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2014/06/29

#32三田落語会「一朝・白酒 二人会」(2014/6/28昼)

第32回三田落語会・昼「春風亭一朝・桃月庵白酒 二人会」
日時:2014年6月28日(土)13時30分
会場:仏教伝道センタービル8F
<  番組  >
前座・柳家さん坊『道灌』
桃月庵白酒『転宅』
春風亭一朝『死神』*
~仲入り~
春風亭一朝『一分茶番』
桃月庵白酒『つるつる』*
(*:ネタ出し)

今年の梅雨はよく降るねぇ。こんなに降らなくてもと思うくらい。我が家には乾燥機が無いので洗濯物が乾かないで困ってる。この日も一日中傘が手放せなかった。
32回三田落語会は昼夜とも前売り完売。
驚いたのは次回チケットを買うための整理券を求める列だ。12時より配布だが11時40分時点で最後尾は6階階段に達していた。予定を早めて11時45分から整理券の配布を始めていた。後で聞いたら午前9時にはもう10人以上待っていたとか。たかが落語、ちょいと異常な気もするが。

白酒の1席目『転宅』
白酒の良い所は、泥棒に出会ったお菊が当初は動揺の色を見せるところ。後で隣家の煙草屋に駆け込むくらいだからお菊は怖かったのだ。だからここは省略できない。
お菊に夫婦になってくれと言われた泥棒の有頂天ぶりも良い。ここで天に昇らせて後半で暗転させる、その落差がこの噺の要。
以前と変えていたのは、翌日泥棒が時間稼ぎに町内を回るシーンで、泥棒が新所帯の生活を妄想する場面を加えていた。

一朝の1席目『死神』
マクラで、私は権太楼さんと違って誰にでも合せますと言っていたが、以前のこの会で権太楼が白酒との二人会に嫌悪感を示した事を指したんだろう。二人の人柄を物語るが芸の良し悪しとは別問題。
このネタも一朝が演じると何かフワッとしたムードになり死神も可愛らしいオジサンに見えてくる。終盤の死神が男を蝋燭が並ぶ洞窟に連れこむ場面でも、ゾクッとするような恐怖感がない。圓生とは対照的だ。
こういう演じ方もアリかな。

一朝の2席目『一分茶番』
前半だけで切って『権助芝居』の名でしばしば高座に掛かるが、本当の面白さはフルバージョンでないと味わえない。時間が長めになるのと、演者に芝居の素養がないと演じられないので、寄席の高座にかかる機会は少ない。そういう意味では一朝は打って付け。権助が忠臣蔵7段目のお軽を演じた時の失敗談を語るが、他に演じる人がいないので権助が番頭から一分貰って芝居『鎌倉山』の非人・権平の役を引き受ける事になる。
処がいざ幕が開くと権助はセリフは忘れるわ、客のヤジにいちいち反応し舞台をぶち壊すわ、立ち回りシーンでは本気になって相手の役者を張り倒すわで大混乱。
暴れる権助を相手の役者が縄で結わき、「さあ、何者に頼まれた。キリキリ白状しろ」「一分貰って、番頭さんに頼まれた」でサゲ。
芝居の型を踏みながら権助の朴訥さや失敗を演じるのがカナメだが、ここをきちんと押えた一朝の高座、誠に結構でした。
余談だが一朝がマクラで紹介された下ネタのエピソードを一つ。十四代目守田勘彌(玉三郎の父)と先代江戸屋猫八とが料理屋の2階で、どちらのペニスが小さいかという試合をした。双方の奥様が1階で待っていると、勘彌が見事に勝利。喜んで階段を駆け下りてきて夫人に「女房喜べ、セガレがお役に立ったわ、やい」。
ここで一言、「ペニスの証人」、くだらねぇ。

