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2014/05/01

通ごのみ「扇辰・白酒 二人会」(2014/4/30)

通ごのみ「扇辰・白酒 二人会」
会場:日本橋社会教育会館
日時:2014年4月30日19時
<  番組  >
前座・林家つる子『堀の内』
入船手扇辰『明烏』
桃月庵白酒『笠碁』
~仲入り~
桃月庵白酒『浮世床』
入船亭扇辰『竹の水仙』

毎回人気のこの会、この日もGWの谷間だったにも拘らず予約完売。
満席の割には空いている席がポツポツと。チケットは買ったものの急に都合で来られなくなる方もいる。式場の方に訊いたら結婚式でも5%はキャンセルが出るそうだから。
落語家の名前というのは師匠が付けてくれるんだろうが、やはり弟子によって気合の入り方が違うんだろう。立川談春なんて、談志がこいつは見所があると最初から思ったからあんな良い名前を貰ったんでしょうね。そこはキウイとは違ったんでしょう。
扇辰、いい名前だ。なんとなく扇辰=先達というイメージから将来リーダーになりそうな気配を感じる。
桃月庵白酒は色白でまあるい体形からピッタリだ。弟弟子の隅田川馬石は住んでいる場所からの連想で襲名させたに違いない。三番目はよく分からないけど。
こうしてマクラを振ってるうちに今日は何を書こうかと考える。

近ごろやたらに女流の前座にぶつかるケースが多いがカンベンして欲しい。以前から言ってるように落語家は女性に向かない職業だ。なかには聴けるのもいるが大概は下手だ。決して差別のつもりで言ってるわけじゃない。向かないものは向かない。師匠方もそこんとこをよく諭して下さいよ。

扇辰『明烏』
白酒が後の仕事があるからと出番が入れ替わったらしく不機嫌そうに登場。まあポーズでしょうけど。
いきなり『明烏』とは恐れ入る。通常は仲入りかトリで演る演目だが。
全体をオーソドックスにまとめて人物の演じ分けに重点を置いた高座だった。
前から思ってたんだけどこの噺、要約すれば堅物の若旦那・時次郎が初会で浦里花魁に「男」にされてしまったってぇ事でしょう。処が、肝心の浦里が時次郎をどうやって誑(たら)し込んだかという描写がない。ここが興味津々なんだけど、誰か演じてくれないかな。白酒さん、チャレンジしてみませんか?

白酒『笠碁』
5代目小さん以来、柳派は待ったされた方の旦那が雨の中を笠をかぶってキョロキョロしながら行ったり来たりする場面を描いている。
白酒は大師匠の形で、待ったした方の旦那が笠の男を目で追うという表現にしていた。アタシの好みは後者で、こちらの方がジリジリしながら待ち、やがて堪えられなくなって声を掛けるという肝心の場面が生きてくると思う。
若手がこのネタを演ると概して旦那たちがそれらしく見えないという欠点を持つのだが、そこは白酒、大店の主人としての風格は出していた。
通常との違いは、待ったした側の旦那が相手の借金を待って上げたと言い立てると、待ったされた側が相手の愛人問題を穏便に解決してあげたじゃないかと言い返す所だ。つまりキブテイでお互い様だったという解釈。
男同士の友情というのは(家族にも話せない)「秘密の共有」がベースになっている事が多く、こういう演出もありかなと。

白酒『浮世床』
軽めの2席目は「将棋」と「本」。「ヘボ将棋王より飛車を可愛がり」という川柳にある通り、ヘボ将棋ににとっては飛車が絶対的な存在だ。それと詰めることより相手の駒を取ることに喜びを感じる。その辺りの雰囲気が出ていた。本の仮名の拾い読みで、百栄がやっているが「姉がカワラケ」が出ていた。あれはオリジナルは誰なんだろう。意味の分からぬお客もいるようだし。

扇辰『竹の水仙』
ご存知、左甚五郎ものの一つ。落語でいえば『竹の水仙』と『三井の大黒』『ねずみ』の3部作となるので、この作品は甚五郎が江戸へ下る途中の話となる。扇辰は名古屋の鳴海宿という設定だった。宿の主人は婿で今年で8年目、だから女房には頭が上がらない。
5代目小さん以来、柳家のお家芸ともいうべきネタだが、いくつかオヤッと思う箇所があった。
宿の主が甚五郎に2両2分を支払ってくれというと、甚五郎は倍の5両払うと言い出す。この時、甚五郎は一文無しなので払えないわけだから、倍にする意味が良く分からない。
竹の水仙が蕾の状態で花瓶にさし水を入れておくという事だったが、オリジナルでは水仙の水は昼夜六たび水を替えることになっている。竹の水仙は水を吸い上げることにより花が開くので、やはりオリジナルの方が理屈にあっている。
これもオリジナルでは水仙の花が開き辺りにいい香りが漂うようになってから、それに目をとめた大名(扇辰は細川公)が買いあげることになっている。扇辰の高座では大名が買うと言い出してから水仙の花が咲くと逆にしている。これも理屈に合わない。
水仙の価格だがオリジナルでは町人なら50両、大名なら100両と甚五郎が指定するのだが、扇辰の場合は相手によって値段を決めるからと価格を予め指定しないとしていた。
水仙が売れた500両を宿の主人が甚五郎の元へ届ける時に、女房が今まで失礼な事を言ってきたので主が鑿(のみ)で刺されるんじゃないかと心配し、主の身体に紐を巻き付けるという設定も不自然だ。実際に女房が紐を引き、主が階段から転げ落ちるというのは蛇足だ。
それやこれやで、扇辰らしい丁寧な描写も随所にあったが、およそ45分かかった口演時間と共に納得のいかない出来栄えだった。

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コメント

やはり、いらっしゃいましたか。
この会にしては、やや残念な内容でしたね。
人気者が高い質を維持することの難しさを感じました。
扇辰の「竹の水仙」のサゲ前の演出、私も違和感ありました。
それにしても、長すぎですね。

投稿: 小言幸兵衛 | 2014/05/01 20:56

扇辰、どうしちゃったんでしょうね、と言いたくなるくらい2席目は不出来でした。
毎度思うのですが、こういう会の前座って必要ですかね。少なくとも客にとっては不要でしかありません。前座抜きで扇辰がもう15分縮めてくれたら、たいぶ印象が変わったでしょうけど。

投稿: ほめ・く | 2014/05/01 21:23

前座の問題は居残り会でもいつも、特にこの日の子については。
扇辰は壁なんでしょうか、もがいていますね。

投稿: 佐平次 | 2014/05/01 21:57

佐平次様
人間、丁寧に行き過ぎると却ってしくじることがありますが、この日の扇辰はそんな印象でした。
前座ですが、少なくとも根岸んとこの女流だけは勘弁して欲しい。

投稿: ほめ・く | 2014/05/01 22:44

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