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2014/03/03

「三三・一之輔 二人会」(2014/3/2)

「毎日新聞落語会 渋谷に福来たるSPECIAL 2014~二人フェスティバル的な~古典ムーブ春一番『柳家三三・春風亭一之輔』」
日時:2014年3月2日(日)19時
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
<  番組  >
三三・一之輔『おしゃべり』
柳家三三『看板のピン』
春風亭一之輔『ねずみ穴』
~仲入り~
春風亭一之輔『新聞記事』
柳家三三『三味線栗毛』

会のタイトルが長けりゃ会場名も長い。『寿限無』か? 短く言えば「渋福の三一」
昔イタリア映画に『もしお許し願えれば女について話しましょう』という長いタイトルがあったっけ。短いのでは邦画の『毛』。
また雨、前日も雨だった。先週は旧友に逢いに水曜から1泊で大分へ行ったのだが、こちらは快晴だったのに向こうに着いたら雨。翌日は大分は晴れてたが東京に戻ったら雨。1月にモロッコへ行った時も昨年からの日照り続きで、モスクでは雨乞いをしていた。ところが現地滞在の7日間のうち2日雨に降られた。行く先々で雨に降られる「雨男」なのだ。そう言えば女にもよく「ふられた」なぁ。

二人会でこの顔合わせは初めてだそうだ。二人ともチョー売れっ子同士だからね。昨年それぞれが47都道府県を回ったが今年も、と言っていた。この勢い、いつまで続くだろうか。

三三は上手い。声がよく通るしテンポが良い。1席目の『看板のピン』ではそうした良さが光っていた。
では欠点は何かというと、噺は上手いが人の心を打たない。感心はするが感動をしたことがない。たまたまそういう高座に巡り合っていないせいかも知れないが、いつもそういう印象を受けるのだ。
2席目の『三味線栗毛』のストーリーはこうだ。
大名の酒井雅楽頭の長男は病弱で、次男の角三郎は父親に疎んじられて、あてがい扶持で下屋敷に下げられ中間の吉兵衛との二人暮らし。角三郎はさして気にせず、昼は見世物小屋を見物したり居酒屋で一杯やっやりして帰り、夜になると書見にふける。
書見が過ぎて肩が凝ると、吉兵衛が座頭を呼んできた。錦木という名で療治も上手いが何より話上手、二人はすっかり意気投合してしまう。ある日、療治が終えた錦木が角三郎に、あなたの骨格は大名になる骨組みだと言う。角三郎はそれを否定するが、万一その様な事が有れば、錦木を検校に取り立ててやると約束をした。
錦木が風邪をこじらせ寝込んでしまったその頃、父親の酒井雅楽頭が隠居し、長男は病弱なため角三郎が家督を継ぎ酒井雅楽頭になった。伝え聞いた錦木は病の床を抜け出し、雅楽頭の屋敷に駆けつけて再会を果たし、約束通り検校の位を授かった。
酒井雅楽頭は特に馬術に秀で、栗毛の馬を求め「三味線」と名付けた。錦木がその理由を訊ねると
「酒井雅楽頭で、ウタが乗るから三味線だ。コマ(駒)という縁もある。乗らん時は引かせる(弾かせる)、止める時はドウ(胴)と言うではないか。」
「ご家来衆が乗った時は」、
「その時は、バチがあたる」。
地の部分とセリフの部分の間に淀みなくリズミカル、筋がスーッと頭に入ってくる。
このネタでは角三郎と錦木との友情に焦点を当てた演出の喬太郎の高座には感動したが、三三にはそれが無い。錦木の一途な思いがこちらへ伝わって来ないのだ。何かが欠けているのだろう。

一之輔の2席目『新聞記事』は昨日と同じネタ。主催が毎日新聞なのと話の中に恵比寿が出てくるので、この会に相応しいと言える。
昨日と比べると全体的に出来が良かったが、それより細かい部分をあげれば10か所近く昨日と変えていた。アドリブなんだろうが即興で変えて破綻を見せない手腕は大したものだ。これは天性というしかない。
1席目『ねずみ穴』では一転して人情噺(正確に言うと違うのだが)。こちらは三遊亭圓生以来のほぼオリジナルに沿った高座だった。弟の竹の店が火事で焼け妻は病の床、仕方なしに娘の手を引いて兄を訪れ借金を頼む場面に時間をかけ丁寧に描いた。夢とは分かっていてもこの場面は胸を打たれる。
好演。
この日は、一之輔が一枚上手だった。

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コメント

三三について、“感心はするが感動しない”というご指摘、今の彼には非常に的確だと思います。
もう一皮むけるための過渡期なのでしょうが、小朝のような小利口な噺家になるかどうかの分岐点でもあるかもしれませんね。
しかし、三三は大丈夫だと思います。
一之輔は、平成の名人の道をひたすら走っている、そんな気がします。

投稿: 小言幸兵衛 | 2014/03/03 22:30

小言幸兵衛様
厳しい評価は期待の裏返しだと思って下さい。三三がやがて落語界を背負って立つには、何か今ひとつ足りないような気がしています。
少なくとも、市馬どまりじゃ困ります。

投稿: HOME-(ほめ・く) | 2014/03/03 23:48

「ねずみ穴」
演者の力量が試される噺で、また、かくまで極端でなくとも、
人生の辛酸を嘗めた経験がなくてはできない噺だとも思います。
一之輔は好演だったようですね。

私と言えば、筋を知らずに談志のCDを聴き、
後半の悲惨な場面を現実と勘違いし、暗澹たる気持ちでいたところ、
つまりは「夢」とわかり、なんだか狐につままれたような気持がいたしました。

投稿: 福 | 2014/03/04 06:32

福様
一之輔の演出では弟が兄に夢の内容を語ると、兄に「オラは悪い役ばかりでねぇか」という一言を入れさせて聴き手を和ませてくれました。こういう処が一之輔は巧みだなと思います。

投稿: HOME-(ほめ・く) | 2014/03/04 07:19

笑わせようとしない、泣かせようとしない、小三治流の達成過程でしょうか。

投稿: 佐平次 | 2014/03/04 10:56

佐平次様
まだまだ発展過程ですから長い目で見なくてはならないでしょう。上手い、器用だ、だけの噺家に終わって欲しくないというのが願いです。

投稿: HOME-(ほめ・く) | 2014/03/04 20:50

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