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2014/03/06

武田薬品の臨床試験「捏造」疑惑

ノバルティスファーマ社による一連の臨床試験の不正問題は、1月9日、厚労省が同社を薬事法違反で刑事告発し捜査は新たな段階をむかえた。
しかし同様の不正は他の製薬会社でも行われていることは前から噂されていて、その中でもノバルティスファーマより悪質だとの声があがっているのが武田薬品の降圧剤「カンデサルタン(商品名:ブロプレス)」に関する疑惑だ。
新薬の開発には膨大な費用がかかるが当れば巨きな利益が得られる。その決め手となるのが臨床試験データ(エビデンス)だ。いくら素晴らしい新薬ができても副作用が小さく人間に効かなくては商品にならない。
その結果、エビデンスのデータを少しでも自社商品にとって有利なものにしようと製薬会社は考えるわけだ。

以前から雑誌などに書かれていたが、最近になってようやく全国紙にも記事が載るようになったこの疑惑だが、おおよそ次のようだ。
先ず第一の疑惑。
問題の薬品は武田薬品が販売する「カンデサルタン(商品名:ブロプレス)」で、対抗商品にファーザーが販売する「アムロジピン(商品名:ノルバスク)がある。後者は私も服用しているクスリだ。
このうちどちらが効果が高いかを2001年~2005年に高血圧患者4700人を対象に臨床試験が行われた。
この試験は日本高血圧学会が主体となった医師主導臨床研究として行い、データのまとめは京都大学EBM共同センターが行った。
いかにも公正な機関のように見えるが実態はそうでなかった。武田薬品から同センターに奨学金名目で25億円もの寄付金がふりこまれていた。二つの商品を比較するとしながら、片方の企業からだけ巨額の資金が提供されれば結果はどうなるか歴然としている。こういうのを世間では「利益相反行為」という。
こうした大規模なデータを処理するにはWebデータシステム構築などが必要だが、これらは全て武田薬品の藤本明氏(当時、同社開発本部首席部員)が担当した。藤本氏は2007年に武田から京都大学EBM共同センターに移り、その後に発表した一連の論文では、藤本氏は京大EBM共同センター研究部長の肩書で発表している。既に武田の社員じゃないから問題ないという理屈は成り立たない。
第二の疑惑は、「ブロプレス」と「アムロジピン」2剤の心血管系障害累積発症率を比較したグラフが2つあることが判明している。2006年の国際高血圧学会発表時のものと、2008年に米国専門誌「高血圧」に掲載された研究論文のものの2つだ。
両者の違いは時間軸の長さで学会版は48カ月で、42カ月以後それまで発症率でアムロジピン服用群よりも高かったブロプレス服用群が逆転して低下している。ただ通常はこうした現象は起きないのだそうだ。
一方の専門誌版では、その結果が不自然だという理由から42カ月以後が削除されている。データの信頼性が疑われたということか。
第三の疑惑は、論文が発表された2006年以後も、武田はブロプレスが長期服用によって心疾患系障害発症で有利となるように見えるグラフを販促資材(製品パンフレット)に使い、ブロプレスを販売したというものだ。

武田薬品の「カンデサルタン(ブロプレス)」は、2012年度の総売り上げが1696億円という目玉商品だ。販売促進に有利なエビデンスは喉から手が出るほど欲しかったんだろう。
経緯をみるとこの件はノバルティスファーマ社の不正と酷似している。
薬品の試験に不正があれば、私たちの生命や健康に直接的な影響を与える。
関係機関の厳正な捜査を望みたい。

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