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2014/02/08

「正社員ゼロ法案」が進行中

都知事選が明日に迫った。都知事選は単に一地方自治体の首長選にとどまらず、今後の国政の行方にも影響を及ばすから結果が注目される。
選択の一つは、猪瀬前知事の選挙資金をめぐる不正疑惑を受けての選挙なので、先ずは清廉潔白な人が好ましい。政治家を評価する場合、何を主張しているかが問題ではなく、肝心なのは何をしてきたかだ。そういう基準で明日は意中の候補に投票する。

国政に目を転じて、日本をどういう国にして欲しいのかという点では、真面目に働いていさえすれば食っていけ、つましいながらも家族が持てるような暮らしが送れるという国、これが最優先されると思う。
しかし安倍内閣の政策はこれと逆行している。その一例が、いま準備中の「労働者派遣法の改正」だ。
厚労省の「労働政策審議会(労政審)」で審議が行われている。

1985年に派遣法はできた時は、派遣は例外的な働き方と定義されていた。
1999年に、派遣が使える業務が自由化される。
私が現役時代の途中までは、労働者は少なくとも真面目に働いていれば職を失うことなく、困窮しない程度の賃金を得ていた。
それが崩れ始めたのを実感したのは今から30年ほど前だから、派遣法が施行された時期とほぼ一致する。
2003年の改正で派遣は製造業にも解禁になり、「専門26業務以外は最長3年」という縛りを設け、3年以上使う場合は直接雇用を促す仕組みになった。
2008年のリーマンショックを機に「派遣切り」が大きな問題になった。
これを受けて民主党政権下の2012年に、日雇い派遣の禁止、ピンハネ率の公表、違法派遣を受け入れた企業の直接雇用義務などの規制強化の改正が行われた。民主党も少しは良い事をしたわけだ。

ところが安倍政権になって事態は一変しつつある。
財界からの要請で、派遣法を一気に変えようとしているのだ。
今回の検討を進めている改正案の主要点は次の通り。
・現行の専門26業務の制約を外し、全ての業務で無期限の派遣を可能にする。
・派遣会社が無期限に雇用しているスタッフの派遣は無制限に認める。
・一部が届け出制だった派遣会社を全て原則許可制にする。

派遣社員の年収は、賃金構造基本統計調査によると、200万円以下の人が77%だ。
これに対する正社員の平均年収は約523万円といわれているので、総合的には約200万円~300万円の格差がついていることになる。
一般に年収200万円以下をワーキングプアと定義されているが、派遣社員のおよそ8割が該当することになる。推定では既に1000万人を超えている。さらに男女の賃金格差もあり、女性では昼間の仕事を終えて夜に別のアルバイトをせざるをえない人が増えている。
賃金だけではない。
労働災害の発生率も派遣の場合は、正社員より50%高い。慣れない人を危険な作業に回すからだ。
もし審議中の改正案が通るようであれば、企業は派遣社員を何年でも使い続けられるようになるので正社員から派遣への切替が進み、やがて生産現場のほとんどが派遣という事態になりかねない。

「自由に使って、いつでも切れる」というこの改正案だが、労政審の最終報告がまとまり、今通常国会で法案を通し、2015年の施行を目指している。
労働界から厳しい批判も出ているが、政府はどこ吹く風。
財界や大企業の利益を優先する安倍政権の下では、残念ながら法案成立の流れは目に見えている。

ネットには安倍首相応援サイトが数多あるが、彼らはこうした法案をも歓迎しているのだろうか。訊いてみたいものだ。

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コメント

労働組合が経営意思の別動隊になって久しいからストップをかける勢力が不在ですね。

佐平次様
まったく連合なんて何の役にも立たない。安倍独走政治には屁のツッパリにもなりませんね。

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