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2014/06/24

「兼好・萬橘 二人会」(2014/6/23)

立川談春のドラマ初出演、あれは失敗だった。
この日曜日に最終回を迎えたTBSのTVドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」、ご覧になっていない方もおられるだろうが、部品メーカー青島製作所が何度も危機に陥りながら逆転してゆく、その物語を社の野球部の存亡を絡めて展開したドラマだ。
主人公の唐沢寿明が率いる青島製作所を窮地に陥れ、「細川と青島製作所を叩き潰す」と執念を燃やす同業ライバル会社・イツワ電器の社長を談春が演じたのだが、この演技がなんともクサイ。落語に出てくる登場人物というのはある程度パターン化しているのでそれで済むんだろうが、ドラマの役作りはもっと複雑だ。
一番いけなかったのはどう見ても談春が上場企業の社長に見えなかったこと。顔をアップすると品の悪さだけが目立つ。女房なぞは談春のCDを聴くたびにあの顔が頭に浮かんで気分が悪いと言っている。
落語家がドラマや芝居に出ることは歓迎だが、仕事を選ばないと本業にも差し支えるんじゃなかろうか。
それとも話題になってチケットが更に売れるようになるのかな。
閑話休題。

第8回渋谷道玄坂寄席「三遊亭兼好・三遊亭萬橘 二人会」
日時:2014年6月23日(月)19時
会場:Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE(なんのコッチャ)
<  番組  >
前座・三遊亭けんだま
三遊亭兼好『犬の目』
三遊亭萬橘『臆病源兵衛』
~仲入り~
三遊亭萬橘『真田小僧』
三遊亭兼好『陸奥間違い』

圓楽一門会の人気若手二人による会だが、入りは7分程度か。この会場は座席が良いし足弁も悪くないのだが、ロケーションがねえ。

前座のけんだま、兼好の弟子だが字が分からない。圓楽一門会ってHPが無いよね、なぜなんだろう。せめて会員の経歴紹介と一門の寄席だけでも載せるべきじゃないのかな。ヤル気がないのか、金がないのか。

兼好の1席目『犬の目』、マクラで萬橘の顔のことを人類進化の過程とイジッテいたが、顔は二人ともドッコイドッコイじゃない。
眼の悪い患者の目をくりぬき洗浄して干しておいたら近所の犬が食べてしまう。仕方なく犬の目を患者に入れてやるという他愛のにない噺。この医者はメモ魔みたいで気が付いたことは片端からメモするのだが、それが全てダジャレ、という所が兼好独自の工夫。

萬橘の1席目『臆病源兵衛』、先代馬生から弟子の雲助へ、さらにその弟子たちがしばしば演じているネタ。
スケベだがやたら暗闇を怖がる臆病者の源兵衛を驚かそうと一計を案じた八五郎だが、源兵衛があまりに驚いた拍子に八を殴り殺してしまう。源兵衛が死体を葛篭に入れて担ぎ不忍池辺りまで来ると通行人とぶつかり葛篭を落としてしまう。その衝撃で気を失っていた八が眼を覚ますが、自分はすっかり死に装束。果たしてここは地獄か、極楽か・・・。
前半の暗闇を怖がる源兵衛の仕種で笑わせていたが、後半の生き返った八五郎がウロウロする場面が長過ぎダレた。サゲを工夫したかったせいだろうが、成功したとは思えない。
やはり雲助一門の方が上手い。

萬橘の2席目『真田小僧』、この人の語りやセリフ回しに独特のリズム感があり、これに酔えるかどうかで好みが分かれるかも知れない。アタシは嫌いじゃない。
金坊から金を掠め取られた父親が帰ってきた女房に「あいつが俺の留守に、お前が男を引っ張り込んだって言うんだ」と言うと、女房が「あたしゃそんな事しないよ、家じゃ」と答えるギャグが面白かった。

兼好の2席目『陸奥間違い』、初見。
聴いた事がない噺だと思ったら、浪曲を落語に移したものらしい。落語の世界ではたいがい武士は嘲笑の的になることが多く、反対に講談や浪花節の世界では武士の誉を描いている。この物語もその一つ。
兼好はマクラで当時の下級武士の年俸は、今の価格に換算して数十万円程度だったと言っていたが、それでは生活はかなり苦しかったに違いない。
貧しいい直参旗本の小役人が金に困り、出世した元同僚の松納陸奥守(まつのうむつのかみ)に無心の手紙を書いて権助を使いにやるが、間違えて松平陸奥守(まつだいら むつのかみ)の所へ行ってしまう。仙台候も手紙を読んで首を傾げるが、せっかく旗本が自分を頼んでの依頼ならと3千両を貸し与える。
驚いたのは小役人、この金は受け取れぬ、いやどうしても受け取って欲しいという押し問答の末、最後は老中の智恵伊豆や、果ては将軍までこの話が広がる始末。
登場人物はみな爽やか、武士の鑑。結末もハッピー。
落語としては真っ直ぐ過ぎるストーリーだが、兼好の演じる権助がまるで「権助魚」と「平林」とを合わせたような人物設定で、面白く聴かせてくれた。
兼好の新境地を示した1席。

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コメント

先代馬生、弟子の雲助、さらにその弟子たち。
皆、ユニークな名前ですが、今や落語界の大きな流れになっていますね。

また、私は当代の馬生のゆったりとした語り口に先代の面影を感じる者です。

あ、申し遅れました。おひさしぶりです。

投稿: 福 | 2014/06/27 06:55

福様
師匠と弟子全員が亭号が異なるというのは雲助一門だけでしょう。この一門の優れているのは師匠の先代馬生の芸をしっかり受け継いでいることです。
当代の馬生は、馬冶の頃から注目してきましたが、私もあのユッタリとした語り口が好きです。踊りの名手なのも先代譲りです。

投稿: ほめ・く | 2014/06/27 09:38

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