我らの時代 落語アルデンテⅨ(2014/8/16昼)
”我らの時代 落語アルデンテⅨ 「お盆アルデンテ 銀座編」” 迎えデンテ
日時:2014年8月16日(土)14時
会場:銀座博品館劇場
< 番組 >
前座・入船亭ゆう京『堀の内(序)』
春風亭一之輔『かぼちゃ屋』
春風亭百栄『修学旅行の夜』
~仲入り~
桃月庵白酒『寄席よりの使者-ガザ編-』
三遊亭兼好『井戸の茶碗』
「アルデンテ」(イタリア語:al dente)とは、スパゲッティなどのパスタを茹でるとき「歯ごたえが残る」という茹で上がり状態を指すらしい。麺の中心に髪の毛ほどの芯を残すのだそうだ。
するってぇとこの会の出演者は、芯のある歯ごたえのある噺家を揃えたという事になる。
昼夜興行で人気者を集めたせいか完売、その昼の部へ。お盆らしく「迎えデンテ」の副題が付いていたが、ネタとは関係なかった(強いて言えば白酒のネタか)。
一之輔『かぼちゃ屋』
主催者の夢空間に、プログラムぐらい付けたらどうかと言っていたが、同感。でも、ここはやらないだろうね、サービス精神が皆無だもん。
会場は一之輔目当ての人が多かったのだろうか、彼が何か言うたびに大笑いだ。ここまで客を洗脳してしまったこの人の人気と実力は大したもんだと思う。
しかしこのネタは、やたら大声を出したりハイテンションで飛ばすような演目じゃない。ノンビリと語る中で可笑しさがこみ上げて来る。そういうネタだ。
チョイと荒れてるなと思ったのは、アタシだけか。
百栄『修学旅行の夜』
新作もので、修学旅行先でお互いが怖い話を披露し合うというストーリー。
久々にツマラナイ新作落語を聴いた。
白酒『寄席よりの使者-ガザ編-』
自作の新作もののようだ。
主人公は川柳川柳、知る人ぞ知るで、知らない人はこの噺はチンプンカンプンだろう。いつも酔っぱらっていて、ネタは『ガーコン』一本。高座でひたすら軍歌を唄い続けるというのが芸風。これだけで高座を務め一定の人気を博しているとゆうのは貴重な存在。アタシはこの人こそ人間国宝の価値があると思っているのだが、高座から客と喧嘩することと酒癖が悪いのは明らかなマイナス材料だ。
この『ガーコン』が何故か近ごろ「反戦落語」とされていて、終戦の日前後にお呼びがかかる機会が増えるのだそうだ。ヘエー、知らなかった。そんな高尚な内容じゃないけどね。
ストーリーは、ガザ地区でのハマスとイスラエルとの戦闘の和平工作を日本政府に依頼したところ、文章を読み違えて「笑える戦争の話が出来る」という条件で、川柳がガザに派遣される。状況の分からない川柳はいつもの通り酔っぱらって軍歌を唄い、最後は脱穀機でガーコンガーコンとやるのだが、これが何故かイスラエルとハマスの幹部に感動を与え、無事に和平が実現するというもの。
奇想天外だが、白酒の力技が冴え面白く聴かせていた。
この人は新作でも十分いける。喬太郎や昇太もウカウカしていられまい。
兼好『井戸の茶碗』
マクラで兼好が、小三冶が人間国宝に認定されたことで我々も大いに励みになる。今日のメンバーでいえば百栄はムリ、白酒は毒があり過ぎ、一之輔は若過ぎる。そうなると、私かなと。
この人のこのネタは初めて聴く。
元が講釈ネタだったせいか登場人物は全て善人。こういう噺をあまりジックリ丁寧に演じてしまうと臭さだけが目立ってしまう。
兼好は独自のクスグリを入れながらテンポ良く筋を運んでいて好演。この人が演じると人情噺も落し噺に見えてくる。
この会は、2勝2敗で引き分けという結果だった。
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「かぼちゃ屋」は先代小さん、今では市馬がよく演りますね。
先日、BSで談四楼の弟子のドキュメントがありましたが、
二つ目昇進をかけた一席が「かぼちゃ屋」でした。
「天秤棒がつかえている所作は路地の狭さが感じられれば十分。
そんなに大きな動きは不要」という指導が入り、興味深いものがありました。
投稿: 福 | 2014/08/18 07:06
福様
『かぼちゃ屋』というネタはそれほど爆笑を取るような演目ではないと思います。動きも談四楼の指摘通りでしょう。
一之輔の高座はそこが不満でした。
投稿: ほめ・く | 2014/08/18 07:34