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« 新兵の訓練 | トップページ | 我らの時代 落語アルデンテⅨ(2014/8/16昼) »

2014/08/16

「兵隊節」、プラス

昨日書いたように両親が戦前から水商売をしていて戦後も数年間は再開していた関係から、戦争を挟んでいた時期なので店内で歌われていた歌は軍歌や兵隊節が多かったようだ。
そうした歌を子どもの頃から母から教えられ、そのせいで主な軍歌や兵隊節は今でも諳んじてる。だから川柳川柳の『ガーコン』で唄われる曲は全て知っている。
軍歌は戦意発揚のために作られたいわば官製ともいうべき歌だったのに対し、兵隊節は兵士の辛い生活や悲哀、上官への不満などが歌われている。後者は歌の性質上、作者不詳のものが多い。
その「兵隊節」のいくつかを紹介するが、兵隊節以外の歌にも触れることになる。なにせ歌詞がうろ覚えなので、間違っていたらご容赦のほど。

先ずは一世を風靡した柳家金語楼の『落語家の兵隊』の中でも歌われている『ナッチョラン節』。

下士官のそば行きゃメンコ臭い
伍長勤務は生意気で
粋な上等兵にゃ金が無い
可愛い新兵さんにゃ 暇が無い
ナッチョラン ナッチョラン
(註:「メンコ」というのは飯を盛る器-飯盒のふた部分のこと)
元歌は添田唖蝉坊が作った『青島節』のようだ。

この歌詞は、戦後に伴淳三郎と花菱アチャコ主演で映画シリーズ化された『二等兵物語』の主題歌『歌う二等兵』の歌い出しに受け継がれている。

粋な上等兵は思いもよらぬ 
せめてつけたや星二つ
(註:「星二つ」は一等兵のこと。)

この映画のもう一つの主題歌は『俺は二等兵』で、その歌い出しは次の通り。

薄く冷たい令状抱いて 
衛門くぐれば二等兵

この2曲はいずれも兵隊節というジャンルとは異なる。

兵隊節の代表的な曲といえば『可愛いスーチャン』だ。幾度もリバイバルされ、替え歌も沢山ある。

お国の為とは言いながら
人の嫌がる軍隊に
召されて行く身の哀れさよ
可愛いスーちゃんと泣き別れ

朝は早よから起こされて
雑巾がけやら掃き掃除
嫌な上等兵にゃいじめられ
泣く泣く送る日の長さ

乾パンかじる暇もなく
消灯ラッパは鳴りひびく
五尺の寝台わら布団
ここが我らの夢の床

夜の夜中に起こされて
立たなきゃならない不寝番
もしも居眠りしたならば
ゆかなきゃならない重営倉

海山遠く離れては
面会人とてさらに無く
着いた手紙の嬉しさよ
可愛いスーチャンの筆の跡
(註:「営倉」は兵士の懲罰房、刑務所みたいなもの。「重営倉」はさらに重い処分で、一日6合の麦飯と水、おかずは固形塩だけ。寝具も無い。)

替え歌の一つが『練監ブルース』、歌詞はいくつものバージョンがあるようで、私の知ってる歌詞は次の通り。

身から出ました錆ゆえに
エンコでサツにパクラレて
ワッパはめられ意見され
着いた所が裁判所
(註:「エンコ」は浅草、「ワッパ」は手錠)

最もポピュラーな曲といえば『海軍小唄(ズンドコ節)』がある。歌詞や曲のリズムを変えて、色々な歌手がリバイバルヒットさせているのはご存知の通り。

汽車の窓から手をにぎり
送ってくれた人よりも
ホームの陰で泣いていた
可愛いあの娘(こ)が忘られぬ
トコズンドコ ズンドコ

花は桜木人は武士
語ってくれた人よりも
港のすみで泣いていた
可愛いあの娘が目に浮かぶ
トコズンドコ ズンドコ

元気でいるかと言う便り
送ってくれた人よりも
涙のにじむ筆のあと
いとしいあの娘が忘られぬ
トコズンドコ ズンドコ

もう一曲は『昨日生まれた豚の子』で、兵隊節と言うよりは厭戦歌のジャンルになる知れない。昔はタイトルは無かった気がする。ズバリ『湖畔の宿』の替え歌で、1995年に笠木透という歌手がCD化したようだ。
入船亭扇橋が時々高座で唄っていたのを思い出す。
私が少1の頃に教わって、母に「名誉の戦死って、なに?」と質問して困らせたことを憶えている。
歌詞は厭戦気分に溢れたもので、恐らく戦争末期か戦後に作られたと推察される。

昨日生まれた豚の子が 
蜂に刺されて名誉の戦死
豚の遺骨はいつ帰る 
四月八日の朝帰る
豚の母さん 悲しかろ

昨日生まれた蜂の子が 
豚に踏まれて名誉の戦死
蜂の遺骨はいつ帰る 
四月八日の朝帰る
蜂の母さん 悲しかろ

昨日生れたタコの子が 
タマに当たって名誉の戦死
タコの遺骨はいつ帰る 
骨がないから帰れない
タコの母さん 悲しかろ
(註:「四月八日」は釈迦の誕生日)
この歌も別の歌詞があり、私が教えられたのは「遺骨」は「死骸」、「タコの子」は「タコ八」だった。

かくして、下級兵士の一日は『起床ラッパ』で始まり、

起きろよ起きろよ皆起きろ 
起きないと班長さんに叱られる

消灯ラッパ』で終わる。

新兵さんはかわいそうだネ~ 
また寝て泣くのかヨ~

軍隊ではイジメや私的制裁は日常的で、容赦なくビンタが飛んで来る。新兵さんたちは常にターゲットとされたので、一人泣きながら寝入っていたのだろう。

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コメント

扇橋の歌を聴きたいなあ。

佐平次様
扇橋の歌はあまり大きな声ではなかったが、味のあるいい声でした。童謡なんかも歌っていました。
再起は難しそうで残念です。

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