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2014/10/17

「ブレス・オブ・ライフ」(2014/10/16)

「『ブレス・オブ・ライフ』~女の肖像~」
”シリーズ「二人芝居─対話する力─」Vol. 1”
日時:2014年10月16日(木)14時
会場:新国立劇場 小劇場 THE PIT

作=デイヴィッド・ヘア 
翻訳=鴇澤麻由子 
演出=蓬莱竜太
<  キャスト  >
マデリン=若村麻由美 
フランシス=久世星佳

舞台はイングランドの南端ワイト島にあるマデリン宅の書斎、潮騒の音が鳴り響き、窓を開ければ海岸からの風がカーテンを揺らす。そのテラスハウスにフランシスが訪ねてくる。
芝居は終始、この部屋での二人の会話だけ。
フランシスにはマーティンという弁護士の夫がいたが、夫は若い女の元へ走り離婚、今は子どもと一緒に生活している。以前は主婦だったが現在は流行作家だ。
マデリンの方はマーティンと不倫関係にあったが今は切れている。以前は博物館の研究者だったが、今では書斎に閉じ籠って、本人によれば色々なものの「起源」を調べている。
つまりこの物語は、ある男の元妻が元愛人の家に訪ねてきたという設定だ。
妻が愛人の元へ怒鳴り込んでの修羅場なら毎度ドラマでお馴染みだが、二人とも「元」なのだ。元妻は作家として成功もしている。
いったい何しに来たんだろうとマデリンが戸惑うのも無理はない。
やがてフランシスは夫との昔話を始める。夫マーティンに対しなぜマデリンに惹かれているのか、その理由を問い詰めた時のことだ。夫は日々家事や育児に追われる妻の仕事を否定し、マデリンの生き方に共鳴し魅力を感じていると語る。この時フランシスはそれまでの抑制的態度をふりすて、激しい口調でマデリンに感情をぶつける。
後半で、フランシスはマデリンのデスクの上に立ててある写真を見つける。そこには1960年代の頃の若いマデリンとマーティン二人が写っていた。フランシスは二人の馴れ初めを訊ねると、マデリンは1960年代に二人は知り合ったが彼女の方から離れてゆきそのままになっていた。ところが70年代になって偶然再会し、灼けぼっくいに火が付いてしまったのだ。マーティンは「君がもしあの時に僕から離れなかったら、今のような状況にはならなかった」と言われてことを告げると、そこでフランシスは怒りを爆発させる。
二人の間の長い会話から浮かびあがってくる、マーティンという男の真の姿。
ここに至って、フランシスの「決着(かた)を付けに来た」という目的は達せられたかのようだ。そして二人のマーティンに対する思いもまた。

芝居は休憩前の前半は淡々としていて退屈だったが、後半になってから一気にドラマチックになった。
明け方に窓辺に腰かけてフランシスがタバコを吸う場面や、マデリンがマーティンとの馴れ初めを語る際にマデリンは客席に対し正面を向き、フランシスは背中を向けて対話するシーンなどが特に印象に残った。
ただ元妻が元愛人宅に訪ねてくるというシチュエーションというのは分かりづらいかな。あまり必然性を感じないもんね。セリフのちょいと哲学的で理解できない所もあったし、客席の反応も今ひとつだったと思う。
二人の状況に感情移入できるかどうかで、この芝居の評価が違ってくるのでは。

若村麻由美と久世星佳は揃って熱演だったが、久世の低音の抑制したセリフ回しが効果的で、後半の感情の爆発を強く印象付けた。演技も上手く、若村を食っていた。

公演は10月26日まで

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