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2014/04/18

#26「はなし亭」(2014/4/17)

第26回はなし亭「菊之丞・文菊・こみち勉強会」
日時:2014年4月17日18時30分
会場:湯島天神参集殿2F
<  番組  >
柳亭こみち『悋気の独楽』
古今亭文菊『三方一両損』
~仲入り~
古今亭菊之丞『へっつい幽霊』

寄席や落語会などに結構行ってるつもりなのだが、気が付くと、あの人の姿を暫く観てないねと気付くことがある。菊之丞がそうだ。たまたま巡り合せなんでしょうね。そう思っていた所に他の会で渡されたビラを見て行ってみようと思い立った。
お初だったが、この会はタイトルにあるように「菊之丞・文菊・こみち勉強会」、3人のネタおろしの会のようだ。開催が3カ月に1回の割合いとすれば既に9年近く続いていることになる。
後援会とか同好会といった組織はなく、出演者たちが会場の設営から運営までしているらしい。
お客のほとんどが常連とお見受けした。周囲で終演後にどの店に行こうかなどという相談が行われているのはいかにも地域寄席らしい。
座敷の奥に高座が置かれ、客は昔の寄席のように座布団にすわる。数十人規模の狭い会場だが、膝送りが出る盛況。
文菊がこの会が近づくと胃が痛むと言ってたが、ネタおろし、つまり師匠や先輩から教わったネタを初めて観客の前で演じるというのは相当なプレッシャーなのだろう。特に真打クラスともなれば教えられた通りだけとは行かず、そこへ自分なりの工夫を加えてみるといった試行も必要だ。先ずは常連客を相手にして反応を確かめながら仕上げてゆく、そうした場として貴重な会なんでしょうね。

こみち『悋気の独楽』
数少ないママさん落語家だ。お相手も芸人だし苦労も多いだろう。努力してるしやがてそれが実ってくるだろう。アタシは女流落語家では「桂あやめ」しか実力を認めてないが、次に来そうなのはこの人になるかも知れない。
マクラで本人は嫉妬心がないと言ってたが、男女を問わず嫉妬心が強い人と弱い人がいる。なかには病的とも思える程のヤキモチを焼く人もいて、ああいうパートナーだと参るでしょうね。
こみちはセリフの切れの良さを利かして上手くまとめていたが、定吉がお上さんの肩たたきをする場面でお妾さんから貰った小遣いを落として見つかるという設定にしていた。しかし肩たたきで袂から独楽が落ちる、あるいは袂の揺れでお上さんが独楽の存在に気付くという方が自然ではなかろうか。手元のCDでもそうした演者が多い。
この噺の定吉の造形は8代目春風亭柳枝が優れていて(タイトルは『喜撰小僧』)、これを超える高座には出会えない。

文菊『三方一両損』
空調や外部からの騒音、高座のきしむ音などを気にしていて少しナーバスになっている印象を受けた。
文菊らしくしっかとした語りとセリフの歯切れの良さで楽しませてくれたが、このネタの聴かせ所である金太郎の啖呵にミスがあったのが残念。啖呵それ自身も熊五郎を含めてもっと颯爽と切って欲しいところだ。「よその憚りでクソを垂れる」というセリフは下品で感心しない。
それとこの噺は落し物を届けに行って喧嘩になるまでの経緯が何度も繰り返して語られるので冗長になりがちだ。その辺りの工夫も必要かと思う。因みにこのネタを十八番にしていた8代目可楽の口演時間は14分弱だ。

菊之丞『へっつい幽霊』
昨年、文科省新人賞を受賞して今年は首相の「桜を観る会」に招待されたとある。落語家の参加は圓歌と昨年の芸術祭大賞受賞の小柳枝、ここまではいい。三平が夫人と姉の泰葉と共に来ていたそうだ。ここで客席から笑い。してみると「根岸枠」というのがあるんでしょうね。一応、政府主催なので各界の名士を招いているのだが、その他に総理の個人的付き合いでの招待というのもあるのだろう。
菊之丞の演出は主人公の熊五郎が本職の博徒ではないという設定と、竃を買いに来る客の一人が上方の人間ということで、3代目三木助の高座を踏襲していると思われる。熊五郎や道具屋、若旦那の演じ分けもしっかりとしていて、特にトボケタ幽霊の造形が秀逸。
あまり「儲かる」ネタではないのだが、客席を終始笑いに包んだのは、さすがと言うしかない。

次回も足を運びたくなる楽しい会だった。

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コメント

こみちは好感が持てます、伸びてほしいなあ。

投稿: 佐平次 | 2014/04/18 11:04

佐平次様
こみちは、前回のこの会で『寝床』をネタおろししたようです。こうしたチャレンジ精神を持ち続ければ面白い存在になるでしょう。

投稿: ほめ・く | 2014/04/18 11:28

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