籾井NHK会長は誰から「言わされた」のか
NHKの籾井勝人会長は2014年3月3日の参院予算委員会で、就任会見でいわゆる従軍慰安婦について「戦争しているどこの国にもあった」と発言したことについて、「質問を受けたために、そういうことを結局『言わされた』というのは言いすぎだが、私はそういうことで申し上げた」と答弁した。那谷屋正義議員(民主)の質問に答えた。
(J-CASTニュース3月4日付)
さて、当時のニュースから該当する部分を確認すると、NHK会長に就任した籾井勝人氏は1月25日、就任会見を開いた。この中で旧日本軍の慰安婦問題について「会長の職はさておき」と個人的な見解と断った上で記者の質問に対し以下のように答えている。
――慰安婦を巡る問題については。
「戦時中だからいいとか悪いとかいうつもりは毛頭無いが、この問題はどこの国にもあったこと。」
――戦争していた国すべてに、慰安婦がいたということか。
「韓国だけにあったと思っているのか。戦争地域にはどこでもあったと思っている。ドイツやフランスにはなかったと言えるのか。ヨーロッパはどこでもあった。なぜオランダには今も飾り窓があるのか。」
――証拠があっての発言か。
「慰安婦そのものは、今のモラルでは悪い。だが、従軍慰安婦はそのときの現実としてあったこと。会長の職はさておき、韓国は日本だけが強制連行をしたみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、日韓条約ですべて解決していることをなぜ蒸し返すのか。おかしい。」
「言わされる」というのは通常なんらかの脅迫あるいは強制下において、
1,発言の内容を指示された場合
2,誘導尋問による場合
3,発言しないと自己に不利が生じる場合
とが考えられる。
先ず2,誘導尋問について見てみると、例えば記者が「慰安婦なんてどこの国にもありますよね」と質問し、籾井氏が「そうだ」と答えたなら、これは誘導尋問と言われても仕方ない。
しかし質問では特定の回答になるよう仕向けたものではなく、籾井氏がどう考えるかを訊いただけなので誘導尋問とは言えない。
3,発言しないと自己に不利が生じるかどうかだが、この場でこうした発言をしなくともこれからのNHK会長としての職務になんら不都合な事はない。
記者からしつこく訊かれたのでついついしゃべってしまったという擁護論もあるが、乗せられてペラペラしゃべったとすれば軽率の謗りを免れぬ。
1,発言の内容を指示されたかどうかは本人しか知り得ないことで、もし指示されたなら誰にだろう?
結局、仔細にみれば籾井氏は記者から訊かれるままに自分の所信を語ったというのが偽らぬところだろう。
誰かから「言わされた」のではなく、本人が「言った」のだ。
「『言わされた』というのは言いすぎだが」なんて言うくらいなら、なぜ敢えて「言わされた」という言葉を使ったのか不可解だ。
近ごろ政治家やトップの立場にある人間が、とかく他人のせいにして自分の責任をのがれる傾向が強いが、この籾井会長の発言もその典型だ。
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裏返しの形で「強制連行はあった」といっている。右の旦那様たちの言うことと対立してませんか。
投稿: 佐平次 | 2014/03/06 08:39
佐平次様
子どもが叱られて、A君やB君だってしてるよと訴えているようなレベルです。言ってることが支離滅裂、これじゃABE一族からも見放されるでしょう。
投稿: HOME-(ほめ・く) | 2014/03/06 15:42