#392日本演芸若手研精会(2014/4/8)
「第392回日本演芸若手研精会 卯月公演」
日時:2014年4月8日(火)18:30
会場:日本橋劇場
< 番組 >
前座・柳亭市助『一目上り』
入船亭游一『親子酒』
春風亭正太郎『湯屋番』
柳亭こみち『崇徳院』
~仲入り~
入船亭小辰『長屋の花見』
三笑亭夢吉『蛙の子』
前座の時には顔を見たが二ツ目に上がってから暫くご無沙汰だなんてことはよくある。寄席の出番でも二ツ目の出番というのは日に2,3人だ。その割に人数が多いので出演回数が限られる。もっとも伸び盛りの時期に高座に上がれないのでは上達できまい。そこで二ツ目を中心とした落語会というのが必要になってくるのだが、興行的に継続していくのが難しいようだ。つまり採算が取れないということ。
この会が392回というのは実に驚異的であり、これも故稲葉さんという熱心な方が支えてきたからだ。
会場は常連さんやファンの人も多いらしく、「待ってました」の声が飛び交い熱気があった。
本日の出演者の経歴をそれぞれの協会のHPから引用し紹介する。
【入船亭游一】
1999年12月 入船亭扇遊に入門
2000年6月 前座となる 前座名「ゆう一」
2003年11月 二ツ目昇進 「遊一」と改名
【春風亭正太郎】
2006年4月 春風亭正朝に入門
2006年11月 前座となる 前座名「正太郎」
2009年11月 二ツ目昇進
【柳亭こみち】
2003年 柳亭燕路に入門 前座名「こみち」
2006年11月 二ツ目昇進
【入船亭小辰】
2008年2月 入船亭扇辰に入門
2008年9月 前座となる 前座名「辰じん」
2012年11月 二ツ目昇進 「小辰」と改名
【三笑亭夢吉】
2002年1月 三笑亭夢丸に入門 前座名「春夢」
2006年10月 二ツ目昇進 「夢吉」と改名
市助『一目上り』、前座とは思えないほどの落ち着いた高座。「間」の取り方は天性なんだろう。今後に注目。
游一『親子酒』、落語の仕種の一つに酔っ払いの真似がある。このネタでは親父と倅では酔い方が異なる。父親は盃を重ねるごとに次第に酔いが回るが、酔いを表に出さないよう抑えた酔い方になる。一方息子の方はヘベレケの状態で陽気に酔っぱらって戻ってくる。この違いを出さねばならない所が難しい。
游一が演じる酔っ払いのセリフが時々「素」に戻る所が気になった。
正太郎『湯屋番』、初出場とかで始めは遠慮がちだったが、ネタに入ると弾けていた。若旦那が番台に上がってからの一人キチガイぶりは全身を使っての熱演だった。通常は女湯は空なのだが、老婆が一人入って来るのは正太郎独自の演出だろうか。
こみち『崇徳院』
女流には珍しく江戸っ子の啖呵が歯切れが良い。ただこの人の声の質からみて浪曲に進んだ方が成功したんではないかと思うのだが。大きなお世話だけどね。
小辰『長屋の花見』、サゲまで含めて古典をきっちり踏まえながら、これだけ笑いが取れるというのは大したものだ。特に長屋の連中が花見に行ってからの情景描写が優れていた。このネタに関しては既に若手真打並みのレベルと言って良い。
夢吉『蛙の子』
初めて聴いたのだが、師匠の新作だそうだ。6歳の坊やが飲む打つ買うの真似事。これも道楽で身を持ち崩しかけていた父親に対する反面教師を狙った親孝行だったというストーリー。
坊やのコマッシャクレぶりが良く出来ていて、客席を沸かせていた。
この人の明るい高座は将来性を感じさせる。
国立演芸場の平成25年度「花形演芸大賞」の受賞者が下記のとおり発表された。
【大賞】
桂吉弥
【金賞】
春風亭一之輔
ポカスカジャン
U字工事
【銀賞】
三遊亭萬橘
三遊亭天どん
蜃気楼龍玉
大賞は予想通りだったが、上方落語からの大賞受賞は久々だ。
大阪にも有望な若手が次々現れているので、これからも東西で競い合って腕を磨いて欲しい。
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こみちは白鳥版「明烏」を聴きました。
女性、特に浦里から見た話という設定で面白かった記憶があります。
投稿: 福 | 2014/04/10 06:32
福様
浦里から見た「明烏」、面白そうですね。こみちは啖呵が切れるので女流の新たな面を拓けるかも知れません。
投稿: ほめ・く | 2014/04/10 11:23