白酒の2席目『つるつる』
ご存知黒門町の十八番であり、談志に言わせれば文楽の代表作。文楽の描く幇間(たいこもち)には賑やかさの陰に常に哀愁が漂っている。この一八像がこの噺にピッタリなのだ。
文楽の型は一八が芸者・お梅に言い寄り、夜中の2時に来てくれれば所帯を持ってもいいが5分でも遅れればこの話は無かった事にしようと言われる。
この事を旦那の樋ぃさんに打ち明け夜中の12時には中座させて貰うよう頼むのだが、そうはさせじと旦那は様々な嫌がらせを仕掛けてくる。
何とか座敷を抜け出し、2階から紐を伝って下の座敷のお梅の部屋に降りる算段をするのだが、肝心の2時に寝込んでしまい、目が覚めたのは朝。慌てて紐にぶら下がり下へ降りると朝食の真っ最中。「何だそのなりは!」「へへ、井戸替えの夢を見ました」でサゲ。
白酒の演出は一八が言いよる場面はカットし経緯を旦那に説明するという演じ方だ。大師匠の師匠・志ん生の演出に沿ったものと思われる。全体に幇間の悲哀よりは可笑しさを強調した演じ方も志ん生流だ。
アタシの好みは文楽だが、志ん生流の白酒の高座も悪くない。
やはり、この人は上手い。

2014/06/27

【街角で出会った美女】クロアチア編(4)

2014年5月下旬より12日間、西バルカンのボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、コソボ、アルバニア、マケドニアの6ヶ国を巡るツアーに参加してきました。アルバニアを除きいずれも旧ユーゴスラヴィアの属し、その後独立を果たした国々です。特にボスニアとコソボはそれぞれ泥沼の紛争を経てきていますし、いずれの紛争においてもセルビア側が悪者になりNATO軍による空爆を受けました。
この辺りから集団安全保障が皆で悪い奴を懲らしめるという方向に向かったような気がします。アフガン、イラク、リビアと悪漢たちが次々と懲らしめられました。
しかし本当に彼らは悪い奴らだったのか、それは誰かが作り出した虚像ではなかったのか、いま改めて振り返ってみる必要があるのではないでしょうか。
そうした視点を含めて、現在「ほめ・く別館」で旅行記を連載していますので、ご興味のある方はご一読下さい。

さて、今回6ヶ国の他に途中クロアチアのドブロヴニクに立ち寄りました。日曜日とあって旧市街の教会では次々と結婚式が挙げられていました。
友人の式が終わるのを花束を持って出待ちしている女性です。
Photo

こちらは挙式が終了し、付き添いの人と近くの船着場に向かう花嫁です。どうやらこの後船上でパーティーがあるらしく急いでいて、眼の前を走り抜けて行きました。
Photo_2

2014/06/24

「兼好・萬橘 二人会」(2014/6/23)

立川談春のドラマ初出演、あれは失敗だった。
この日曜日に最終回を迎えたTBSのTVドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」、ご覧になっていない方もおられるだろうが、部品メーカー青島製作所が何度も危機に陥りながら逆転してゆく、その物語を社の野球部の存亡を絡めて展開したドラマだ。
主人公の唐沢寿明が率いる青島製作所を窮地に陥れ、「細川と青島製作所を叩き潰す」と執念を燃やす同業ライバル会社・イツワ電器の社長を談春が演じたのだが、この演技がなんともクサイ。落語に出てくる登場人物というのはある程度パターン化しているのでそれで済むんだろうが、ドラマの役作りはもっと複雑だ。
一番いけなかったのはどう見ても談春が上場企業の社長に見えなかったこと。顔をアップすると品の悪さだけが目立つ。女房なぞは談春のCDを聴くたびにあの顔が頭に浮かんで気分が悪いと言っている。
落語家がドラマや芝居に出ることは歓迎だが、仕事を選ばないと本業にも差し支えるんじゃなかろうか。
それとも話題になってチケットが更に売れるようになるのかな。
閑話休題。

第8回渋谷道玄坂寄席「三遊亭兼好・三遊亭萬橘 二人会」
日時:2014年6月23日(月)19時
会場:Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE(なんのコッチャ)
<  番組  >
前座・三遊亭けんだま
三遊亭兼好『犬の目』
三遊亭萬橘『臆病源兵衛』
~仲入り~
三遊亭萬橘『真田小僧』
三遊亭兼好『陸奥間違い』

圓楽一門会の人気若手二人による会だが、入りは7分程度か。この会場は座席が良いし足弁も悪くないのだが、ロケーションがねえ。

前座のけんだま、兼好の弟子だが字が分からない。圓楽一門会ってHPが無いよね、なぜなんだろう。せめて会員の経歴紹介と一門の寄席だけでも載せるべきじゃないのかな。ヤル気がないのか、金がないのか。

