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2014/03/29

「犯人にされる」という恐怖

私たちは日々、色々なリスクを負いながら生きている。病気になる、事故にあうもそうだが、犯罪の被害者になるリスクもある。しかし最も恐ろしいには犯罪の加害者にされてしまう、つまり何らかの犯罪の犯人とされて刑務所に入れられる事だ。それが死刑囚として処刑に怯えながら数十年間も、なんて考えただけで身の毛がよだつ。
TVの刑事ドラマなどでお馴染みだが、刑事が「あなたは0月0日の0時から0時の間、何をしていましたか」「それを証明する人はいますか」と訊くシーンがある。あれを見て常に思うのだが、自分ならアウトだと。
昨日の夕食のおかずさえ憶えていない位だから、数日前のある時間帯のことなど思い出せない。仮に思い出したとしても、リタイア-して自宅にいる時間が多いので証人は女房ぐらいだ。家族の証言は必ずしもアリバイ証明にはならないそうだから、この段階で重要参考人である。
以前、裁判の傍聴マニアの人の本を読んでいたら、検事が被告に「こんな大事な日の記憶が無いんですか」と怒鳴っていたと書かれていた。犯行当日の記憶のことを糾しているのだが、そりゃ検事にとっては大事な日かもしれないが、もし身に覚えのない被告ならチンプンカンプンだ。

では物証がなければ有罪にはならないかというと、これが違う。過去に状況証拠と証言だけで有罪になったケースはいくらでもある。検察側の証人の場合、事前にリハーサルが行われるそうで、被告にとって不利な証言がなされるのは避けられない。
その肝心の物証でも捏造されたとあっては、被告にとってはお手上げだ。

いわゆる「袴田事件」で死刑判決を受け再審請求を行っていた袴田巌(はかまだいわお)さん(78)が釈放された。実に48年ぶりということになる。
3月27日、静岡地裁は再審開始を決定し、同時に袴田死刑囚の死刑の執行と拘置の執行を停止する決定を下し、釈放を認めたものだ。死刑囚の再審が決定したケースで、拘置の執行停止が認められたのは初めてケースだ。
この事件の第2次再審請求審の最大の焦点は5点の衣類のDNA結果だった。半袖Tシャツに付着した血痕と、袴田死刑囚のDNA型が一致するかを調べるDNA鑑定が実施され、弁護団側と検察側双方の鑑定で「一致しない」との結論が出されていた。ただ検察は長期のためDNAの劣化があったと鑑定に疑問を呈していた。
村山裁判長は「5点の衣類が袴田死刑囚のものでも犯行着衣でもなく、後日捏造されたものであったとの疑いを生じさせるものだ」と指摘した。
捜査側の捏造という点にまで触れた踏み込んだ判断は異例であり、いかに悪質であったかを窺わせる。

一方、検察側は拘置の継続を求める抗告を東京高裁に申し立てるとともに、再審開始決定に不服があるとして同高裁に即時抗告したが、高裁は地裁の判断を支持した。
つまり検察は釈放された袴田巌さんをもう一度拘置所に戻せと求めたわけだ。
検察の辞書には「反省」という言葉がないらしい。「人間性」という言葉も。
もっとも猪瀬元都知事の公選法違反事件では、たった50万円の罰金刑で済ませたわけだから、検察も相手によっては大いに温情を示すということか。

袴田さんが一日も早く晴れて無罪になることを祈りたい。

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コメント

ラッシュアワーの車内では両手を上にあげているように心がけました。

佐平次様
会社の同僚が社内で痴漢と間違われて、それなら出るとこへ出ようと駅長室に行ったら警官をよばれた。もう彼の言い分など聞かず最初から犯人扱いだったそうです。
それを聞いてから怖くなって、私も女性の近くには行かない、かばんは片手に、もう片手は上にあげて乗車していました。

刑の一時執行停止に伴い一時身柄釈放状況…。
再審で無罪を勝ち取るまでは、死刑囚という肩書きはとれないのですね。

林檎様
報道では袴田さんになっていますが、法的には現在も死刑囚であり、ただ拘置所から自宅に移されたという状態です。
だいたい「袴田事件」というネーミングからして、初めからこの人を犯人と決め付けています。

当時を知りませんが、マスコミ報道も世論の大半も犯人だと思っていたのでしょうか…。
無罪が確定しても、冤罪に加担した人達が罪に問われる事は無いのでしょうね。
時間は取り戻せませんし、何が真実なのかも全てを明らかにする事は難しく、被害者ご遺族にとっても残酷な事件ですね。

林檎様
冤罪は罪のない人間を長期間苦しめるという大きな問題がありますが、それによって真犯人を取り逃がすとというもう一つの重大なミスを犯すことにつながります。
今となっては真犯人を見つける事は極めて困難でしょうから遺族は救われません。

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