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2014/05/03

#393日本演芸若手研精会(2014/5/2)

「第393回日本演芸若手研精会・稲葉守治追善公演(昼)」
日時:2014年5月2日(金)14時
会場:日本橋劇場

<  番組  >
前座・柳亭市助『転失氣』
桂宮治『反対俥』
入船亭小辰『締め込み』
入船亭遊一『心眼』
~仲入り~
「龍馬」真打昇進口上
三笑亭夢吉『勘定板』
ゲスト・金原亭龍馬『抜け雀』

先日ある落語会運営サイトにアクセスし、サイト所定の書式に住所、氏名、電話番号、メルアドと希望する落語会などを書いてメール送信し、送信完了のメッセージが出た。ところがウンともスンともいって来ない。仕方なく問い合わせの電話をしたら、「0月0日ですか?メールは来てませんね」。確かに送信したと言うと、しばらくして「ああ、ありました。迷惑メールの所に入ってました。」という返事。オイオイ、いきなり迷惑メール扱いかよ。
この会じゃないですよ。ここは親切だからそんな心配は要らない。

今回の「日本演芸若手研精会」は「稲葉守治追善公演」と銘打っての昼夜公演で、その昼の部へ。
その稲葉守治さんの事だが、2009年3月26日付朝日新聞に以下のような追悼記事が書かれている。
【引用開始】
若手を育てる落語会を30年にわたって手弁当で続けてきた東京の稲葉守治さんが3月10日、肝臓がんで亡くなった。75歳だった。13日の告別式には、故人に育てられた落語家が集まって別れを惜しんだ。
稲葉さんは、見どころのある二つ目を出演させる「日本演芸若手研精会」を79年から月例で開催。3月5日に開いた会が第331回だった。
ここから巣立った落語家は柳家さん喬、三遊亭楽太郎(当代の圓楽)、三遊亭小遊三、五街道雲助らベテランから、林家たい平、柳亭市馬、柳家三三らまで、そうそうたる顔が並ぶ。稲葉さんは彼らの活躍を喜び、友人には「おれには見る目があるみたいよ」とうれしそうに語っていたという。
一方で、稲葉さんは決して楽屋には入らず、打ち上げにも出なかった。「僕が行けば出演者たちが硬くなってしまう」と説明していたが、「スポンサー顔をしたくない」というのが本心だった。
落語家の芸に注文もつけなかった。「僕らにはお客の入りの心配もさせない。芸に集中する環境だけを作ってくれた」と柳家三三は振り返る。
05年春にがんが見つかったが、入退院を繰り返しながら会を続けた。昨年9月には落語家たちが激励しようと「生前葬落語会 稲葉さんさよなら公演」を企画。市馬、三三らが出演した。稲葉さんは最後列の席で落語を楽しみ、珍しく打ち上げに出た。
【引用終り】
記事にある「生前葬落語会 稲葉さんさよなら公演」には私も参加したが、温かいそして楽しい会だったのを記憶している。
稲葉さんの追善公演だったにもかかわらず、直接ご本人にお世話になった人が少なかったためだろうが、出演者からあまり思い出話が聞けなかったのが残念だった。

この会は出演者全員が二ツ目のレギュラー制で、前座もレギュラーのようだ。メンバーは9人で出演は5人程度になるので毎回出るとは限らないが、前座だけは毎回出演ということになる。
その前座・市助だが、アタシの知る限りではピカイチだ。敢えて欠点を上げるとすれば、前座としては落ちつき過ぎて可愛げがないことだけだ。もう二ツ目は間近だろう。

宮治『反対俥』、ネタの出来だけいえば10代目文治の若い頃を思わせる(って古いね)パワフルな高座で、真打クラスといっても良い。サゲも工夫されている。
ただ毎度感じるのだが、この人のマクラの無遠慮さ、アクの強さ、ギラギラ感、臭さには少々閉口させられる。このまま進むのであれば客の好みは別れるだろう。

小辰『締め込み』、落語協会の二ツ目の中で素質としては群を抜いていると思う。やがては師匠や扇遊クラスの真打になるものと期待される。
ただこのネタに関しては未だ未だだ。『締め込み』は8代目文楽やその弟子の7代目円蔵が十八番としていたが、一番肝心なのが女房のお福の演じ方だ。亭主が焼き餅を妬くだけあって婀娜っぽい可愛らしい女に描かなくてはならない。夫婦喧嘩で亭主に言い立てる場面は良かったが、その前の湯屋から戻って近所の人と言葉を交わす所が今どきの若い女性になっている。亭主と泥棒の演じ分けも不十分だ。これからの仕上がりを待ちたい。

遊一『心眼』、8代目文楽の演出そのままに本寸法の高座。キズやアナは無いのだが、何かが足りない。
例えば按摩の梅喜の盲人ゆえの惨めさと、(夢の中で)目が明いた後の弾けるような喜びの対比が弱い。文楽の高座ではいつもここで拍手が起きていた。芸者・小春にはもっと色気が欲しい。
早ければ来年あたりには真打の声がかかるのだろうが、何を「売り」にしていくのかが課題か。

夢吉『勘定板』、便所の類語を調べたら、・御手洗い ・ 手洗い場 ・ 洗面所 ・ ご不浄 ・ 手水場 ・ 雪隠 ・ ラバトリー ・ 用場 ・東浄 ・ 不浄場 ・ 後架 ・ トイレ ・ トイレット ・ 憚り ・ 不浄 ・ 隠所 ・ 厠 ・ 化粧室 ・ 御不浄 ・ 御手水 ・ 閑所 ・大壷 ・トワレ・閑所 ・ラバトリー ・ 手洗い。近ごろはパウダールームなんて言うらしい。
この中の「閑所(かんじょ)」から地方によっては「かんじょう」とも言われてらしい、その一席。
軽いネタだが、これでもかいう程の「尾篭トーク」で沸かせていた。この人の明るい芸風に合ってるんだろう。

龍馬『抜け雀』、昨年真打に昇進したので今日はゲスト。このネタは古今亭(金原亭)一門のお家芸だが、最近ではすっかり柳家に十八番を奪われてりる感がある。こうして一門の若い人に継承されているのは嬉しいことだ。
龍馬の高座はもう少し人物像を鮮明にして欲しいと思った。

さて現在の若手の高座について、稲葉さんはどう感じているだろうか。

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コメント

芸術協会の宮治、落語協会の馬るこ。
2人はパワフルな若手として期待される、いわば4番候補。
対する小辰は俊足好打の1番バッターか。
硬軟とりませて発展していってほしいもんです。

福様
芸協の二ツ目では宮治、夢吉、円満といった所が真打クラスでしょう。落協では他に、たけ平に注目しています。
これからどう伸びて行くか楽しみです。

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