« #65扇辰・喬太郎の会(2014/9/21) | トップページ | #124柳家小満んの会(2014/9/26) »

2014/09/26

「対テロ戦争」がテロを増殖させている

【日本軍の一将校は、あれだけ討伐しても、まだ過激派は少しも減らない、といって驚いていたが、過激派は討伐すれば減ると思うのは、とんでもない間違いである。減るどころか、かえって増加する。飢餓に脅かされれば、過激派でなかった平和な農民まで過激派にならざるを得ない。】
以上は、現在の国際情勢のことではない。1917年にロシア革命が起きると、翌1918年からこれに干渉するため、日・米・英・加・伊など各国がシベリア出兵を行った。なかでも日本は7万3000人の兵力を投入し、数千人の死者を出して最終的に撤退した。日本軍の役割はロシア東部でのパルチザンの掃討であった。
冒頭の文章は、その時の日本軍の苦戦の模様を書きしるした「山内封介『シベリア秘史』」からの引用だ。

では、なぜこうした結果になったのか。
以下、ウィキペディアより関係資料を引用する。
1919年2月中旬に、歩兵第十二旅団長山田四郎少将は「師団長の指令に基き」次のような通告を発している。
【第一、日本軍及び露人に敵対する過激派軍は付近各所に散在せるが日本軍にては彼等が時には我が兵を傷け時には良民を装い変幻常なきを以て其実質を判別するに由なきに依り今後村落中の人民にして猥りに日露軍兵に敵対するものあるときは日露軍は容赦なく該村人民の過激派軍に加担するものと認め其村落を焼棄すべし】
ここでいう「露人」とは、ロシア反政府軍をさす。つまり村人といえども敵対勢力に加担したとみなせば、容赦なく村を焼き払えという命令を下したのだ。
また1919年3月22日には、アムール州中部地方第12師団歩兵第12旅団(師団長大井成元中将)がイワノフカ村「過激派大討伐」を敢行した。通称「イワノフカ事件」と呼ばれている。
ウラジヴォストーク派遣軍政務部が、事件後村民に対して行なった聞き取り調査にもとづく報告書の一節にはこう書かれている。
【本村が日本軍に包囲されたのは三月二十二日午前十時である。其日村民は平和に家業を仕て居た。初め西北方に銃声が聞へ次で砲弾が村へ落ち始めた。凡そ二時間程の間に約二百発の砲弾が飛来して五、六軒の農家が焼けた。村民は驚き恐れて四方に逃亡するものあり地下室に隠るるもあった。間もなく日本兵と『コサック』兵とが現れ枯草を軒下に積み石油を注ぎ放火し始めた。女子供は恐れ戦き泣き叫んだ。彼等の或る者は一時気絶し発狂した。男子は多く殺され或は捕へられ或者等は一列に並べられて一斉射撃の下に斃れた。絶命せざるもの等は一々銃剣で刺し殺された。最も惨酷なるは十五名の村民が一棟の物置小屋に押し込められ外から火を放たれて生きながら焼け死んだことである。殺された者が当村に籍ある者のみで二百十六名、籍の無い者も多数殺された。焼けた家が百三十戸、穀物農具家財の焼失無数である。此の損害総計七百五十万留(ルーブル)に達して居る。孤児が約五百名老人のみ生き残って扶養者の無い者が八戸其他現在生活に窮して居る家族は多数である。】
ここでいう「コサック兵」はロシア反政府軍をさす。
こうした蛮行により村民の大部分は極度に日本軍を恨み、パルチザン軍13個中隊を編成する結果となった。

9・11事件を契機としてアメリカは「対テロ戦争」を宣言し、西アジア各国で戦闘を行ってきた。
アフガニスタンではタリバンをやっつけ、イラクではフセイン大統領を処刑し、アルカイダのビン・ラディンも殺害した。
アメリカはテロリストを皆殺しにさえすればテロは無くなると、そう単純に信じていた。
もうこれからは安心だ、の筈だったが、米国のいうテロ組織はむしろ他の国々へ拡散・増殖を続けている。
なぜだろう?
アフガン戦争、イラク戦争とも、過激派掃討作戦により多くの一般市民も犠牲になった。そうした恨みが新たなテロ組織を生んでいる。
米国の作戦は、日本軍のシベリア出兵の轍を踏んでいるしか思えない。

9月23日より米軍などは、シリア領内のイスラム過激派組織「イスラム国」に対する空爆を開始した。
報道によれば「イスラム国」には、米・英・仏・独・豪など合計80ヶ国、1万5000人の外国人が参加しているとのことだ。アメリカ人の中にはイラク戦争に参加した元兵士もいると見られている。
各国首脳はテロ組織を非難するだけでなく、なぜ自国の若者たちがそうした組織に自ら加わったのか、それこそ自省せねばなるまい。

かつてイギリス外務大臣デイヴィッド・ミリバンドは、2009年1月15日付ガーディアンに論文を投稿、この中で「“対テロ戦争”なる定義は誤りだった、却って諸勢力を団結させる事に繋がった」と述べた。
現状は、まさにその通りとなった。

|

« #65扇辰・喬太郎の会(2014/9/21) | トップページ | #124柳家小満んの会(2014/9/26) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

アメリカ由来のテロはエボラ出血熱よりも悪性ですね。

投稿: 佐平次 | 2014/09/27 10:14

佐平次様
米軍のシリア内「イスラムの国」への1回目の空爆では数十名のメンバーが死亡したようですが、民間人も数名犠牲になっていると現地では報じられれいます。
こうした悪循環になぜ気が付かないのでしょうか。そこが理解不能です。

投稿: ほめ・く | 2014/09/27 11:05

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/82117/60377273

この記事へのトラックバック一覧です: 「対テロ戦争」がテロを増殖させている:

« #65扇辰・喬太郎の会(2014/9/21) | トップページ | #124柳家小満んの会(2014/9/26) »