兼好の1席目『犬の目』、マクラで萬橘の顔のことを人類進化の過程とイジッテいたが、顔は二人ともドッコイドッコイじゃない。
眼の悪い患者の目をくりぬき洗浄して干しておいたら近所の犬が食べてしまう。仕方なく犬の目を患者に入れてやるという他愛のにない噺。この医者はメモ魔みたいで気が付いたことは片端からメモするのだが、それが全てダジャレ、という所が兼好独自の工夫。

萬橘の1席目『臆病源兵衛』、先代馬生から弟子の雲助へ、さらにその弟子たちがしばしば演じているネタ。
スケベだがやたら暗闇を怖がる臆病者の源兵衛を驚かそうと一計を案じた八五郎だが、源兵衛があまりに驚いた拍子に八を殴り殺してしまう。源兵衛が死体を葛篭に入れて担ぎ不忍池辺りまで来ると通行人とぶつかり葛篭を落としてしまう。その衝撃で気を失っていた八が眼を覚ますが、自分はすっかり死に装束。果たしてここは地獄か、極楽か・・・。
前半の暗闇を怖がる源兵衛の仕種で笑わせていたが、後半の生き返った八五郎がウロウロする場面が長過ぎダレた。サゲを工夫したかったせいだろうが、成功したとは思えない。
やはり雲助一門の方が上手い。

萬橘の2席目『真田小僧』、この人の語りやセリフ回しに独特のリズム感があり、これに酔えるかどうかで好みが分かれるかも知れない。アタシは嫌いじゃない。
金坊から金を掠め取られた父親が帰ってきた女房に「あいつが俺の留守に、お前が男を引っ張り込んだって言うんだ」と言うと、女房が「あたしゃそんな事しないよ、家じゃ」と答えるギャグが面白かった。

兼好の2席目『陸奥間違い』、初見。
聴いた事がない噺だと思ったら、浪曲を落語に移したものらしい。落語の世界ではたいがい武士は嘲笑の的になることが多く、反対に講談や浪花節の世界では武士の誉を描いている。この物語もその一つ。
兼好はマクラで当時の下級武士の年俸は、今の価格に換算して数十万円程度だったと言っていたが、それでは生活はかなり苦しかったに違いない。
貧しいい直参旗本の小役人が金に困り、出世した元同僚の松納陸奥守(まつのうむつのかみ)に無心の手紙を書いて権助を使いにやるが、間違えて松平陸奥守(まつだいら むつのかみ)の所へ行ってしまう。仙台候も手紙を読んで首を傾げるが、せっかく旗本が自分を頼んでの依頼ならと3千両を貸し与える。
驚いたのは小役人、この金は受け取れぬ、いやどうしても受け取って欲しいという押し問答の末、最後は老中の智恵伊豆や、果ては将軍までこの話が広がる始末。
登場人物はみな爽やか、武士の鑑。結末もハッピー。
落語としては真っ直ぐ過ぎるストーリーだが、兼好の演じる権助がまるで「権助魚」と「平林」とを合わせたような人物設定で、面白く聴かせてくれた。
兼好の新境地を示した1席。

2014/06/21

お知らせ

当ブログの再開は6月24日を予定しています。

2014/06/15

#14らくご古金亭(2014/6/14)

「第十四回 らくご古金亭」
日時:2014年6月14日(土)17:30
会場:湯島天神参集殿1階ホール

前座・金原亭駒松「からぬけ」
<  番組  >
金原亭馬吉「狸賽」
蜃気楼龍玉「一眼国」
柳家小里ん「二階素見」(ゲスト)
五街道雲助「大山詣」
~仲入り~
春風亭一朝「たが屋」(ゲスト)
金原亭馬生「居残り佐平次」

本日一日限りの臨時営業です。

今年の梅雨は良く降りますねぇ。何もこんなにという位に降る。「ふるあめりかに袖はぬらさじ」と言いたい気分だが、我が安倍首相はすっかり「集団的自衛権」狂い。
今は首相を支持している人もいるようだが、時の政権によって憲法の解釈が自由に変えられるとしたら、こんな恐ろしい事はない。将来、安倍首相と180度違う政権が出来たら、解釈も180度変えて良いということになる。
飯島内閣官房参与が言及していたが、憲法の政教分離に対する解釈だって内閣によって変えられることになる。いきなり「公明党と創価学会は政教一致」なんて判断されてね。
言論の自由や表現の自由など憲法のあらゆる条項に関連する事だから、賛成論者も「集団的自衛権の解釈変更」には慎重になった方が良いと思う。

