「これが自由というものか」
年配の方なら憶えておいでだろう。NHKラジオで『日曜娯楽版』(1947年10月12日 - 1952年6月8日)という人気番組があった。当時、聴取率100%といわれたお化け番組だ。
未だ米軍占領下の時代で、毎週日曜日の19時30分~20時00分の放送ではラジオの前で家族揃って聴いていたものだ。
パーソナリティが三木鶏郎、 レギュラー出演者として楠トシエ、三木のり平、丹下キヨ子、有島一郎、太宰久雄ら。中村メイ子や森繁久彌も出ていた記憶がある。
しかし激しい世相風刺、政治批判が当時の政府の逆鱗にふれ、1952年に打ち切りになってしまった。
この番組の中に「冗談音楽」というコーナーがあって、『僕は特急の機関士で』などのヒット曲を生んでいる。
このコーナーは『日曜娯楽版』の後継番組である『ユーモア劇場』に引き継がれた。しかしこちらの番組も政府の圧力で打ち切られている。この番組の中から誕生したのが『これが自由というものか』という曲で、ビキニ水爆実験が行われた1954年に三木鶏郎によって作詞作曲されたものだ。
こんな歌だった。
一
知らない間に実験で 知らない間にモルモット
知らない間にピカドンで 知らない間に水爆病
これは呆れた驚いた 何がなんだか分からない
これが平和というものか あちら任せの平和論
二
知らない間に値上げして 知らない間にMSA
知らない間に教育法 知らない間に機密法
これは呆れた驚いた 何がなんだか分からない
これが自由というものか あなた任せの自由論
三
知らない間に金上げて 知らない間に金取って
知らない間に税金で 知らない間に自衛隊
これは呆れた驚いた 何がなんだか分からない
これが政治というものか あなた任せの政治論
(註:"MSA"=Mutual Security Act「相互安全保障法」)
今からちょうど60年前に作られた歌詞だが、核実験、放射能汚染、集団的安全保障、教育法改正、機密保護法、増税、積極的平和主義と並べてみると、そのまま現在に通じていることが分かる。
自由も政治も「あなた任せ」にしておけば「これが自由というものか」と嘆くような事態になると、この歌は私たちに警告しているように聞こえてくる。
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キスする暇さえありません、う~う~ぽぽ、懐かしいです。
投稿: 佐平次 | 2014/04/29 12:34
佐平次様
♪東京京都大阪 ウウウウポポ♪でしたっけ。
こういう番組でさえ政府は気に入らず番組を中止させてしまいました。NHKへの権力の介入は今も変わりません。
投稿: ほめ・く | 2014/04/29 18:44