。

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コメント

下ネタは一番難しいのではなでしょうか。
うまく使えばぐっと良くなるけれど、、。
落語ブーム下火、そういえばこのところ私も登板回数が減ってます^^。

佐平次様
回数が多かったのと、あまりクスッと笑えない下ネタでしたね。安易な姿勢も感じられ、せっかくの逸材なのだから、もっと正攻法で臨んで欲しい。
ブームが下火になった要因としては、同じような顔ぶれの同じような落語会が増えすぎたということもあるでしょう。

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