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2014/03/21

国立演芸場3月中席・楽日(2014/3/20)

前座・春風亭昇吾『たらちね』
<  番組  >
柳亭明楽『子ほめ』
チャーリーカンパニー『コント』
春風亭鹿の子『動物園』
宮田陽・昇『漫才』
柳家蝠丸『奥山の首』
~仲入り~
瞳ナナ『奇術』
三遊亭遊之介『味噌蔵』
翁家喜楽・喜乃『太神楽曲芸』
春風亭小柳枝『柳田格之進』

彼岸前日というのに冷たい雨が降る3月20日、「国立演芸場3月中席・楽日」へ。先日、今年度の「文化庁芸術祭大衆芸能部門大賞」を受賞した春風亭小柳枝をトリに迎えた芸協の芝居。
これは私だけかも知れないが落語協会だと噺を聴きに行く、芸術協会だと寄席を楽しみに行くという具合に目的が少し変わってくる。一つには芸協は色物が充実していることがある。この日も9本の番組の中で4本が色物だ。隣席のご婦人なぞ色物の時は熱心に観ていたが落語が始まると途端に居眠りをしていた。人生イロイロ、楽しみ方もイロイロ。

明楽は二ツ目に上がったばかりのようだが、どうにもセリフの「間」が悪い。あれでは笑える所も笑えない。「間」だけなら前座の昇吾の方が上。
チャーリーカンパニーは久々だった。日高てんの相方が若いと思ったらメンバーが変っていた。かつての「コント・レオナルド」を思わせる芸風で、「通夜」のネタで楽しませていた。
会場へ向かう途中で前を洒落た傘をさした和服の女性が歩いていたが、それが鹿の子だった。よく芸人に出会うことがあるが、声を掛けない主義なので顔を合わせても知らんふりをしている。決して気が付いていないわけではないので悪しからず。「珍獣動物園」という設定だが、女流がライオンの真似をすると何だか色っぽいなぁ。終りにカッポレのサービス。
宮田陽・昇の漫才はインテリ崩れ風の陽と、少年野球の監督風の昇の息がピッタリ合いテンポも良い。このコンビを含め最近の若手漫才(年齢はそう若くないが)の進境は著しい。
蝠丸、パッと見は落語家というより理科の教師のような風貌。マクラを聴いててっきり『三井の大黒』かと思ったら同じ左甚五郎ものでも珍しい『奥山の首』。
江戸に出て来てスリにあい一文無しになっていた甚五郎に大工の頭領・政五郎が声を掛け、自宅に連れ帰り居候になる。甚五郎は名前を名乗らずにいたので誰も気づかない。10日ほどブラブラしていたが政五郎から何か彫り物をこさえるよう勧められる。甚五郎は小塚っ原の仕置場に行き晒し首を見てくる。これを参考に生首を彫り、浅草奥山の「藪探し」に出品し優勝する。賞金は政五郎夫婦に渡したが、甚五郎だと分かってしまい江戸を去る。
田舎者風の甚五郎、気風の良い江戸っ子の政五郎、口やかましいその女房らの人物造形がしっかりしていて好演。語り口はソフトだが中身は骨太の芸だ。
瞳ナナ、彼女のサイトでは元祖アイドルマジシャン、歌う魔女っ子マジシャン、コスプレマジシャンと紹介されている。会場から「ナナちゃん!」という声援が飛んでいた。ファンがいるんですね。寄席の奇術には珍しいイルージョンマジックが披露されていたが、お見事。少しデレデレしながら観てしまった。
遊之介は初見。派手な舞台の後でやりにくそうだったが『味噌蔵』を短めにまとめていた。会場の反応は今ひとつだったが決して悪くなかった。ただ定吉に提灯を持たせる個所をカットしていたのは解せない。主人と定吉が強風の下、暗い夜道を歩いて帰って来るというシーンはこのネタの肝心な所だと思う。
喜楽・喜乃は、珍しい父と娘二人の太神楽。「タマゴ落し」という芸が見もの。ガラス板の四方に4個の水に入ったコップを置き上にもう1枚ガラス板を乗せる。その四方にエッグスタンドを置きそれぞれに生卵を乗せる。これ全体を金属棒のスタンドに乗せて下から顎で支え、片手に持った棒で上のガラス板をポンと叩く。するとガラス板とエッグスタンドだけが飛んで行き4個のタマゴがそれぞれのコップに納まるという曲芸だ。初めて見たが鮮やか。
小柳枝『柳田格之進』、いくつか特長を上げると、番頭の久兵衛が敢えて格之進を疑ったのは男の嫉妬だという解釈。確かに数十年お家大事に奉公してきたのに主人の作左衛門は番頭のいう事を聞かず得体の知れない浪人者の格之進を信用するのだから、そういう気持ちも起きるのだろう。
疑いの晴れた格之進が約束通り主人と番頭の首を討ちに行くと、二人が必死でかばい合う姿を見て刀の切っ先が鈍り首の代わりに碁盤を真っ二つにするという演出にしていた。
終りはハッピーエンド版で、この後、作左衛門が格之進の娘で吉原に身を沈めていたお花を身請けし、
久兵衛と夫婦にして産まれた長男が越前屋を、次男が柳田家を継ぐという結末にしていた。
いかにもこの人らしい風格の一席だったが、時間のせいなのか終盤を急いだ感があったのが残念。

楽日だけに楽しい一日。

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コメント

私も男の嫉妬説に一票。
噺家とあって思わず知人と思い込んで「こんちは」と会釈することあり。

投稿: 佐平次 | 2014/03/21 10:27

佐平次様
嫉妬説は説得力があります。小柳枝の高座では格之進が主人と番頭の首を斬りに行く時の表情に迫力がありました。

投稿: HOME-(ほめ・く) | 2014/03/21 19:07

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