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2014/09/17

「白酒・兼好 二人会」(2014/9/16)

道楽亭出張寄席「桃月庵白酒・三遊亭兼好二人会『あんにゃもんにゃ』」
日時:2014年9月16日(火)19時
会場:新宿文化センター 小ホール
<  番組  >
前座・桃月庵はまぐり『道灌』
三遊亭兼好『近日息子』
桃月庵白酒『家見舞い(肥甕)』
~仲入り~
桃月庵白酒『花筏』
三遊亭兼好『三方一両損』

15日に近くのスーパーに買い物に行ったら店員が近づいてきて、いきなり「本日は65歳以上の方は5%引きです」と言って割引券を渡された。ムッとしましたね。よっぽど断ろうかと思ったがもったいないので受け取ってレジで5%引いて貰ったけど、なんで見ただけで65歳以上って分かるんだ。タニタ社のヘルスメーターでの表示は53歳なんだけどな。
昔から年寄りは嫌いなのだが、いまじゃ自分が年寄りになってしまった。
町内会から老人クラブへの勧誘がきたが、断った。「青年部なら入りますよ」と。
会場の新宿文化センター小ホールは足弁は悪いし、床がフラットなので後方の席だと見えにくく、あまり良い小屋じゃない。

はまぐり『道灌』、香盤に名前がないから未だ見習いかな。口調がはっきりしていて聴きやすい。前座ラインクリアーか。

兼好『近日息子』、このネタ、3代目三木助の十八番で好きな噺だが、東京では手掛ける人が少ない。
親父が息子に、人様の先へ先へと気を利かせろと説教する。親父がちょいと頭が痛くなってきたと言うと、気を利かせた息子は直ぐに医者をよび、次いで葬儀屋、そして坊主が次々と親父の元へやって来る。しまいには長屋の連中までが入れ替わり立ち代わり悔みに来る始末。
「あたしの悔やみに来るとは、どういう料簡だっ」
「へえ、それでも、表に白黒の花輪、玄関にゃ忌中札まで出てましたもんで」
親父が息子を怒鳴りつけると、
「よく見ろい、忌中のそばに近日と書いてあらァ」
聴かせどころは集まった長屋の連中が、ゆうんべ一緒にソバを喰ったのにとか、今朝湯で出会たばかりなのにと言うと、
「ゆうべソバを喰ったり、今朝湯に入ると、死なねぇのかい?」
「死ねないって理屈はないけどねえ」
と言った会話を交わす場面と、交代で悔みを言いに行くと本人がいて驚く場面だ。
こうした三木助の型をベースにして、兼好は上方流に、何でも知ったかぶりをするが全て言葉を間違える男を登場させ、もう一人が間違いを正すと「そうそう、その〇〇その〇〇」と混ぜ返す場面を加えて、笑いを取っていた。
兼好は持ち前の軽快なテンポを活かして好演。

白酒『家見舞い』、マクラで紙切りの二楽の結婚式の模様を披露。落語家を式に招くと大変なことになるようで、主賓から始まって挨拶は全て下ネタ。花嫁に抱き付く人まで現れたとか。
白酒は通常の演出と変えていて、最初から水がめを買いに行くのではなく、古道具屋で交渉中に水がめにすることになり、金が無いので店の奥にあった肥甕を買って帰るという風にしていた。
男の一人がこの古道具屋とは知り合いという設定で(いつもは売りに来る)、二人の掛け合いが楽しい。
新所帯の兄いの家に上がってからは通常の型で、サゲもオーソドックス。
何を演らしても上手い白酒だが、仲入り前の高座としては物足りなさも感じた。

