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2014/04/12

STOP!「STAP」騒動

私には世間がなぜこんなに「STAP細胞」問題で大騒ぎしているのか、その理由が分からない。4月9日、STAP細胞論文に「不正があった」という理化学研究所の判断を受け、研究ユニットリーダーの小保方晴子氏が反論のための記者会見を開いたが一向に沈静化する気配がない。ネットニュースのランキングでも常にこの問題が上位を占めているし、先日の会見ではTV中継まであったそうだ。
日本人全体が科学技術の進歩に著しく関心を持ったとあらば、それは大いに結構なことだが、報道やネットの記事を見る限りではどうもそうは見えない。専ら小保方氏への言論による集団リンチともいうべき個人攻撃やスキャンダルに関心が集まっているかのようだ。

バイオには門外漢なので的が外れているかも知れないが、今の段階で言えることは、まだ「STAP細胞」は技術的に未完成であり、発表された論文に不備があったということだけではなかろうか。それ以外になにかあるのだろうか。
この件について先ず考えねばならないのは、既に理研と東京女子医科大、米ハーバード大の関連病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院の3施設が合同で、2013年4月24日に国際特許を米当局に出願していることだ。
出願日
24.04.2013
出願人
THE BRIGHAM AND WOMEN'S HOSPITAL, INC. [US/US]
RIKEN [JP/JP]
TOKYO WOMEN'S MEDICAL UNIVERSITY [JP/JP]
発明者
VACANTI, Charles A.; (US).
VACANTI, Martin P.; (US).
KOJIMA, Koji; (US).
OBOKATA, Haruko; (JP).
WAKAYAMA, Teruhiko; (JP).
SASAI, Yoshiki; (JP).
YAMATO, Masayuki; (JP)
特許請求範囲(クレーム)は全部で74項に及ぶが、第1項(メインクレーム)は「ストレスを与えることで、多能性細胞を作製する方法」とされていて、いわゆる方法(製法)特許と思われる。
特許は、有用な発明をなした発明者またはその承継人に対し、その発明の公開の代償として、一定期間、その発明を独占的に使用しうる権利(特許権)を国が付与するものだ。
この特許の場合は、発明者と出願人が異なるところから、出願人が発明者から特許を受ける権利を継承したものと考えられる。
大事なことは、特許出願が後に特許権となった場合、特許発明を独占的に実施する権利は出願人に所在し発明者にはないという点だ。対外的には単に特許の発明者として名前が残るだけだ。
ただし発明者から出願者が特許権を継承するにあたり契約が結ばれているだろうから、発明者としてはこの特許が権利化することには最大限の協力をするものと推測される。

次に、特許を出願してから特許権を得るまでにどのような過程を通るかだが、日本の場合、以下の通りとなる。
特許出願-方式審査-審査請求-実体審査-特許査定-特許登録
ただこの流れは極めて順調にいった場合であって、大半の出願特許は先ず拒絶理由通知書が来て、そこから意見書又は補正書を提出しながら審査官との間で何度もヤリトリし、結果として査定されるか拒絶される。
従って特許権を得るにはかなりの年月がかかるのが一般的だ。

もう一つ重要なことは、出願した特許は原則として一定期間経てば(日本だと1年6か月)全て公開されてしまうということだ。もし審査で拒絶査定が確定し特許権を得られなければ、公開された技術は誰でもが自由に使用できてしまう。
だから特許を出す場合、そうしたリスクを常に頭に置かねばならない。もちろん、特許権を得る前に書く論文にしても同じだ。
では、どうするかだが、早くいえば「穴を空けておく」。
つまり特許や論文の通りに実施しても、書かれた通りの結果にはならないよう細心の注意を払うことになる。通常は「ノウハウ」と呼ぶ技術を秘匿しておく。
そうすれば万一特許が拒絶されても、他者が容易に真似ができなくなる。
第三者が追試しても予想した結果が得られないのは当然だといえる。

発明は早い者勝ちだから、技術が未完成の段階でも特許出願することはごく当たり前のことだ。
先日の会見で記者から発明者に「STAP細胞」の作り方の詳細を問い質していたが、既に発明者から出願人へ特許権が継承されている以上、小保方氏が答られる筈がない。
もしかすると「STAP細胞」の作り方の詳細そのものが、まだ確立されていないのかも知れないが。
論文についても同様で、出願人の意向に反するような内容は書けない。
もし「STAP細胞」の技術について特許権を得ることなど抜きにして、全て内容をオープンにするとしていたら、今とは全く違う展開になっていたに違いない。
だからもう小保方氏に対する個人攻撃はいい加減にやめにしようよ。

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