国立演芸場8月中席(2014/8/13)
国立演芸場8月中席
< 番組 >
前座・雷門音助『八問答』
三遊亭遊里『道灌』
コントD51『コント』
桂文治『源平盛衰記(序)』
東京ボーイズ『ボーイズ』
雷門助六『仕立ておろし』
~仲入り~
桂小南治『天狗裁き』
桧山うめ吉『俗曲』
桂歌丸『お札はがし』
今年もお盆興行は国立の芸協と鈴本の落協の二本立てで、先ずは8月13日(水)国立演芸場の芸協の芝居へ。国立の8月中席は毎年歌丸がトリを取るのを恒例化している。今年に入って度々の体調不良で心配されたが回復し、10日間11回興行を務めることが出来そうだ。
歌丸のネタがアタシの今夏の「怪談噺を聴く」というテーマとも合致し、出向いた次第。
小南治によると2005年以来毎年11日連続の「大入り」が続いているそうで、これは驚異的だといえよう。もちろん歌丸の人気に因るものだ。「笑点」の影響もあるのだろうが、それだけでない。「笑点」の他のメンバーではこの真似はできない、歌丸の実力のなせる技だ。
音助『八問答』、久々に上手い前座を聴いた。ネタは何でも数字の「八」が付くという「根問」ものの一種で元は上方ネタ。テンポの良い語りは二ツ目レベル。
遊里『道灌』、トボケタ味と間は師匠より遊雀に似ている。
コントD51『コント』、こういう押し付けがましい芸はアタシの性に合わない。
文治『源平盛衰記(序)』、このネタに当たる確率は80%位かな。というか、これ以外のネタには暫くご無沙汰のような気がする。
ボーイズ『ボーイズ』、ボーイズの芸人はもう東京で5組しか残っていないそうだ。そう言えば最近は楽器を使った漫才も見なくなった。このまま廃れるとしたら寂しい。
助六『仕立ておろし』、マクラに毛の生えたような内容で中トリのネタとしてはどうなんだろう。見所は踊り。
小南治『天狗裁き』、癖のある語りのリズムへの好き嫌いでこの人の評価が分かれるだろう。アタシは好きだけど。
うめ吉『俗曲』、日本髪で通すというのは大変だろうね。いつも和装してなくちゃいけないし。女流の寄席芸人でも日本髪の人は今ではこの人だけだろう。うめ吉姐さん、アタシで良けりゃ、いつでも胸をお貸しますよ。
歌丸『お札はがし』
『怪談牡丹灯籠』の中でも最もポピュラーでドラマチックな演目。従って高座にかかる機会も多い。
三遊亭圓生、もちろん6代目のことだ。噺家の名前にいちいち〇代目と書かれることが多いが、名跡が継がれていなければ、アタシは特別のことがない限りは不要だと思っている。だって志ん生、圓生、志ん朝と書いたら、「それは何代目のこと?」なんて質問されるだろうか。通常はあの志ん生、あの圓生、あの志ん朝を指しているのは明白だろう。例えば4代目の志ん生や5代目の圓生について書く時だけ、〇代目と書けば良い。
ちょいと横道にそれたが圓生の『お札はがし』では、前半が医者の山本志丈の紹介で、飯島平左衞門の娘・お露と浪人・萩原新三郎が出会い、互いにひと目惚れする『臥龍梅』或いは『お露新三郎』から始まる。
その後、新三郎恋しさに幽霊となって通ってくるお露と女中のお米、それに気付いた易者の白翁堂の紹介で新三郎は新幡随院の良石和尚に助けを求め、和尚は海音如来の仏像を貸し、魔除けのお札を家中の窓に貼り付けておくよう命じる。
時間の関係からか、歌丸の高座ではここまでの部分はカットされていた。
萩原家の下男の伴蔵のもとへ幽霊二人が現れ「高窓のお札をはがして」と頼む。伴蔵は最初、気軽に引き受けるが、相手が幽霊と知って女房・お峰と相談の上、幽霊に「百両と引き換えならお札を剥がす」と約束する。幽霊の方は「新三郎が身に着けている海音如来の仏像を取り捨てて」と伴蔵に頼む。
伴蔵とお峰夫婦は新三郎に身体が汚いと幽霊が取り付くからと騙し、行水をさせている隙に仏像をすり替えてしまう。翌日、約束通り幽霊は百両届けに来て、伴蔵がお札をはがすと、幽霊二人は高窓から新三郎の寝屋に入り新三郎を憑り殺す。
翌朝、遺骸を発見した伴蔵は白翁堂を呼んで惨状を確認する。白翁堂は伴蔵夫婦を疑うが、取り敢えず良石和尚に相談に行くと、和尚は既に事件の全貌を把握しており、取り敢えず新三郎をお露の墓の隣に葬るように助言する。
この騒ぎのドサクサに伴蔵夫婦は伴蔵の故郷である栗橋宿に帰ってしまう。
歌丸の外見はかなりやつれて見えたし、歩行が困難という事で座布団に座った状態で幕を開けていた。
しかし口調はしっかりとしていて声も大きく、この高座に挑む気迫、執念を感じた。
過去に何度も高座に掛けているだけあって完成度が高く、聴き応えがあった。
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