駒松「からぬけ」、やたらセリフの繰り返しが多いと思ったら、どうやら時間稼ぎのためだったようで、後から出てきた馬吉がバラシていた。例のごとく携帯や録音録画の禁止の注意事項に加え、メモをしないようにというのが加わったが、これは主催者の考え方だろうか。それなら理由を説明すべきだろう。ちょいと高圧的な印象を受けたけど。

馬吉「狸賽」、5代目小さんに比べあっさりした演出の志ん生型。こういう軽いネタはニン。

龍玉「一眼国」、8代目正蔵の演出をベースに、六部に飯を食わせる所だけは志ん生流を加えていた。
この人が演じると、こういうネタも途端にオドロオドロしくなるのは語りのせいか。語りの確かさに軽い滑稽味が加われば鬼に金棒なのだが。
別の会で7月28日に「真景累ヶ淵」の通し口演をやるようで、こっちは楽しみだ。

ゲストの小里ん「二階素見」、近ごろ聴きなれない言葉だが、辞書にはこうある。
素見(すけん):物や遊女を見るだけで買わないこと。また、その人。ひやかし。そけん。
素見騒き(すけんぞめき):遊里をひやかしてうろつくこと。また、その人。ひやかし。ぞめき。
ついでに「冷やかし」の語源は、吉原に近い隅田川で紙を漉いていた職人たちが原料を 水につけている間は暇だったことから、遊郭に行って遊女を見て回りできた言葉だと言われている。
マクラで吉原のガイドを語っていたが、「今の吉原も詳しい」と言っていたが見掛けによらないね。
落語や芝居に出てくるような吉原は江戸からせいぜい明治の初期ごろまでの風景だったらしい。それ以後はいわゆる遊興や接待の場が芸者遊びに主体が移り、吉原は寂れていったようだ。だから仮に売春防止法が無くったって、かつての吉原の風情が戻るわけじゃない。
吉原の素見に毎晩通う若旦那を見かねて、店の番頭が2階に吉原の街を再現させると、若旦那が一人で冷かして歩くというストーリー。若旦那の一人芝居を小里んは実に楽しそうに演じ、それが観客席に伝わるという按配。吉原版テーマパーク。

雲助「大山詣」、ストーリーは同じだが、細部は演者によって変わる。例えば8代目柳枝では冒頭で先達が今年は行かないというのを周囲が説得し、2分と坊主刈りの決めしきをするという演じ方。熊が坊主頭に気付くのも宿の女中にからかわれてから。熊は自分を坊主頭にするために周囲が無理やり酒で酔わせて乱暴させたのだと怒る。
雲助の演出は、先達が熊に今年は留守番をしてくれと頼む。毎度熊が原因での喧嘩騒ぎを避けたいのだと言う。熊は今年は絶対に喧嘩しない、仲間との決めしきは守ると誓うので皆で大山へ向かう。熊は翌日女中に起こされ、自分で髪を撫ぜようとして坊主頭に気付く。頭を剃られたのはともかく、熊一人置いて既に全員が宿を出発してしまった事に怒りをぶつける。志ん朝の演出に拠ったものと思われるがパワーはやや抑え気味。

ゲストの一朝「たが屋」、江戸の川開きの風景を野暮な武士に対する江戸っ子の心意気を示していた。隅田の川風のごとく爽やかな一席。

馬生「居残り佐平次」、落語に登場する数ある江戸っ子の中でも、この佐平次ほど異彩を放つ人物は他にいない。この人物をどう描くかが演者の腕の見せどころ。
マクラで馬生は最も着物の似合う落語家と自称していた。確かにこの人の着物姿はキレイだ。本人によれば普通は20-30万円程度だそうだが、馬生の物は120‐130万円とのこと。気障(きざ)だね。そう、馬生の描く佐平次は先ず気障なのだ。若い衆に支払いを請求されても、一文無しと分かって叱られても、布団部屋に追われても決して卑屈にならず常に恰好を付け気障を通す。
その鼻持ちならぬ様なキザさが、この世界では人気を博し客の祝儀を一人占めにしてしまう。
女郎屋の主人から出て行くように言われる時も、キザな佐平次の大きなハッタリにコロリと騙されてしまう。
馬生は踊りの名手である動きも活かしキザな佐平次像を描いて好演。

ブログはまだ暫くお休みします。
再開は今月下旬の予定。

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