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2014/07/29

蜃気楼龍玉『真景累ヶ淵(通し)』(2014/7/28)

蜃気楼龍玉独演会『真景累ヶ淵」~通しで~』
日時:2014年7月28日(月)19時
会場:日本橋社会教育会館

蜃気楼龍玉が三遊亭圓朝作『真景累ヶ淵』を、以前に8回に分けて演じたのを今回は通しで口演するという会。恐らく初めての企画だと思われるが、会場は満席。
原作は圓朝曼荼羅と呼ばれる因縁話で、章立てすると以下のようになり、全編を演じようとすれば10日ほどかかってしまう長編だ。
・宗悦殺し
・松倉町の捕物
・豊志賀の死
・お久殺し
・迷いの駕籠
・お累の死
・聖天山
・麹屋のお隅
・明神山の仇討
寄席などでこのうち『宗悦殺し』『豊志賀の死』『聖天山』は聴いた事があるが、通しは初めてだ。 もっとも全体を正味2時間で演じるのでダイジェストになるのはやむを得ない。
この日の会では『お久殺し』 『迷いの駕籠』 『お累の死』『聖天山』 『明神山の仇討』を中心にした内容だった。

作品全体は非常に入り組んだ人間関係により構成されているが、全ては発端からだ。
鍼医の皆川宗悦は旗本・深見新左衛門宅へ借金の取り立てに行き口論となり、激昂した新左衛門は宗悦を斬り殺し、死骸を家来の三右衛門に捨てさせる.三右衛門は故郷の羽生へ帰る。
深見はお熊を女中に雇うが、これを妾にし、病気の妻を誤って斬り殺してしまう。
その後深見は隣家のイザコザで殺され家は改易となる。お熊は産んだ子と深川へ行き、門番の勘蔵は深見の次男で乳呑み児だった新吉を連れて下谷大門町へ移る。

ここで人間関係を整理しておく。
深見と妻の間に出来た子のうち長男が新五郎、次男が新吉だ。妾のお熊との間にできた娘がお賤(おしず)。深見の死後、お熊は夫を持つが、その倅が土手の甚蔵。
宗悦の長女が志賀(後の豊志賀)、次女がお園。
三右衛門の息子が三蔵、娘がお累。三右衛門の弟が三五郎でその娘がお久。
以上を頭に入れておいて、以下の粗筋を読んでください。
実は『真景累ヶ淵』にはこの他にサイドストーリーとして仇討の物語もあるが、この日の口演のようにカットされることが多いようだ。

宗悦の娘である豊志賀が、親の仇の息子と知らず年下の新吉と深い仲になるが、顔が腫れあがる病に罹ったのを機に新吉の気持ちが離れていき、一方新吉は若いお久に惹かれていく。それを恨んで豊志賀は自害してしまう。その際に、新吉の妻を7人まで取り殺すという遺書を残す。
龍玉が言ったように、物語の骨格は豊志賀の復讐譚なのだが、相手を直接呪い殺すのではなく、相手の妻を死に追いやることにより生き地獄の思いを味わらせるという復讐なのだ。

豊志賀の墓参で出会った新吉とお久,その場でお久の実家の下総羽生村へ駆け落ちする。鬼怒川を渡るとそこは累ヶ淵。お久は土手の草むらにあった草刈り鎌で足を怪我してしまう。介抱しながらお久を見ると豊志賀の顔になっていて、逆上した新吉が思わず鎌でお久を惨殺してしまう。それを目撃した土手の甚蔵と格闘となるが、落雷の隙に逃げる。処が逃げ込んだ先が甚蔵宅。甚蔵は新吉にお久殺しを白状させ、兄弟分の盃を交わす。

新吉はお久が埋葬された羽生村の法蔵寺へ墓参に向かい、そこで出会ったお累が江戸育ちの新吉に一目惚れ。実はお累はお久の従姉妹だ。二人が良い仲になったのを知った土手の甚蔵は、お久殺しに使われた質屋三蔵の焼き印がある鎌をネタに,お累の兄の三蔵から20両強請る。その晩お累は煮え湯で顔に大やけどを負う。新吉をお累の婿にという縁談が進み、三蔵は評判の悪い甚蔵と新吉の縁切りのために甚蔵に金を渡す。婚礼の晩お累の顔の変わりように新吉は驚くが、豊志賀の因縁を感じて改心し、お累は身籠る。

恩人である勘蔵が危篤との報せが届き.新吉は急ぎ江戸へ向かう。いまわの際の勘蔵から、新吉が深見家の次男だと知る。同時に新吉は、兄の新五郎が豊志賀の妹のお園殺しの下手人だと知らされる。その新五郎は既に捕縛され獄門にかけられていた。

月満ちてお累が産んだ子は,新吉が聞かされて新五郎の顔に生き写しだった。気鬱にかかったお累の病を治そうと修行のために墓掃除する新吉は、そこで名主惣右衛門の妾・お賤に会う。新吉はお累に嫌気がさし、馬方作蔵の手引きでお賤と密通する。あきれた兄の三蔵は新吉一家と縁を切る。馬方作蔵と遊び歩き金に困った新吉は、家財を売ったり質入れしたりし金に換えていたが、終いには蚊帳をお累の生爪ごと引きはがし、生まれたての赤子に煮え湯をかけて殺してしまう。お賤のところにお累の霊が出て、新吉が家に戻るとお累は鎌で自害していた。

新吉とお賤の間を気が付かない名主の惣右衛門、病に倒れ遺言でお熊には財産の一部を、新吉には湯灌を頼む。それを知った二人は惣右衛門を扼殺し、病死と偽る。しかし新吉の湯灌を手伝った甚蔵が殺人だと気づき、お賤を強請る。お賤にたきつけられた新吉は、聖天山に金を埋めたと偽り、甚蔵と2人で金を掘りに行き、隙を見て甚蔵を崖から突き落とす。お賤の家に戻りホッとしていると、手負いの甚蔵が現れて新吉に襲いかかり、これをお賤が鉄砲で甚蔵を射殺する。

松戸の小僧弁天で,馬方作蔵から三蔵が大金を持って故郷から江戸に向かうとのことを聞いた新吉は,待ち伏せて三蔵を殺し,金を奪う。その後お賤と二人で逃げるが雨に遭い、塚崎の観音堂で休む。そこの尼こそ,お賤の母のお熊だった。お熊から事情を聞いて、新吉とお賤が実は腹違いの兄妹だと知る。畜生道に堕ちていた事が分かった新吉は、お賤を鎌で殺害し自害する。次いでお熊も鎌で自害。この鎌こそ、新吉がお久を殺害した時の草刈り鎌だった。

以上が龍玉の口演の要旨で、通しといってもサイドストーリーは割愛し、筋書も一部変更している。その分複雑怪奇な話を分かり易いものにしていた。
龍玉の口演は名前の言い間違いなどの小さなミスはあったが、明瞭で説得力のある語り口を生かした堂々たる高座だった。
久々に落語会に同行した妻も感心していた。渾身の高座、真に結構でした。

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