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2014/02/07

「佐村河内守」問題の背景を考える

昨日は我が家の風呂場の改修工事で水が止められ、仕方なく日長一日PCの前で座っていたら、桐朋学園大非常勤講師の新垣隆と言う人の記者会見がネットで中継していたので、何だろうと思って見ていた。
何でも佐村河内守とかいう作曲家がいるんだそうだが、その人の曲をずっと自分が書いていたという告白らしい。
新垣隆のインタビューを聞く限りでは、実に分かり易い話だ。佐村河内守という人物は全聾で「現代のベートーベン」というキャッチコピーで話題になり、TV番組で放映されCDもかなり売れていたらしい。つまりこの人の曲には「全聾の作曲家」という付加価値が付けられていたわけだ。
一方、新垣隆の方はあまり有名でもないし語るべき物語もないとすれば、いくら良い曲を作っても、どのレコード会社も採りあげてくれない。佐村河内守というブランドに乗せることにより、これが世に出て話題にもなる。それだったら佐村河内守に曲を買い取って貰へばいい、そう発想したんだろう。
新垣隆にはいくらかの作曲料が入るし(18年間で700万円とか)、佐村河内守は自分の作品として発表できて印税が入り、ファンはその曲を聴いて感動する。何ごともなければ全てが丸く収まっていたわけだ。
ネットの中継を見ながら、双方の了解のもとで18年間上手くやってきた二人に何が起きたんだろうと、その点にむしろ関心が湧いた。

文学や音楽などの芸術分野では一般にゴーストライターと呼ばれているが、Aの作品をBの名で発表するというのは、そう珍しくないだろう。いわゆるタレント本では大半がゴーストライターの手になるようだ。
私の高校の時の同級生がある高名な作詞家の弟子になっていたが、彼によれば弟子が書いた作詞を先生の名で発表することもあると言っていた。徒弟制度の下ではこうした下積みを経て世に出て行くのだろう。
私は誰々のゴーストライターだったいう告白も読んだ記憶がある。
では、なぜ今回の佐村河内守の件がこれほど世間から叩かれるのかだが、その理由として二つ考えられる。
一つは、彼が被爆二世で全聾(新垣隆は否定しており、これから事実は明らかになるだろうが)だという点で、いわば叩きやすい立場だということだ。
二つ目は、彼を番組や報道で採りあげたのはNHKや朝日新聞といった、ネットの一部サイトで偏向メディアと憎悪している相手だったということ。いわゆる「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ってぇヤツ。

佐村河内守のCDを買ったりTVを観て感激したりした人は裏切られたという感情を持つかも知れないが、そうでもない人がなぜここまで怒るのか。義憤なのか。もし義憤ならもっと他に憤ることが沢山あるだろうに。
今回の問題の底流には、音楽家たちの経済的貧窮という現実があるだろう。
世間から名前も知られず経済的にも恵まれない音楽家が必死に這い上がって行く姿が想像され、中継を見ていて切なくなった。
もっともネットで中継するほどの大問題ではなかったけど。

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コメント

もう一つ、世に代作なるものがふつうに存在していることを知らない連中が多かった。
無知蒙昧とでもいうべきか。

佐平次様
その通りで、世間知らずというか意図的というか。
代作の件、実は原稿には書いていたのですが、記事が長過ぎたたのでカットしています。
別の機会にアップしたいと思います。

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