白酒『花筏』、大関の花筏の身代りになった提灯屋、病気で土俵に上がれないという触れ込みだったのに、宿に変えれば大酒と大食、おまけに毎晩女中部屋に夜這いをかけるという有り様。なんだ、花筏が元気じゃないか。それなら千秋楽の結びには相撲を取ってくれということになる。身から出た錆。
一方、素人相撲ながら初日から勝ちっぱなしの千鳥ケ浜、いよいよ明日は待望の大関との一番と胸を膨らませるが、父親から千秋楽は遺恨相撲になりお前は土俵で投げ殺されてしまうと諭され、いったんは土俵に上がるのを断念する。この場面は、もう少し親子の情愛が出ると良かった。
前の晩に親方から、軍配が返ったら直ぐにつっかけて、指先が相手に触ったと思ったら後ろにひっくり返れと教えられた提灯屋。その通りにしようと思ったら相手が立ち遅れて、張り手のような形で千鳥ケ浜の方がしっくり返ってしまう。
「さすがは大関、張りが上手い」
「上手い筈だよ、提灯屋だ」
千秋楽の結びなのに呼び出しが西から呼んでいたり、呼び出しの扇子の方向が東西逆だったりと、粗さがあったのは残念。相撲ネタはこうした細かな点が大事。
このネタは8代目柳枝の名演が頭にあるので、どうも点が辛くなる。

兼好『三方一両損』、マクラで消しゴムに白と黒があり、自分は白い方で大方はいい人だが稀に悪いことをするとそれが目立ち損をしている。そこいくと黒い消しゴムは汚れが目立たない。普段悪くても稀に良いことをすると褒められるから得だと。それで今日は白酒との二人会。
どうなんだろう、噺家なんてぇものは人間が悪い方が大成するんじゃなかろうか。もっとも性格も悪けりゃ芸もダメっていうのは最低だけど。
左官の金太郎、道で書きつけと印形と三両入った財布を拾ったので、持ち主の大工の熊五郎宅に届ける。ところが熊は迷惑顔で礼も言わず、三両を突っ返したが受け取らない金太郎に殴りかかる始末。この長屋の大家が止めに入って、熊を懲らしめるために町奉行に訴え出るという大岡裁きの一席。
兼好の高座は前半までは快調だったが、後半にダレテしまった。先ず熊が大家に言う啖呵に切れがない。ここが颯爽としないと後半に続かない。金太郎が自分の長屋の大家に熊の啖呵を再現する場面をカットしたのは肯けない。ここは聴かせどころだから割愛してはいけない。
大岡越前守のセリフがもたつき、およそ奉行らしからぬ言葉使いも散見された。それと大岡政談なんだから、もっと奉行に威厳がなくちゃいけない。
仕上がりが今ひとつの高座だった。

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コメント

昔から年寄りは嫌いですか、ははは。
おあいにくさまですね。

佐平次様
そう、若い人が好きなんです。特に、女性は。

『近日息子』は、結構前になりますが、菊之丞で聴いて感心したことがあります。
もっと、多くの噺家さんに継いでもらいたい噺の一つですね。
白酒は、少し疲れ気味でしょうか。
行けませんでしたが、五夜もありましたからね。
私は、まだ電車で席を譲る方ですが、そのうち譲られて「ムッ」とするんでしょうね^^

小言幸兵衛様
だいぶ以前になりますが、初めて車内で席を譲られ時はショックで頭が真っ白になりました。よほど草臥れて見えたんでしょう。
『近日息子』は三木助の孫弟子にあたる入船亭一門の人に手掛けて欲しいものです。
白酒はやや精彩を欠いていましたね。


『三方一両損』
小朝の真打披露目公演だったと思いますが、
当時は九蔵といった好楽がこの噺を好演し、
いかにも落語らしい噺だなと感じ入りました。

若い頃の鮮明な記憶です。

福様
『三方一両損』、私が印象に残っているのは志ん朝で、一度は当代馬生の襲名披露の時で、かなり抑え気味の高座でした。その2,3か月あとの志ん朝独演会では力の入った素晴らしい高座でした。前者ではトリの馬生を食わないように配慮していたのでしょう。聞かせどころは熊の啖呵で、この出来で噺全体が左右されます。

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